再びnote記事を書く生活をしようと考え、アカウントのプロフィール欄のリフォームを行っている。文章のヘッダー画像の選び方を含め、これまでいろいろ試行錯誤してみたが、どれもしっくりこないので、黒の筆ペンで書いた無意味な線や図をiPhoneで撮影したものを用いることにしてみた。これは割と気に入っている。 アカウント名やプロフィール画像は、その人の価値観や生き様を反映している。自分はと言えば、結局はシンプルなものが好きで、余計なものを身につけたくない。服装は黒を基調としたモノトー
2022年6月から行政書士試験の学習を開始し、同年11月の試験で合格したので概略を書く。現役で医師をやりながら試験を突破したところに新規性がある。精神科医にして法律家、という肩書きを手に入れたのも自分では気に入っている。 受けた理由。 なぜ行政書士試験かというと、司法試験の前哨戦の意味合いがあるからである。10年ほど精神科医をやってみた結果、弁護士資格のある精神科医になりたいという結論に至り、2021年11月から司法試験に向けた学習を開始した。2022年5月の予備試験の短答
長い年月をかけて己と向き合い、考え続けた結果、自分はカレーが好きであるという結論に辿り着いた。最初から好きだったが、よくよく考えてみると、やっぱり好きだった、というのがポイントである。 カレーとは何か、についてよく考えるようになった。その答えを探して、意識的に店のカレーを食べ歩き、美味しんぼ24巻を繰り返し読み込んだりもした。水野仁輔氏の書籍を参考にスパイスを買い揃え、市販のカレールーを使わないスパイスカレーを作ったりした。どれも、ほぼ例外なく美味かった。 東京に数ヶ月滞
そういや婆ちゃんの命日っていつだったかな、とつい無意識にGoogle検索しようとした自分に苦笑した。 20年と少し前、中学生だった頃、あれは1990年代の後半で、自分の世界にはインターネットなどなかった。世界は謎に満ちていて、指先一本で情報を入手できるような手段などなかった。学校で聞いた話、テレビや雑誌で知るニュースや流行、親や兄から得られる情報が、ほとんど世界の全てだった。 幼少期から家は貧乏だったが、小学6年で両親が離婚する前後で状況は悪化した。目は悪いし、服は洗われ
食べログの百名店の飲食店に行ってみると、だいたい行列になっていて店に入れない現象に直面する。 近年の『サ道』に端を発するサウナブームの影響か、ネットで調べた評判がいいサウナに行ってみると、だいたいサウナ室の中に人が溢れていて、サウナ室や水風呂の前に全裸の行列ができている始末である。 いずれも、スマートフォンの普及の影響と考えている。「流行りすぎ問題」である。万人がインターネットに接続された結果、高速の情報のやりとりが生じ、人気店の情報が一気に拡散する。そして、不特定多数の
東京オリンピックの音楽担当が小山田圭吾氏になることが7月14日に発表されると、同氏が過去に障害者に行った「いじめ」(と表現するにはあまりに惨たらしい内容)の雑誌掲載記事の件でネット炎上が起こった。その内容についてここでは触れないが、海外の主要な新聞社や報道社(英Telegraph, 仏AFP, 米APなど)でも取り上げられ、ついには辞任に至った。音楽家として、本来ならば集大成の晴れ舞台となるはずだった大仕事が、数十年前の過去の行いのせいで、台無しになったことになる。 先日、
「医者の息子に生まれる最大のデメリットは、人の痛みが分からない人間になることだな」と、医学部に入ってから思うことが多かった。 私がいた国立大の医学部では、4分の1くらいは親が医者だったと思う。私は北海道の地方都市の平凡な公立中学校出身であり、親類も高卒ばかりだったので、こんなにも「親が医者の人」に出会うのは初めてだった。 親が医者勢といっても、大部分は常識的で感じのよいナイスガイ(レディ)だが、その中には、思考回路がぶっ飛んだ、他の世界ではまず出会えない特殊な種類の人間が
昔から、将来の夢が三つある。 一つ目は精神科医になること、二つ目は作家になること、三つ目はブックカフェを経営すること、である。 一つ目の夢は叶えたので、二つ目と三つ目をどうするのかが問題である。 作家として、「最強の精神科医」が出てくる物語作品を書きたい、としばしば空想する。しかし、最強の精神科医とは何たるかを自分自身がが理解できていなければその存在を描くことができない、という結論に思い至り、その難易度の高さに慄然とする(結果、まだ書けないと諦める)。まだ精神医学の極意
