母性と父性を再定義したい
「子どもに対する愛情」を表現するとき、母性や父性という言葉がよく出てきます。
しかしこの言葉、わかりにくいなぁ~と思うことがよくあります。
「幸せな家族」をメインにこのnoteで考えていきたい私にとって、一度自分が納得するまで調べて整理してみたいと思いました。
でも、調べれば調べるほどよくわからない。。。
なぜ母性や父性という言葉が分かりにくいのか?
大きく2つの理由がありそうだと感じました。
使う人や場面によって意味が変わってしまう
言葉の定義の仕方がよくない
調べたものを自分なりに整理してみたところ、
「言葉の意味を再定義した方がいい」
というなんとも身の程知らずな結論に至ってしまいました。
子育てって、ただでさえ大変なんですよね。
ただ言葉の意味がよくわからないというだけで、日々の子育てに奮闘しているパパやママたちが余計な混乱をしたり、社会に不要なわだかまりを生むようなことはやめにしたいんです。
なるべく堅苦しい文章にならないように頑張りましたので、最後までお付き合いいただけると嬉しいです(4,000字ちょいあります)。
母性って「性質」なの?
一般的に多くの人が認識していると思われる意味を引用します。
(太字は私が強調する意味でしました)
「母性」の「性」は、「性質」の「性」なんでしょうねきっと。
しかし、「性質」という言葉を使うと、女性が本来的に(先天的に)備えている「本能」というニュアンスが強くなってしまうように感じるのです。
「母性」≒「母性本能」ということです。
加えて、先ほどの引用で「自分の子ども」だけに限定していることにもすごく違和感を覚えます。
つまり、先ほどの引用を嚙み砕いて説明すると、
母性は、子どもを産んだ女性に等しく備わっている
母性は、自分の子どもに対してだけ発揮される
この考えが飛躍してしまうと、次のような社会的圧力に変わってしまうのだと思います。
母性があるんだから育児するには母親が適任でしょ?
母性があるから自分より子どもを優先したくなるよね?
この子を守れるのは母性を持ったあなただけよ?
理想の母親像は、母性が導いてくれるはずよ?
このように言われると、「そんなことはない!」と叫びたくなる人が多いのではないでしょうか。
その結果、もう昔話なのかもしれませんが、「3歳児神話」や「母性愛神話」として本来は不要なわだかまりが社会に生まれたのだと思います。
また、「母性なんて存在しない」という論調が生まれ、当事者たちはもはや何を信じていいか分からず、余計な混乱をしてしまいます。
さらに、子どもを産むことができない父親にとっての「父性」という言葉は、定義されずに行き場を失ってしまうことになります。
よって、
母性や父性は「性質」ではないため、本能的に備わっているものではく、自分の子どもだけに注がれるものでもない
と理解した方がよさそうだということが分かりました。
母性って「機能」なの?
