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【百人一首(近代・現代短歌)】ある世界(その5)


すーちゃん撮影

「短歌はじめました。 百万人の短歌入門」(角川文庫ソフィア)穂村弘/東直子/沢田康彦(著)

椎名隊長の怪しい体験隊では、ドレイだった沢田さん。

吉野朔実劇場では、確か?、ワインを飲んでる人だったような。

実は、編集者の沢田康彦さんが、俳句関連の著作が多いのにも関わらず、小林恭二の短歌パラダイスに触発され、

「短歌パラダイス―歌合二十四番勝負」(岩波新書)小林恭二(著)

下は9歳から上は82歳まで、有名無名年齢性別等一切不問のシロートによるファックス&メール短歌の会「猫又」を作ります。

その短歌を穂村弘さんとと東直子さんが評価しているのが本書です。

点のカラい穂村さんが、本書の中で初の◎作品が、これ↓

「遮光土偶の次なる人は西田幾多郎なり教科書の中でメガネかけているのは」

思わず、え、これって短歌なの?

"57577"を守らず、"789810"なんですけど( ..)φメモメモ

確かに破壊力抜群で、水泳の千葉すずさんのこの歌も、

「ヤクルトの古田のメガネすごくヘン もっといいのを買えばいいのに」

余計なお世話の歌だけど、一度で記憶に残るインパクトがありますよねぇ~リズム感とインパクトに脱帽(^^♪

なんだか親近感の沸く同じ素人の方が作った歌だと思って読むと、これが物凄く面白くて、プロから見たら、傷はあるんだろうけれど、型に嵌らず、ぐいぐい読ませる作品多し。

穂村さんと東さんの両プロが、批評と解説をつけて、読み方を教えてくれるので助かります(^^)

女性の歌の方が巧くて、男性は、どうも理屈や説明に捕らわれるらしい点は、学ぶべき点ですね(^^;

羨ましい。

私も、こういう歌が詠めるようになりたいなと、思ってしまいます(^^♪

さて、この編集者・沢田さんが主宰する素人FAX短歌会「猫又」で、「芽キャベツ」というおもしろい題が出されたことがあったそうです。

この会は、「芽キャベツ」という題のユニークさに負うところが大きいかもしれないけど、屈指の名作ぞろいになったそうですよ( `ー´)ノ

「ひとりの夜を短歌とあそぼう」(角川ソフィア文庫)穂村弘/東直子/沢田康彦(著)

それでは、歌を詠う人が、自分で発見した「芽キャベツ」への思い歌は、以下の通りです。

「芽きゃべつも靄でしっとり緑色おやすみなさいいつも寂しい」
吉野朔実

「めきゃべつは口がかたいふりをして超音波で交信するのだ」
鶯まなみ

「そこはだめあけてはならぬ芽キャベツの親戚一同が待ち伏せているから」肉球

「壁ぎわに影は澄みゆく芽キャベツがこころこころと煮えるゆうべを」
佐藤弓生

「芽キャベツをフォーク深くに抱きしめて少女の歌はくるくる回る」
野城知里

「芽キャベツのひとつひとつを湯に落としつつさよならを受け入れてゆく」池田行謙

「守るほかなきひとりのくらし芽キャベツの一つ一つに十字入れつつ」
(大西民子『雲の地図』より)

「芽キャベツのような夢だね未完熟の言葉に宿る芯のまぶしさ」
(俵万智『プーさんの鼻』より)

「あまやかに噛み砕かれたる芽キャベツのなんてきれいな終末だろう」
(山崎聡子『手のひらの花火』より)

「芽キャベツはつやめきながら湯にうかぶ〈生まれる前のことを話して〉」
(東直子『青卵』より)

「あたらしき雪平鍋に滾りつつ湯は芽キャベツのさみどりを揉む」
(花山多佳子『晴れ・風あり』より)

そう言えば、俳人・鴇田智哉さんも、こんな句を詠んでいましたね(^^)

「芽キャベツのうっらうっらと踊りくる」

また、本書には「芽キャベツの乱」に関する川柳が載っていて面白いよ。

「成長痛の月」飯島章友(著)

「確かにこの世のことのようで、でもなんだかそんなことはどうでもよいように思えてくる。永遠の興味津々と平熱の茶目っ気が句の中に閉じ込められた。」――東直子さん(帯文より)

ちなみに、私は、芽キャベツのバター炒めが好きだけど、

そう言えば、キャベツの歌で思い出したのが、

「馬鹿げたる考へがぐんぐん大きくなりキャベツなどが大きくなりゆくに似る」
(安立スハル『この梅生ずべし』より)

で、そう言えば、キャベツにも花が咲きます。

そんな事を、ふっと感じる時。

日常には、普段、あまり意識していないけど、どうも、あちらこちらに・・・

ぽこっ

って、穴が開いているようで。

それは、意識してみると、誰にも見えるはずの穴だったりします。

だけど、見たくない人や、見ないほうがいいと思っている人も、いたりするのではないでしょうか。

その違和感を敏感に感じ取って、その形の違う穴の向こうに行ってみたいと、好奇心全開で、穴を覗いてみたりしてみる。

そんな好奇心が、たぶん、言葉に、しなやかさを与えてくれたりします。

自分の言葉が、「こと」や「もの」の襞に、ふっと入っていく時が確かにあって。

甘さや苦さを感じるのでしょうね。

どちらも、実は、同じもの。

私たちは、そのことを知っていて、日々、表情を変えながら生きている。

そう、キャベツにだって花が咲く(^^)

