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心に住むイタリア人と明日の仕事が嫌なぼく #2

「あぁ、明日の仕事が嫌だなぁ。

また一週間が始まっちゃう。

休みが短すぎるぅぅうう!!」

平日の到来に絶望する僕、江場。




「Ahahahahahaha!

また言ってるね、エバ!」


そう言いながら、自分の分と江場の分のエスプレッソのカップを持って来て、江場の前に座り、片方を江場に差し出す陽気なレオナルド。



「まぁ、とりあえずエスプレッソ飲みなよ。」

自分の分のエスプレッソを一口飲み、穏やかな表情でゆったりと座るレオナルド。



「僕が、なにか嫌なことがある時に思い出すのは、まだ自分が小さな時の記憶だよ。


本当に小さな。
(両手で極端に小さな幅を作って、おしゃれに微笑むレオナルド)


そうだなぁ、

幼稚園生だったのか、それとも幼稚園に入る前だったのか、はっきりわからないけど、

それくらい小さな頃、

親と遊んでいる記憶だよ。


父も母も、子供とよく遊んでくれる素晴らしい両親だったよ。

まぁ、父と母はあまり仲が良くなかったから、家族みんなで遊んだ記憶はあまりないんだ。

別に悲しいことじゃないよ!
(あぁ、別に気にしないでくれ、
という風に両手を振って、大したことないんだという表情をするレオナルド)

僕自身は、
いまでも父とも母とも仲が良いからね。


そんな幼少期、僕の記憶にあるのは、朝、母と家の裏の公園に遊びに行って、お昼になったら帰ってきて、ふりかけライスと、チキンを食べている記憶だよ。


すごく記憶にあるんだ。

だから多分、本当に毎日ふりかけライスとチキンを食べていたんだろうね!
Ahahahahahahaha!
(おしゃれに笑うレオナルド)


大人になった今でこそ、何か口にすれば、この料理は美味しいとか、この料理はいまいちだ、なんて生意気を言ってるけど、

その当時は、ただ公園を走り回って、大好きなふりかけライスを食べれば幸せだったんだよね。


不思議だろ?
(両手を広げて目を大きく見開き、不思議さを訴えかけるレオナルド)


僕の一番記憶に残っているご飯は、誕生日の豪華なケーキや、たまの贅沢で出かけたレストランのように特別なものでは無くて、ふりかけライスなんだよ!


と、そんなことを思い出していると、

きっと今直面している嫌なことなんて、結局時間と共に忘れてしまうんだろうなぁって感じるんだよ。


だってそうだろ?


人生には良い日も悪い日もたくさんあったはずなのに、その全てを覚えているわけじゃ無くて、


今話した様に意外と覚えているのは、何でもない一瞬の記憶だったりするんだよ。


なんでこの時のこの瞬間なんだろう、って不思議に思うけど、でもそれが自分にとってはかけがえのない思い出になったりするんだよね。



つまり、

人生に起きた出来事の中で、なぜか忘れずに、なんとなく記憶に残っていることがあって、

それって何度も思い出しているうちに自分にとって大切なものになっていくんだよね。



だから、僕たちが今、何気なく過ごしているこの瞬間も、もしかしたら大切な思い出になるかもしれないんだ。


そんな大切な瞬間がいつあるかわからないからね。

あまり仕事のことばかり気にしすぎているともったいないよ!

Ahahahahahahaha!」

(まぁ、そう深く考えるなよ、と言わんばかりに、エスプレッソをまた一口、穏やかに飲む優雅なレオナルド)



レオナルドの話を聞いているうちに、自分にも何気ない、でも大切な記憶があることを思い出していた江場。



そして、気持ちが少し、楽になった様な気がした。


ありがとう、レオナルド。








最後まで読んで頂きありがとうございました!

江場

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