うるとら凡人

関西在住の男性です。大好きな『万葉集』の鑑賞文や、最近始めた短歌、趣味のクラシック音楽、オーディオの話、また、これまで興味を持って勉強してきたことなどを掲載しております。ちょっとごった煮状態なので、マガジンで整理しています。どうぞよろしくお願いします。

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マガジン

  • 哲学に親しむ

    哲学のお勉強記録です。

  • 漢詩を読む

    漢詩のお勉強をしています。

  • 『万葉集』の鑑賞

    『万葉集』が大好きです。どうぞご一緒に楽しんでみませんか?

  • 中国故事で人生勉強

    私たちがふだん使っていることわざには、古代中国で生まれたものが数多くあります。そして、それらの言葉の背景には、さまざまな故事や寓話があり、私たちの生き方に多くの示唆を与えてくれます。

  • 四方山話

    日々の営為のなかで、感じたこと、思ったこと、お伝えしたいことなどを綴っています。すごくお暇なときにでも読んでいただけると幸甚です。

最近の記事

哲学に親しむ ~ トマス・アクィナス

トマス・アクィナス  ローマ帝国時代に活躍したアウグスティヌスによって、混乱していたキリスト教の教義が定まり、教会組織も安定して、しばらく平穏な時代が続きました。ところが、12世紀から13世紀にかけて、アリストテレスの著作群が翻訳されて西ヨーロッパのキリスト教圏に入ってくると、彼らの信仰を揺るがすような由々しき事態が生じました。    アリストテレスといえば、さまざまな自然現象を理性によって観察し、それらの特徴を整理し体系づけて理解する学問の創始者であり、現代の学問にも連な

    • 漢詩を読む ~『初春宴に侍す』

      原文 寛政情既遠 迪古道惟新 穆々四門客 済々三徳人 梅雪乱残岸 煙霞接早春 共遊聖主澤 同賀撃壌仁 書き下し文 寛政(かんせい)の情(こころ)既(すで)に遠く 迪古(てきこ)道(みち)惟(こ)れ新(あらた)し 穆々(ぼくぼく)四門の客(まらひと) 済々(せいせい)たる三徳の人 梅雪(ばいせつ)残岸に乱れ 煙霞(えんか)早春に接(つらら)く 共に遊ぶ聖主の澤(たく) 同じく賀(ほ)く撃壌(げきじょう)の仁(じん) 訳  寛大にされた天皇の恵みの情はすでに遠い昔から続

      • 『万葉集』巻第14-3376 ~ 東歌

        訓読 恋しけば袖(そで)も振らむを武蔵野(むざしの)のうけらが花の色に出(づ)なゆめ [或る本の歌に曰く いかにして恋ひばか妹に武蔵野のうけらが花の色に出(で)ずにあらむ] 意味 恋しければ袖も振るものですが、私たちの恋は人に知られては困るので、武蔵野のおけらの花のように、ほんのかすかでも目立つような素振りはしないようにしましょう、決して。 (どのように恋したら、あの子に対して、武蔵野のおけらの花の色のように、目立たずにすますことができるのだろうか) 鑑賞  武蔵の

        • 帝堯の政治

          中国故事で人生勉強  古代中国の神話伝説時代に「三皇五帝」とよばれる8人の帝王がありました。三皇は神、五帝は聖人とされ、いずれも理想の君主として語り継がれています。誰をもって「三皇五帝」とするかについてはいろいろな説があるようですが、ここでは五帝の一人とされる堯(ぎょう)についての説話をご紹介します。    堯の治世は50年に及び、彼は人民の暮らしがよくなるようにと努め続けましたが、それでも本当によい政治ができているのかが気がかりでなりませんでした。側近に尋ねても、民間の有

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        • 哲学に親しむ
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          34本
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          35本

        記事

          悲しみの日記

           作家の五木寛之さんは、かつて「うつ病」に悩んだことがあるそうです。しかも二度。最初のうつのときに、楽しいことを毎日一つずつ日記に書いたそうです。それが良い効果を生んだのですが、二度目のうつの発作の時期には、なぜか全く効き目がなかったといいます。   そこで五木さんは、思い切って「悲しみの日記」を書くことにしました。一日に一行でよい、今日はこういうことで悲しかったと、毎日書く。わずか一行にとどめるのは、長続きさせるためです。五木さんは、これでずいぶん癒されたといいます。悲し

          悲しみの日記

          私の短歌五〇首(1)

          朝明けは清々しくて夕暮れは他人の声も優しくなりぬ 君のそのたどたどしさにひたむきで真摯な気持ちを感じています 一枚の写真の中の微笑みに共に過ごした時間が止まる 朝のバスいつも乗ってた女子高生久々見れば素敵な大人に 大好きで話したいこと多いのに言葉が出ない伝えきれない 水たまりにボチャンと入る子の姿懐かしくあり眩しくもあり 登校の列の歩みが速すぎてずっと小走りの小さな子たち 叱ったらなぜか好かれたことがある上目遣いの父のない娘に 名刺見せキラキラネームとからかわ

          私の短歌五〇首(1)

          短歌四首 ~ 鳥

          文鳥が 肩から下りて邪魔をする キーボードの上に糞もする 道ばたの 鳩が何気に距離をとる こちらも横目で睨んで通る 道ばたに雀の子あり 拾って帰るも手当叶わず 庭に墓あり 文鳥に 逆剥けむしられ跳ねのける また降りてきて逆剥けねらう

          短歌四首 ~ 鳥

          クラシック音楽の話(23)

