小夜子さん登場。いい人。優しそうな人。親孝行そう。
小野さんの小夜子さん評が酷くて、胸がムカムカしてくる。
小野ー、何様だー、って思えてくる笑。
小説って、本当に不思議。
八 (藤尾と母、宗近と父)
藤尾と母は、兄の(甲野)欽吾のことを話している。二人とも、
兄の身の振り方に不満を感じているようである。
宗近と言えば、お前はあの人をどう思っているの。どうも思ってやしません。いやかい。いやですわ、あんな趣味のない人。あんな見込みのない人は、私も好かない。と、ずいぶんな言われよう。いっそ、ここで断ろう、という母に、何か約束があるのか、と尋ねる藤尾。藤尾の父が、宗近の父や他の者もいる前で、宗近に金時計を譲る約束をしたらしい。藤尾が欲しがってくっついていくかもしれないが、それでもいいか、と冗談半分に聞いたという。それを聞いて、ばからしい、と切って捨てる藤尾。あの時計は私が貰いますよ、小野さんにあげてもいいでしょうね、と母に尋ねる藤尾。
ところ変わって宗近家。京都から帰った宗近と甲野は、叡山のどこを見たのか、それじゃ相輪橖(そうりんとう)も見ないだろう、と言って宗近の父に豪快に笑われる。また、延暦寺には妙な行があり、十二年間山へ籠りきりになるという。
それを聞いて、嫁をもらえもらえと毎日言うが、山へ籠ったら嫁がもらえないという一(はじめ)。(甲野)欽吾さんもそろそろ貰わなければいけないだろう、という宗近の父。
九 (小夜子さんと小野さん、小夜子さんと孤堂先生)
見事なゲスっぷり。小野。
まあしかし、聖人君子だから好きになるわけではない。
ゲスと思いつつも好きになってしまうことはある。
ままならないのが、恋。
いい人なの、ゲスなの、どっちなの笑
混在しているのがありのままの人間、ということでしょうか…
小野の心の中で、しかし、小夜子さんを見るたびに、藤尾と比べている。
家を貰おうとしているんかーい、と盛大に突っ込みたくなる。
小野よ、漱石よ、大丈夫か、これが大志を抱くということなのか!?
もう、ただの成り上がりじゃーん。
・・・イイよ。
漱石も、じゃなかった、小野もただの人、ということで、逆に親近感湧く。
藤尾と小野が毒毒しい紫の花に見えてきて、小夜子さんが清楚な白い花に見えてきた。これは、漱石の思う壺?私は漱石に踊らされているだけ?
小夜子さんが五年ぶりに見た小野の姿。
ここで、小野が小夜子に、京都で花を見たのか、誰と見たのか、と尋ねる。
一緒に行く人は父より他ない、父でなければ、あとは胸の中でも名は言わなかった、とどこまでも奥ゆかしい小夜子さん。
濃い紫の袖の香が眉間を掠め、急に帰りたくなる小野。
小野が帰ってしまってから、ようやく孤堂先生が帰宅した。電車を乗り間違えて、帰りは歩いて帰ってきたという。おくたびれなすったでしょう、と気遣う小夜子さん。東京は嫌なところだ、私のような時代遅れの人間は東京のような烈しいところには向かない、若い人が住まう所だね、という孤堂先生。
小夜子さんと孤堂先生は小野には勿体無いよ、小野なんかやめておけーーー