【MOMO原書PJT⑥】外国語から気づく日本語の豊かな表現力
【MOMO原書PJT】は、ミヒャエル・エンデの名作『MOMO』をドイツ語原書で読破を目指すプロジェクトです。
プロジェクトを通じて、ドイツ語のこと、勉強のこと、本の内容のこと、そして困難にチャレンジすることのすばらしさを伝えられたらと思います。
前回まではこちらから:
さて、物語は第3章の子どもたちの空想劇のシーンです。
未知なる海へ航海をして、未知なる怪物とであったり、『さまよえる台風』という嵐を鎮めるというドイツ語初級者が読むにはしんどいページが続きます。
わたしにとって第3章こそが ”未知なる怪物" でした。
ここで西洋系外国語学習のある問題にぶつかりました。
それは多くの言語でアルファベット(ローマ字)が使われていることです
英語もドイツ語もアルファベット
ドイツ語には「Ä」「Ö」「Ü」「ß」という特殊文字はありますが、基本はA~Zまでの26文字で構成されています。
英語と同じです。
イタリア語もフランス語もスペイン語も発音はまるで違いますが、基本はアルファベットです。
アルファベットは表音文字の中で音素文字と呼ばれているもので、見た目の違いがあまりないのです。
アルファベットの起源
みなさんはアルファベットのルーツをご存じでしょうか。
現代アルファベットの直接的な起源はギリシャ文字にあります。
しかし、ギリシャ文字は、紀元前11世紀ごろにはフェニキア人が使っていたフェニキア文字にルーツがあるとのことです。
フェニキア文字は22文字からなる音素文字だったようです。
フェニキアとは現在のレバノン、シリア、イスラエルのあたりにあった国です。
まさに世界史の始まりとも呼べる場所にアルファベットのルーツがあるというのは感慨深いですね。
音素文字の弱点
音素文字は、汎用性があって並べることで無限に単語を作り、意味をもたせることができる大変便利な文字です。
だからこそ、現代でも多くの言語が音素文字であるアルファベットを使っているのだと思います。
ただ、言語学者でもないわたしにとって、その便利さが裏目です。
見た目の見分けがつかないのです。
『MOMO』の第3章では、なぞの言葉を使う現地民族が出てきます。
その言葉を理解できる教授も出てきます。
当たり前ですが、その二人の現地語でのやり取りがドイツ語(アルファベット)で書かれています。
わたしは、必死にその未知なる言語の単語をひとつひとつ独和辞典で調べていました。
ミヒャエル・エンデのが作った言語なので、調べても答えが見つかるわけがありません。
しかしはじめは、その言葉が未知なるドイツ語なのか、現地語なのか見分けがつかないのです。
現代日本語はすごい
その点、日本語はすごいなと思いました。
日本語の文字は3種類あります。
・ひらがな
・カタカナ
・漢字
ひらがなとカタカナは表音文字という点では、アルファベットと同じですが、音節文字と呼ばれる区分に入ります。
母音と子音が一つの文字に入っているからです。
「か・カ」は"Ka"と表せます。
そのあたりの専門的な話は、専門家にお任せします。
すごいと思うのは、それらに加えて、表意文字である漢字を併用しているところです。
表意文字とは文字そのものに意味がある文字です。
現代で使われている言語で表意文字は漢字以外ないそうです!
中国の歴史・文化のおかげです。
日本語はそれらをミックスで使うという高度な言語です。
なので表現方法が多様です。
アルファベットのように他の言語が文中に使われていたらカタカナで表記するでしょう。
漢字をたくさんつかって、堅くしっかりした感じ表現をすることもできます。
あえて、かな文字で書くことで、やわらかさや優しい感じを文字だけで演出することもできます。
また行間を読むというような余韻も細かく表現できます。
文字だけの表現力で日本語にかなう言語はほかにないのではないかと思います。
ということで、
ドイツ語学習をしていて、その難しさに自信を失いつつありました。
しかし、わたしはもっと難しい日本語をある程度使いこなせるという点では、自信をつけました。
次回からは第4章突入。
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