読書記録 | 映画「遊星からの物体X」とは少し異なる原作小説
早川書房にHPB(ハヤカワ・ポケット・ミステリ)というシリーズがある。
このシリーズは「ポケット」と謳われているものの、ポケットにはとても入らない縦が単行本・奥行きが文庫本並の大きさである。
古本蒐集を始めた頃、映画の原作小説にも関心を持っており、ジョン・W・キャンベルの「影が行く」が「遊星からの物体X」の原作小説であることをどこからか知った私は、早速読んでみようと購入したのがこちらの本である。
こちらは表題作以外に幾つかの小編が収録されているが、通読したのは未だに表題作のみである。
さて、この「影が行く」を通読すると、映画とは少しテイストが違うことがよく分かる。
映画をご覧の方は記憶に鮮明に残っていると思うが、原作小説には事件の背景こそ近似しているものの、途中からのドロドログチャグチャのスプラッター的な展開がおよそ皆無なのである。
文章からほとんど血が流れることなく、何者が誰に成りすましているか分からない、映画と共通した疑心暗鬼の点が強く書かれている、そのような印象を受けるのである。
いずれにしてもnoteをしたためながら、今読んでいる長編小説を読み終えた後にこの「影が行く」収録の他の作品も読んでみたくなった。
作品集は一度にすべて読まず、一編を間を置きながら読むという、どうしてもその作家の作風に思考が寄ってしまうことを防ぐ、私なりの読書スタイルである。
現在はアンソロジーでこの作品を求められるようである。
この中の収録作品の「デーモン・ナイト」を、私が観ている読書Youtuberの方が絶賛しているのに興味が湧いている。