大学に入ってからしばらく、友達ができなかった。 医学部の運動部に入ってみたが、近い世代のほとんどは仲良くなる気がしないタイプの人間だった。話していて退屈だったし、自分より下の人間を見つけると目が輝き、楽しそうに悪口で盛り上がり、特定の標的を決めていじめるような連中が多かった。偶然にもそういう時代、場所だった。最初はうまくやろうと頑張ってみたが、やがて孤立し、しばしば自分も攻撃の標的になった。他に属すべきコミュニティは見つからず、医学部は流動性が皆無の閉鎖社会であるため、逃げ
男になる、とはどういうことか。 生物学的に男に生まれた人が、大きな勝負に勝ったり、女を抱いたりすることで「男になる」と表現される。仕事で大きな責任を果たしたり、逆境に挫けず筋を通したりすると「男を上げる」。すなわち「男らしさ」が出てくる。精悍な顔つき、堂々とした振る舞い、落ち着きと余裕、内面から滲み出る自信、などが出てくるのだと思う。 これはテストステロンがもたらす認知と行動の変容である。男性ホルモンのひとつであるテストステロンは「勝利のホルモン」として知られる。人間が、
趣味は読書である。 高校生のときに、「趣味は読書の人」になろうと決めて以来である。それまで、漫画は好きで読んでいたが、絵のない本を好んで読む習慣は特になかった。 手始めにドストエフスキーの『罪と罰』を読んだ。精神科医を目指すなら読んだ方がいいという新聞記事を読んだのと、『こち亀』で重厚で難解な本の代表格として取り上げられており、最初にこれを読んでおけばどんな本だって読めようになる、と思ったためである。読んだのは祖母が買ってくれた新潮文庫の上下巻、江川卓訳である。 本は片
暇さえあれば外国語の勉強をしている。 Free Wi-Fiで電子書籍をダウンロードするために近所のカフェに来て、無意識に台湾華語、ロシア語、英語の単語帳を作っていた自分に気づき、これを書いている。 世の中には暇潰しにスマートフォンでゲームをしたり、漫画を読んだり、SNSで知人や有名人の動向をチェックしたり、動画サイトでアイドルやサッカーやニュースやお笑いや動物の癒し動画を観る人が多いのは理解している。しかし、そのような世の中一般の余暇の過ごし方が肌に合わないと感じながら生
年収1000万円を超えると、悩みの半分は消える。それは学年トップクラスに貧乏な家庭環境で高校まで過ごし、医師になった私の実感だ。 金がない人の苦しみは、金に困っていない人の想像を超える。毎日、体に悪そうな物を食べ、みすぼらしい服を着て、安い酒や他人のゴシップなど、自分の痛みや苦しみを一時忘れさせてくれるジャンクな娯楽でしのぐようになる。楽しみの選択肢は大きく制限され、旅行や飲み会や異性との交流は難しくなる。健康や清潔さ、最低限の社会的な体裁を保つのが難しくなる。今を生きるの
「人とうまく話す方法」という内容で、患者にレクチャーをする機会があり、最近はその準備をしている。 私はもともと重度のコミュニケーション障害があり、口下手で、失礼で、誤解されやすく、異性や偉い人の機嫌を損ねることに関しては天性の才能がある気がしている。ちなみに心理検査で測定したところ、言語性IQと動作性IQが40くらい離れており、なかなかの本格派である。ゆえに、かつての私を知る人が、私が他人にコミュニケーション技術について教えるなどと知れば、噴飯ものだろう。 、、、と自覚し
NetflixよりもYouTubeの方がいい、みたいな記事を最近読んで、なるほどと思った。 Netflixは画面の前に正座して気合いを入れて見る感じだが、テレビやYouTubeはBGMがわりに流しておいて、寝転がってボーッと眺める感じがいいそうだ。私が辿り着いたのもYouTubeのヒロシのキャンプ動画、素人感のある大学生のバスケ動画、ローランドの動画などだ。疲れた頭に優しい、数分でサクッと見られる感じがいいのだ。 そんなわけで、800字くらいでサクッと読める、noteにお
一年くらい前から中国語の勉強をしている。 個人での座学に加え、知り合いに中国人留学生を紹介してもらい、週に1回の頻度で、テーマを適当に決め、関連する語彙や表現について30分ほど話すというのをやっている。 話すテーマは自己紹介、医療面接、正月の過ごし方、流行りの漫画や音楽などで、コロナ禍やアメリカ大統領選などの時事ネタを扱うこともある。 そこで、意を決して、ウイグルジェノサイドというテーマを提案してみた。 結果、非常に印象深い洞察を得ることができたので、ここに報告する。