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なぜ働いていると本が読めなくなるのか:現代社会における労働と読書の葛藤 【三宅香帆】

はじめに:本を読む時間がない…

みなさん、こんな経験ありませんか?仕事に追われて、大好きな本を読む時間が全然取れない…。そんな悩みを抱える人って、実はたくさんいるんです。今回は、そんな現代人の永遠の課題に挑む、とってもホットな本をご紹介します!

三宅香帆さんの新著『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、まさにこの問題にズバリ切り込んだ意欲作。労働と読書の歴史を紐解きながら、私たちの生き方そのものを問い直す、刺激的な一冊なんです。


著者プロフィール:三宅香帆さんってどんな人?

三宅香帆(みやけかほ)さんは、1994年生まれの若手文芸評論家。高知県出身で、京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。インテリジェンスの持ち主です。専門は万葉集で、これまでに『( 読んだふりしたけど ) ぶっちゃけよく分からん、あの名作小説を面白く読む方法』や『人生を狂わす名著50』など、ユニークな切り口の著作をたくさん発表しています。

本書の概要:労働と読書の関係性

基本情報

  • タイトル: 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

  • 著者: 三宅香帆

  • 出版社: 集英社

  • 発売日: 2024年4月17日

  • 価格: 1,100円(税込)

  • ページ数: 288ページ

  • 形態: 新書

本書の主要テーマ

労働と読書の歴史的変遷

本書の醍醐味は、なんといっても明治時代から現代に至るまでの日本社会における労働と読書の関係性の変化を詳細に分析しているところ。各時代の特徴的な読書傾向や、労働観の変化を丁寧に解説することで、現代の「仕事に追われて本が読めない」という状況がどのように形成されてきたのかを明らかにしています。

例えば、明治時代には労働を煽る自己啓発書が登場し、大正時代には「教養」がサラリーマン階級と労働者階級を分ける指標になったそうです。時代と共に変化する読書の意味や価値観を知ることで、現代の私たちの読書観も見つめ直すことができるんです。

現代の労働問題への提言

本書は単なる読書論に留まらず、現代社会における労働のあり方そのものに問題を提起しています。「全身全霊」で仕事に取り組むことの問題点を指摘し、より人間らしい生き方を模索する重要性を説いています。

ワークライフバランスや働き方改革が叫ばれる現代において、この視点はとても示唆に富んでいます。仕事一辺倒の生活ではなく、読書や趣味など、多様な経験を通じて人生を豊かにしていく大切さを改めて考えさせられます。

「読書のノイズ性」という新概念

三宅さんが本書で提示する「読書のノイズ性」という新しい概念は、とても興味深いものです。この概念は、現代社会において読書が持つ意義を再考する上で重要な視点を提供しています。

読書を通じて得られる予期せぬ知識や視点が、人生に「ノイズ」をもたらし、それが人生を豊かにするという考え方は、読書の価値を新たな角度から捉え直すものです。効率や生産性を重視する現代社会において、一見無駄に思える「ノイズ」が実は大切な役割を果たしているという指摘は、私たちの読書観を大きく変える可能性がありますね。

本書の意義と影響

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、現代社会における労働と読書の関係性に新たな視点を提供する重要な著作です。特に以下の点で、社会に大きなインパクトを与える可能性がありますよ

  1. 労働観の再考:「全身全霊」で仕事に取り組むことの問題点を指摘し、より柔軟な労働観を提示しています。仕事と私生活のバランスを見直すきっかけになるかもしれません。

  2. 読書の意義の再定義:「読書のノイズ性」という概念を通じて、読書の新たな価値を提示しています。効率や即効性だけでない、読書の深い意義を再認識できるでしょう。

  3. 歴史的視点の提供:労働と読書の関係性の歴史的変遷を辿ることで、現代の問題の根源を明らかにしています。過去を知ることで、未来への展望も開けるかもしれません。

  4. 実践的なアドバイス:著者自身の経験を踏まえた、仕事と読書を両立させるための具体的なアドバイスを提供しています。明日からすぐに実践できるヒントが満載です。

本書の構成

本書は、以下のような章立てで構成されています。時代順に読書と労働の関係性を追っていく構成は、歴史好きの方にもおすすめですよ。

  1. まえがき:本が読めなかったから、会社をやめました

  2. 序章:労働と読書は両立しない?

  3. 第一章:労働を煽る自己啓発書の誕生―明治時代

  4. 第二章:「教養」が隔てたサラリーマン階級と労働者階級―大正時代

  5. 第三章:戦前サラリーマンはなぜ「円本」を買ったのか?―昭和戦前・戦中

  6. 第四章:「ビジネスマン」に読まれたベストセラー―1950~60年代

  7. 第五章:司馬遼太郎の文庫本を読むサラリーマン―1970年代

  8. 第六章:女たちのカルチャーセンターとミリオンセラー―1980年代

  9. 第七章:行動と経済の時代への転換点―1990年代

  10. 第八章:仕事がアイデンティティになる社会―2000年代

  11. 第九章:読書は人生の「ノイズ」なのか?―2010年代

  12. 最終章:「全身全霊」をやめませんか

  13. あとがき:働きながら本を読むコツをお伝えします

結論

三宅香帆さんの『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』は、現代社会における労働と読書の関係性を深く掘り下げた意欲作です。単に「なぜ本が読めないのか」という問いに答えるだけでなく、私たちの生き方そのものを問い直す契機を提供してくれるんです。

仕事に追われる日々の中で、読書の時間を確保することの難しさを感じている人々にとって、本書は新たな視点と希望を与えてくれるでしょう。同時に、企業や社会全体にとっても、労働のあり方を再考する上で重要な示唆を含んでいます。

2024年10月現在、働き方改革や新しい生活様式が模索される中、本書の提言はますます重要性を増しています。労働と文化の調和を図り、より豊かな人生を送るためのヒントが詰まった一冊として、幅広い読者層にお勧めできる本です。

みなさんも、この本を読んで、自分の「働き方」と「読書」について考えてみませんか?きっと新しい発見があるはずです!

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三宅香帆さんの別作品である『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』について、こちらの記事でも詳しく紹介しています。ぜひチェックしてみてください!

他にも、佐久間宣行さんの書籍「ご機嫌になる技術」も面白いと感じるかもしれません。佐久間さんは、テレビプロデューサー、ディレクター、演出家、ラジオパーソナリティ、作家として八面六臂の活躍をしています。「ゴッドタン」「トークサバイバー!」などの人気番組を手がけ、「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティも務めるなど、メディア界で大きな影響力を持った人物です!


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