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うるとら凡人の短歌集

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『万葉集』が大好きなので、思い立って自分でも短歌づくりを始めてみました。ベタな歌ばかりで恐縮ですが、お暇なときにでも読んでいただいたら嬉しく思います。
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2024年11月の記事一覧

短歌一首 ~ 大内人形

殿さまの 優しさ籠るお人形 姫さま笑うお顔はいかに  

短歌三首

妹が トラに喰われた夢を見て やさしくなった翌朝のオレ 妹の あらすじだけの感想文 直してやった遠い夏休み ご機嫌に口ずさむ歌 途中から歌詞が分からず ふんふんふんに  

短歌四首

ふるさとの山はいつでもそこにいる ただ黙ったまま でもそれがよい 集まった十三回忌 親戚の家族構成 がらりと変わり 会うたびに 細く小さく丸くなる 母の背中に声なき感謝 母からの 宅配便に詰められた あの頃あった遠い日常  

短歌三首 ~ 花言葉

片栗の 花がうつむく初恋に 伝えきれない想いを秘めて ひそやかに 私を思ってくださいと 茜の花は蔓をからませ 臆病で 内気な心おし隠し 夕化粧して恋を疑う   (夕化粧はオシロイバナの別名です。)   

短歌三首 ~ 花を詠む

寂しさの 増す庭に咲くツワブキに 冬を迎える心安らぐ 女郎花 その名が徒に 誰にでも靡きはしない気高き美人 こっそりと きれいに咲いた姫百合は たぶんあなたの心と同じ  

短歌四首

髪を切り 生き方変えると言う彼女 颯爽として美しくある 居酒屋の ひとり女子のかっこよい 頼むメニューも俺等と違う 覚えてた ほんの小さな約束に 慕ってくれるまごころ感じ ささやかな メール文にもさりげなく 時の装い載せてくる君  

短歌一首 ~ 新幹線

やわらかな響きの名でも 本当はとっても強い 「のぞみ」という君  

短歌四首

日の光 音を立てると言わずとも 夏はぎらぎら秋は燦々 遠い地の ホテルのテレビ眺むれば 天気予報の画面馴染まず 先斗町 傘かしげすら窮屈な 路地を歩くも足取り軽し 諫早で道を尋ねて 親切に教えてくれるも 言葉わからず    

短歌三首 ~ 雨を詠む

突然に 降られ駆け入る雨宿り ほのかに過ぎるやさしい時間 傘開き わずかにできる空間は 時雨隔てて仄かに優し 晴れ間なく 物忌む雨夜の品定め 男同士の会話も楽し  

短歌五首

二人行く遠い道のり だんだんと妻に遅れる 心も折れる 「お茶でもいれましょ」と言ったのに 「お茶がはいりました」の 言葉やさしい スーパーで 老いた夫婦がカート押す 遅い歩みも背のあたたかい ヒョウ柄の バンドに換えた腕時計 少しだけれど妻若返る 特別に意味はないけど 何となく 昔住んでた社宅を見に行く

短歌四首 ~ 鳥

文鳥が 肩から下りて邪魔をする キーボードの上に糞もする 道ばたの 鳩が何気に距離をとる こちらも横目で睨んで通る 道ばたに雀の子あり 拾って帰るも手当叶わず 庭に墓あり 文鳥に 逆剥けむしられ跳ねのける また降りてきて逆剥けねらう

短歌一首 ~ 神農祭

大閤の 町割り楽し道修町 なにわの「とめ」の祭りも終わる  

短歌三首 ~ 万葉への思い

万葉の 面影見ゆる鞆の浦 波おだやかに海人の釣り船 上代の 男女が詠んだ恋の歌 今の我らと何も変わらず 白居易に先んじ歌う雪月花 日本のこころ 家持の歌