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コミュ障でも一生のパートナーができるまで⑦

「おはよう!」
次の日、佐藤君は朝一で声を掛けてきた。
実は今まで無かった事なので驚き、ワンテンポ遅れつつも「おはよう」となんとか返した。
「今日、良いもの持ってきた」
そう言って鞄から紙袋を出してこちらへ差し出した。
それを受け取り見つめる。
「あー!アッキー何?プレゼント?」
そう言いながら佐藤君と仲の良い山口君がやってきた。
アッキーとは佐藤君のニックネームで、サトウ アキラだからアッキー。
きっと今の時代だと別のニックネームをつけられている気がする、そんな本名である。
「うるさいなグッチーあれは貸しただけ」
「ふーん」
そう言いながらこちらに目を向けてきた山口君。
「白金さんおはよう!」
「お、おはよう山口君」
予想外に話しかけられて、慌ててしまう。
「グッチーで良いよ皆んなそう呼んでるし、コイツもアッキーって呼んであげて」
「何でお前が言うんだ、別に良いけど」
良いの?と思いながら顔を上げると、視界の端にリサちゃんが手を振りながら近づいて来るのが見えた。
私も手を振ると、こちらへ走ってきて「おはよう!」と元気いっぱいに挨拶してくれた。
「おはよう」
思わず笑顔になりながら挨拶を返す。
「おはよ、お前ら仲良いよな」
グッチーがそう言いながら私達を見比べている。
見比べられるのは、正直に怖い。
やけ食いする回数が減り、みるみる痩せてきているとはいえ、自分が醜い事には変わりがないからだ。
「おはよう、この前こいつ白金さんに絵描いてもらってたよ」
「絵?なにそれ」
首を傾げるグッチーに「ジャーン」と言いながら鞄からクリアファイルを出して見せるリサちゃん。
「うわ、お前自分の顔の絵じゃん」
そう言いながら、クリアファイルを受け取り眺める。
「もしかして自分描いてって言ったの?自分好きすぎじゃない?」
うえーという表情をする。
「いいでしょ別に」
リサちゃんは、そう言って口を尖らせながらクリアファイルを奪い取る。
「よし、今度の図工が絵だったら白金さんに描いてもらお」
「そういう悪い事はダメに決まってるでしょ!」「いちいちうるせーなー」
そんな、可愛い喧嘩をしながら2人もそれぞれの席へ向かっていった。
私は受け取ってそのままになっていた紙袋の中身を見ようと袋を開いた。
中には1冊の本がはいっていて、出してみると佐藤君のいう悟空が出てくる漫画だった。
「学校で見つかると怒られるから隠して!もし面白かったら続きも持ってくるよ」
そう言って佐藤君が照れて臭そうに斜め下を向く。
「ありがとう」
そう言って大事に鞄にしまう。
すると、また視線を感じて視線を上げると、また河本さんという女の子が、こちらを睨んでいた。
嫌な予感がすると思いながらも、授業の準備を始めた。

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