白金 海

ノンフィクションを含めた小説と、日記を書いていきます。 読んで頂けたら嬉しいです。 ハート下さった方ありがとうございます。

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最近の記事

コミュ障でも一生のパートナーができるまで⑧

午前の授業が終わり、給食を食べ終わると昼休みがやってくる。 少し前まで、この昼休みは一人で絵を描いていたが、ここ数日は違ってきていた。 「シロちゃん!今日の昼休みは外で遊ぶ事にします!」 リサちゃんは気がついたら私をシロちゃんと呼んでいた。 「う、うん」 私が返事をするのを確認して、リサちゃんは迷いない足取りでグラウンドへ向かっていく。 「ねぇねぇ何してんの!?」 そう言って男の子達のグループへ直進していく。 そこには、アッキー、グッチーの他に小泉君と高橋君がいた。 全員同

    • コミュ障でも一生のパートナーができるまで⑦

      「おはよう!」 次の日、佐藤君は朝一で声を掛けてきた。 実は今まで無かった事なので驚き、ワンテンポ遅れつつも「おはよう」となんとか返した。 「今日、良いもの持ってきた」 そう言って鞄から紙袋を出してこちらへ差し出した。 それを受け取り見つめる。 「あー!アッキー何?プレゼント?」 そう言いながら佐藤君と仲の良い山口君がやってきた。 アッキーとは佐藤君のニックネームで、サトウ アキラだからアッキー。 きっと今の時代だと別のニックネームをつけられている気がする、そんな本名である。

      • コミュ障でも一生のパートナーができるまで⑥

        その後、佐藤君からは絵について催促がないまま3日が過ぎ、リサちゃんは絵が描き終わった後も話をする事ができ、それは生まれて初めて感じる平和で、心あたたまる日々がだった。 家に帰っても悲しい思いをするばかりなので、ずっと学校でリサちゃんと遊べたら、どんなに良いだろうと思っていた。 そんな日々もずっとは続かなかった。 「あのさ、絵の事なんだけど」 「え、な何?」 吃音。この周りと少し話しをする様になってから、癖になってきていたと思う。 思い起こせば、私の場合の吃音は、問いかけに対

        • コミュ障でも一生のパートナーができるまで⑤

          絵が描き終わり、描き終わった事を伝える場面になって躊躇していた。 絵を描く以外に関係性が無いから、また1人に戻ってしまう、そう思っていた。 出来上がった絵を、そんな事を思いながら眺めていると、横の席の佐藤君が話しかけてきた。 「あのさ、前から思ってたけど絵好きだよね」 「え?」 何と返答したものか、未だコミュニケーション能力が育たず、声を掛けらるだけでテンパってしまう。 特に幼稚園の頃のトラウマから、男子との会話は恐怖の対象だ。 だからといって、何も言わないのも返事が無い時の

          コミュ障でも一生のパートナーができるまで④

          リサちゃんと関わるまでの数ヶ月は、幼稚園から引き続き、人に話しかける事ができなかった。 この気持ちを理解できない人もいると思うので、説明すると、人と関わるには拒否されるという可能性が有り、自己暫定感が擦り切れて無くなりそうな人間にとっては、「自分は居ない方が良い」という思考につながり精神が崩壊する可能性が有る。 特に、素直な子供はそのままの意味で受け取る為に、大人よりも危険だと思う。 知らない人に話しかける、という事はそれだけ勇気がいる事なのだ。 でも、勇気を出して繋がりを求

          コミュ障でも一生のパートナーができるまで④

          コミュ障でも一生のパートナーができるまで③

          幼稚園の頃から拗らせていた私は、望むモノゴトにことごとく拒否されていた。 欲しいものを与えられる事は殆ど無く、贅沢にも既に生きる事そのものに疑問を持っていた。 その頃の大いなる救いといえば、食べる事に困るような経済状況では無かった事で、暇と食糧さえ見つければ食べ続けていた。 好きな味はもちろん、嫌いなものでも口に何かを頬張っている瞬間だけは、心が満たされるからだ。 その頃の愛読書は「わかったさんシリーズ」で、このシリーズは図書館で全巻よんだ…はずである。 この名作達はファンタ

          コミュ障でも一生のパートナーができるまで③

          コミュ障でも一生のパートナーができるまで②

          人生初の呼び出しは、オーソドックスなスタイルで、呼び出した3人の女子は「ちょっと来て」と言い廊下に出すと、壁を背に3人が1人を取り囲むというフォーメーションをとった。 「ユウタ君は、サナちゃんが先に好きだったんだからね!なのに、なんでアンタがいっしょにあそんでるの?」 リーダーの女の子が凄んで言い放った横で、サナちゃんと思わしき子は涙目になっている。 私はといえば、恐怖と返事の仕方が分からないので完全にフリーズ。 ちょっと何言ってるのかわからない、子供の理屈はこういう事もある

          コミュ障でも一生のパートナーができるまで②

          コミュ障でも一生のパートナーができるまで①

          私は人と話すのが苦手だった。 子供の頃、近所に年の近い子供が居なかったし、父も母も仕事で家におらず、居ても疲れ切った両親は話しかけると怒るので極力物分かりの良い子供を演じた。姉はといえば友達と毎日出掛けていたし、なにより私の事を嫌いと公言していた事もあり、何度も「ついてくるな」「話しかけるな」「あんたなんか生まれてこなければ良かったのに」なんて言われ続けたので、気がつけば家族でさえも関わるのが怖くなってしまっていた。 なので幼稚園に上がるまでの私の友達は、テレビか本か裏側が

          コミュ障でも一生のパートナーができるまで①

          スニーカーで身を守るという事

          昔、海外に住んでいた職場の先輩から、アメリカの肌が白く無い人が高級スニーカーを買う心理について聞いた事が有る。 もちろん全員に当てはまる事ではない話なのですが、成る程と思うところも有ったので備忘録的にここに残します。 スニーカー、靴という衣服の中でも1番汚れ安く消耗しやすい分類に入るこの履き物は、金銭的に余裕がない人にとって心理的にお金を掛けたくないところではないかと思います。 「どうせ、すぐにダメになるのだから」と。 でも、この靴にこそ良い品を取り入れる事で、周りからの目

          スニーカーで身を守るという事

          外商員と祖母の神様

          数年前に他界した祖母は、ショッピングと旅行が趣味で、明るく人当たりの良い人物だった。 祖母は基本的に(家族<趣味)という人なので、晩年世話をする母や祖父は苦労していた様に見受けられた。 私がまだ3歳くらいの子供の頃から、よく祖母に百貨店に入ってる宝石店に連れて行ってもらった事を、今でもよく覚えている。 大きめの飴玉くらいあるアクアマリンを見るのが大好きで、祖母についていた外商員の方にお願いして着けさせてもらっていた。 もちろん、当時の自身のお小遣いで買えるはずもなく、祖母も

          外商員と祖母の神様