#恋愛小説
嘘なら、夢ならよかったのに(後編)【夢見る恋愛小説】
数日後、本当にプリンセスは現れた。
目を丸くして驚いている兄弟に、
『来るって言ったじゃない?』
と茶目っ気たっぷりに微笑んでいる。
1つ、2つと咲き始めた薔薇を数える後ろ姿。
1度の奇跡で終われば、
なかったことにできたかもしれない。
平凡な毎日に麗しいプリンセスが登場して、
心を奪われないなんてできるだろうか。
それは10才のぼくにも、
年の離れた兄にも同時に訪れた初恋。
決して、結
嘘なら、夢ならよかったのに(前編)【夢見る恋愛小説】
どうして僕たちは出逢ったんだろう?
出逢わなければよかった?
ほかの未来があった?
そんなことできた?
今でもたしかに、こんなに愛しい気持ちだけはっきりとここにあるのに…
~※~※~※~
ぼくと兄は家の近くにある、
平凡な田舎の教会に花の手入れに来ている。
頼まれた訳でも雇われているわけでもないが、代々我が家がやっている。
ぼくと兄は少し年が離れている。
ぼくはまだまだ子どもだけど、
ようこそ、僕たちの部屋へ【夢見る恋愛小説】
私は今から、この怪しい扉の奥へ
一歩踏み出そうとしている。
ただでさえ入りにくい雰囲気なのに、
入り口の謎の黒猫ちゃんが
私の勇気を試すかのようにこちらを見てる。
知らなかった…。
私の住む街にこんなところがあるなんて。
それは先週末のことだった。
ここのところ仕事が忙しくバタバタしていて
友達との連絡も疎かになっていた私。
突然、昔からの仲良しグループに
呼び出された。
私を含めて5人、
待ち合わせは、プレゼントと一緒に【夢見る恋愛小説】
ーーー数年前のバレンタインデー。
突然、君がチョコをくれた。
毎年、たくさんのチョコを抱えて家に帰る僕のことを、今までただ笑うだけだったのに。
僕たちは、幼い頃から共に育った。
むしろ産まれる前から。
誕生日が約1ヶ月しか違わないご近所さん。
それはもう母親たちは、僕たちがまだお腹の中にいる頃から予定日が近いことで意気投合。
典型的な ‘家族ぐるみで仲良し’
というお付き合いの環境で育った。