趣味はカレー
長い年月をかけて己と向き合い、考え続けた結果、自分はカレーが好きであるという結論に辿り着いた。最初から好きだったが、よくよく考えてみると、やっぱり好きだった、というのがポイントである。
カレーとは何か、についてよく考えるようになった。その答えを探して、意識的に店のカレーを食べ歩き、美味しんぼ24巻を繰り返し読み込んだりもした。水野仁輔氏の書籍を参考にスパイスを買い揃え、市販のカレールーを使わないスパイスカレーを作ったりした。どれも、ほぼ例外なく美味かった。
東京に数ヶ月滞在した際に、下北沢を中心にカレーの食べ歩きも行ったが、札幌で食べ慣れたスープカレーには及ばないと思った。「カレー」はインド料理が宗主国イギリスを経由して日本に辿り着き、スパイスと「だし」の文化が出会い、融合して独自の発展を遂げた日本固有の料理である。そして、野菜・畜産・魚介の宝庫である北海道の中心都市であり、スープカレーという独自の文化が発展した札幌は、おそらく地球上で最もスープカレーのクオリティが高い地域である、と思われる。
そんな札幌で学生時代を過ごした自分が、社会人になってから「カレー」に辿り着くのは必然だった、、、!
というのは、ここまで書きながら思いついたことだが、たぶん、自身の境遇や思考から論理必然的に辿り着いた趣味が、カレーだったのである。
残る生涯にわたり、カレーの研究は続けたいと思っている。老境の精神科医が若き日を回顧しながらカレーを作り、食べるだけの短編小説をいつか書きたい。人の世の苦楽を味わい尽くしたものにしか表現することができない味というものがあるのだ。その日のために、私はカレーを食べ、作り、考察を深めつつ、医師としての仕事を続けたいと思っている。
写真は札幌駅北口にあるSAVOYの牡蠣カレーである。美味かった。
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