母性を機能として捉えた定義としては、以下があるようです。
これはつまり、「女性」特有の機能ということではないでしょうか。
要するに、生物学上の「女性」ということだと思います。
特定の分野で必要に迫られて使用することに異論はないですが、一般的な定義とは違うということかなと思います。
また、「母性」を機能として定義してしまうと、対になる意味の「父性」という言葉を定義できなくなりますよね。
よって、
母性や父性は、機能ではない
と理解した方がよさそうだということが分かりました。
教育の専門家が使う意味
テレビに出演する専門家の説明を聞いていると、
「母性=母性性」「父性=父性性」で説明されることが多いです。
以下がその説明の引用です。
難しいのでさらっといきましょう。
専門家と素人で認識にギャップがある
まず、同じ「母性」「父性」という言葉なのに、専門家と素人で認識のギャップがあることは問題だと思います。
せめて「母性」「父性」と言わずに、「母性性」「父性性」という言葉を使って説明していただきたい。
素人は混乱してしまいます。
性別に依存するようで、依存しない謎
また、「母」「父」と「性別を表す言葉」が入っているにも関わらず、実は性別には関係なく、母親でも父親でも「母性性」と「父性性」の両面を子どもに与えることができる。。。
ちょっとムズすぎ。。。
母性性と父性性のニュアンスは理解できますが、「性別を表す言葉」を入れることでかえってわかりにくくなっているのであれば、使う言葉を考え直してみてもいいのではないでしょうか。
例えば
母性性 ⇒ 寛容さ、安心感
父性性 ⇒ 規律性、自立心
この方が、素人にとってはわかりやすいのではないでしょうか。
話が脱線してしまいましたが、要するに
「母性」「父性」は、「母性性」「父性性」とは違う意味の言葉
と理解した方がよさそうだということが分かりました。
「親性」という言葉の誕生
おそらく上記のような問題点などから、母性と父性という言葉に代わるものとして、「親性」という言葉が生まれたのだと思われます。
定義は、以下のようなものです。
すごくいい表現ですよね。
しっくりきます。
しかし、この言葉には2つの問題点があると思うんです。
慣れ親しんだ言葉の排除
「性別は関係ない」という意図は伝わってくるが、今まで慣れ親しんできた「母性」や「父性」という言葉を使わない流れになってしまいます。
しかし、慣れ親しんだ言葉を排除することは実質不可能で、曖昧で誤解を生みやすいという問題は解決することができないのではないでしょうか。
実際、今のこどもたちのおじいちゃんおばあちゃんは「母性」という言葉を使いますよね。
たぶん浸透しない
残念ながら、「親性」という言葉はしっくりきません。
語呂が悪いというのもあるでしょうが、一番の要因は
子どもから「親」と声をかけれらることがないからだと思います。
「パパ」「ママ」「お父さん」「お母さん」「父」「母」
「男女の性差」という当たり前の違いを、ないものとして考えようとするのは、大人だけなのではないでしょうか?
子どもは性別による違い(おちんちん、おっぱい等)が大好きだし、その性別の違いを受け入れることでアイデンティティを確立することにもつながるのではないかと思っています。
よって、
「親性」という新しい言葉には置き換えられない
と理解した方がよさそうだということが分かりました。
ということで、再定義してみる
やっとここまで来ました。
あとひと息です。笑
上記を踏まえて再定義してみると、こんな感じになりました。
キーワードは「」で囲った部分です。
とてもシンプルになりましたね。
「性別」に関すること以外は、先ほどの「親性」とほぼ同義です。
子どもに関わることで母性や父性が育つというところがポイントです。
もしかすると、実はこのような認識を持っている人が多いかもしれませんね。
だからこそ、これまでの定義に違和感を覚える人が多いのかもしれません。
最後に
なんとか言葉の意味を再定義するところまで漕ぎ着けたわけですが、残念ながら「子育てをしたけど母性は感じなかった」という人も少なからずいます。
「子どもと関わった経験」だけでは母性や父性が育たない場合があります。
それを端的に示した言葉があるので、引用します。
母性や父性だけではありませんが、
愛を感じるには、「余裕」と「共有できる人」が必要なんだと思います。
裏を返すと、「愛を共有したい人」からのサポートが感じられなかったとき、愛が憎しみに変わるのかもしれませんね。
以上、最後までお付き合いいただきありがとうございました!
<今回のポイント>
母性:「女性」が「子ども」に対する「愛」を認識すること
父性:「男性」が「子ども」に対する「愛」を認識すること
両者とも、育児の「経験」を通して形成される母性(父性)は、性質(本能)ではない
母性(父性)は、自分の子どもだけのものではない
母性(父性)は、機能ではない
専門家が使う「母性」「父性」は、「母性性」「父性性」という意味で使われる場合がある
「母性性」「父性性」は性別に依存しないので、より一般的な言葉で表現する必要がある
これまで「母性」「父性」と使われてきた言葉は、「親性」という言葉に置き代えられようとしているが、おそらく浸透しない
母性(父性)を実感するには、「余裕」と「共有できる人」も必要
今回の記事で、子育てと気楽に向き合えるパパママが増えてくれると嬉しいです。
またねー。
ベテランパパ
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