          ブルックナーの《交響曲第7番》  作曲家のお人柄についてですが、たとえば、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、マーラーあたりは、それぞれの曲のイメージや本人の顔立ち、伝わるエピソードなどから、どんな性質の人物だったかは何となく想像することができます。モーツァルトは映画『アマデウス』の通りだったんだろうなと思うし、ベートーヴェンは気難しくて癇癪持ち、ブラームスは生真面目なネクラ、マーラーは神経質で分裂気味・・・。実際のところは不確かですが、まー当たらずとも遠からずだろう

          クラシック音楽の話(23)

          医学部受験、究極の選択問題

           いつだったか、本屋で「医学部の面接試験」対策の参考書を立ち読みしていましたら、その中に、医師としての”究極の選択”を問われるような設問がありました。 「あるとき、瀕死の重症患者が二人同時に運ばれてきた。ところが、患者の一人は自分の妹、もう一人は赤の他人だった。直ちに手術をしなければ二人とも助からない。しかし、医師はあなた一人しかいない。さてあなたはどちらの患者を先に手術するか?」 というものです。ホントにこんな問題が出るんでしょうか。  このような場合、どちらを優先さ

          医学部受験、究極の選択問題

          『万葉集』巻第1-29・30・31~柿本人麻呂の歌

          訓読 29 玉襷(たまたすき) 畝火(うねび)の山の 橿原(かしはら)の 日知(ひじり)の御代ゆ 生(あ)れましし 神のことごと 樛(つが)の木の いやつぎつぎに 天(あめ)の下 知らしめししを 天(そら)にみつ 大和を置きて あをによし 奈良山を越え いかさまに 思ほしめせか 天(あま)離(ざか)る 夷(ひな)にはあれど 石(いは)走る 淡海(あふみ)の国の 楽浪(ささなみ)の 大津の宮に 天の下 知らしめしけむ 天皇(すめろき)の 神の尊(みこと)の 大宮は 此処(ここ

          『万葉集』巻第1-29・30・31~柿本人麻呂の歌

          「オーディオの話」記事一覧

          狭い部屋での大型スピーカー リスニングルームは洋室と和室のどっちがよい? アンプに対する誤解? カセットテープの思い出 スピーカーの置き方 オーディオ・ケーブルのこと 音の響きと湿度の関係 アナログレコード・・・ PCオーディオの利点と気になるところ アイソレーション電源トランス CDとオーディオ機器の「静電気」 貧乏人の小物沢山? 耳の「錯覚」にご注意! エージングについて

          「オーディオの話」記事一覧

          「クラシック音楽の話」記事一覧

          一流に触れて一流になる コンサートホールのこと クラシック音楽が分かるとは? フォーレの《レクイエム》 コンサートでの拍手のこと モーツァルトの音楽には自我がない? よい指揮者とは? オーケストラによる音色の違い メンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』 若書きの作品は薄っぺらい? モーツァルトの『フィガロの結婚』 アンチ・カラヤン マーラーによる異化効果 ショスタコーヴィチの《交響曲第5番》 哀しみのクラシック音楽ファン ドボルザークの《交響曲第9番

          「クラシック音楽の話」記事一覧

          短歌五首

          二人行く遠い道のり だんだんと妻に遅れる 心も折れる 「お茶でもいれましょ」と言ったのに 「お茶がはいりました」の 言葉やさしい スーパーで 老いた夫婦がカート押す 遅い歩みも背のあたたかい ヒョウ柄の バンドに換えた腕時計 少しだけれど妻若返る 特別に意味はないけど 何となく 昔住んでた社宅を見に行く

          オーディオの話(14)

          エージングについて  オーディオ関係のコミュニティなどでしばしば議論されている、機器類の「エージング」について、諸兄は如何お考えでしょうか。そもそもエージングなど存在しないとして、その必要性を完全否定なさる向きもあります。その理由もいくつか掲げられていて、なるほどと感じる部分も大いにあります。しかしながら、私の体験では、やはりエージングの効果はあるし、必要だと思っています。  これまでで、とても顕著にそれを感じたのがアンプです。買って間もないころは、ボーカルの「シ」とか「

          オーディオの話(14)

          『万葉集』巻第12-2951 ~ 作者未詳歌

          訓読 海石榴市(つばいち)の八十(やそ)の衢(ちまた)に立ち平(なら)し結びし紐(ひも)を解(と)かまく惜しも 意味 あの海石榴市の里の道のたくさん交わる辻で、あちこち歩き回り出逢ったあの人が、結んでくれた紐を解くのは、あまりに惜しいことだ。 鑑賞  「正述心緒(ありのままに思いを述べた歌)」。「海石榴市」は、奈良県桜井市金屋にあったとされる市場です。古代の市場は樹木との関係が深く、海石榴(つばき)は山茶花(さざんか)のことです。市は、山人がやって来て鎮魂していく所

          『万葉集』巻第12-2951 ~ 作者未詳歌

          邯鄲の夢

          中国故事で人生勉強  唐の開元年間、蜀(しょく)の国の盧生(ろせい)という貧乏な青年が旅の途中、趙(ちょう)の都・邯鄲(かんたん)の旅舎で、道士の呂翁(りょおう)と出会いました。いろいろ話しているうちに、盧生は眠たくなった様子。宿の主人はちょうど黄梁(こうりょう※)を蒸して食事をつくっている最中でした。呂翁は持っていた枕を出して、盧生に貸しました。    その枕は、両端に穴の空いた陶の枕でした。盧生が眠ると、立派な邸宅の中にいます。名家の娘を娶り、官吏の試験にも合格して昇進