本質的なゴールを探る2つの問いの立て方
こんばんは。
昨日に引き続き、コーチングを使ったコミュニケーション力や組織力向上について、書いていきたい。
課題に対する2つの問いの立て方
目標達成に向けて行動変容をうながす問いには大きく分けて2つの方向性がある。
「How」と「Why」である。
・How: どうしたらその課題を解決できるか?
これは比較的立てやすい問いである。
課題を抱えている当人がよく分かっていることも多い。
・Why:そもそも、なにが/なぜ課題なのか?
こちらが突き詰めるべき問いである。
本質的な課題が何かをしっかり理解できていないことは実は多い。
この2つの問いがセットになって初めて行動変容をうながすことができる。
本質的に解決すべき課題=ゴールは何か?
例えば、「やることが多すぎて、時間内に仕事を終えられない」という課題を抱えた部下がいたとしよう。
この課題に対してのHowとWhyの問いは以下の通りである。
1.Howの問い
どうやったら時間内に仕事を終えられるか?
これに対しては具体的な行動案はいくつか出てきそうである。
・ほかの人に仕事を振り分ける
・優先順位をつけて、優先度の低いものは翌日に回させる
・作業効率が上がるツールがもしあれば導入する
などだ。
2.Whyの問い
そもそもなぜやることが多いのか?
そもそもなぜ時間内に終わらないのか?
それらでは不十分である。
「そもそもどうしてあなたは時間内に仕事を終わらせたいのか?」
これこそが本質的な問いである。
・残業をして上司に怒られたくないからなのか
・早く仕事を終えて家族や友人との楽しい時間を過ごしたいからなのか
・時間内に終わらせられる仕事のスキルを身に付けて、キャリアアップしたいからなのか。
これに対する答えは、課題を抱える本人が持っている。
本質的な目的を引き出し、その達成のための支援をすることがマネジメントの役割である。
Whyが明らかになれば、おのずとHowは決まってくる。
問いの質が、答えの質をも決めるといっても過言ではない。
ただし、言うは易し、行うは難し。
本質的な質問へ落とし込むまでに、本音を言いやすい場の雰囲気の作りや皮のキャッチボール、そこには相当のスキルと経験、そしてメンタルが必要だと思う。
何よりも、上司が部下への興味や部下のもつ課題への関心がなければ、問いは成立しえない。
こればかりは反復練習でスキルを磨きつつ、こちらから自己開示して信頼関係を築くという努力が必要だろう。
コーチングはなにもマネジメントやリーダーだけがつかいこなす特権的なスキルではない。
夫婦間、友人との人間関係で生じる課題に対してもこのHowとWhyを意識した問いの立て方は、大きな力になる。
さらには自分が何か壁にぶつかったとき、悩んだときにも有効である。
自分で自分の思考を整理して、行動変容をうながすことを、セルフコーチングというらしい。
何かの参考になれば幸いだ。
きょうの学びはここまで。
ではまた。
参考図書
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