「キャベツにだって花が咲く」(光文社新書)稲垣栄洋(著)

[ 内容 ]
サプリメントでは、なぜダメか?
生きている野菜のパワーを再発見。

[ 目次 ]
第1章 野菜に咲く花、どんな花?(キャベツも花が咲くの? ダイコンは白い菜の花 ほか)
第2章 植物のどこを食べている?(花を食べる カリフラワーの意外な親戚 ほか)
第3章 野菜はどこから来たのか?(二千年後の野菜 二千年前へタイムスリップ ほか)
第4章 ちゃんと野菜を食べなさい!(どうして野菜を食べるのか? 自動車を動かすのに必要なもの ほか)

[ 問題提起 ]
昔々、テレビのバラエティ番組の中で、ムカデやタガメのフライを食べる罰ゲームをやっていた。

タガメは、見るからにオレサマの面構え。

食うんなら食ってみろよと、昆虫然とした格好でこんがりと素揚げされていて、まあ、口に入れるのを躊躇するでしょう。

嫌がっているお笑いタレントに、「これは、タイ産ですから」とアナウンサーはにこやかに勧めていた。

観ていて気持ちのいい番組ではなかったが、タガメやムカデを食する人たちがいるということがわかって、世界は深いと思ったものだ。

しかし、自分が食さないからといって、異なるものを食べる文化の人たちをバカにするような視線は、おかしいんじゃないだろうか。

タガメを大写しにし、ぎゃあぎゃあ騒いでいたが、足をぎゅっと閉じたタガメの容姿、日本人の大好物のカニとどれほどの違いがあるのか。

つい、考えてしまう。

さて。

いま、TVでは、第何次雑学ブームではないにも関わらず、雑学番組が多い理由として、以下の要因があるようです。

・コンセプトさえ決まったらクイズを作るだけ

・クイズはネタ切れしない

・出したい芸能人を押し込みやすい

・制作費が安い

・番組がそれなりに盛り上がりやすい

・コンプラに引っかかりにくい

・本、ゲーム化しやすい

確かに、テレビに限らず、専門家が数学や科学や歴史などの知識について書いた本が、書店を賑わせている。

仕入れたとたん、誰かれなく「知ってた? あのね」と吹聴したくなるのがマメ知識というシロモノ。

そんな雑学系の本書は、人の性と申しましょうか、「ヤサイクン」とでも呼んでみたくなるほど、野菜たちが咲かせる花の可憐さ、美しさについての紹介。

どこからやってきたのかといった伝播ルーツや食べ方にいるまで、読んだら取って出ししてみたくなる一冊だ。

[ 結論 ]
なぜ、人間は野菜を食べないといけないのか。

野菜嫌いの子供に、大人たちは栄養のバランスを考えてとか、もっともなことは言うものの、その理由を問われると、しっかり認識しているわけでもない。

ライオンは肉しか食べない「偏食の王者」だし、ゾウは草ばかり食べて、あの巨体をよくぞ維持できるものだと、動物園でかれらが食事をする場面を見るたび、感心する。

さらに、コアラはユーカリ、アリクイなんかはアリしか食べない。みんなワガママ放題。

だからといって怒られたりするわけでもない。

ライオンはどうして野菜を食べないのに健康なのか。

理由は、草食動物を血や内臓も含めて丸ごと食べるからだという。

著者の説明によると、「丸ごと」がポイントらしい。

そっくり平らげることで、草食動物たちが摂取したミネラルやビタミンを得ることになる。

栄養のバランスということでいうと、人類の祖先は昆虫食で、虫だけ食べていれば何の問題もなかったとか。

しかし、食べるのに飽きたのか、果実食に変化していったことからサルからヒトへと変貌していった。

というような話をゆったりと語られると、へぇー、ほぉーだ。

吹聴したくなって、ここに小出しにしてしまったが、詳しくは本書に譲る。

マメ知識ついでに、流行りの野菜ジュース。

ワンパックで、1日に必要な野菜が摂れるとのうたい文句に愛飲してしまっているが、頼りきってはいけないと釘をさされてしまった。

「野菜を食べなさい」と言われる理由のひとつは、食物繊維の摂取にあるのだが、野菜ジュースにはそれが入っていない。

ジュースにするために砕くことで肝心のビタミンCの栄養成分は壊れてしまうし、飲み過ぎは糖分の取り過ぎとなる。

ラクして、おいしくて、いいことばかり、とはいかない。

そもそも「1日分の野菜」の宣伝コピーだが、これらのジュースの多くは、厚労省が推奨する1日分の野菜摂取量(350グラム)を下回る栄養素しか含んでいないとの消費者団体の指摘もある。

1本100円程度のジュースである。

なんでもかんでも期待を寄せるほうが、むちゃってものかもしれない。

話題をかえます。

なんせ、マメ知識で頭が膨らんでしまったものだから、取って出ししてみたくなるのだ。

おふくろの味といえば、「肉じゃが」。

古くからあったかのように思い込んできたが、間違いらしい。

肉食が解禁になったのは明治以降。

いっぽうのジャガイモはというと、1600年頃、オランダ人によってジャガタラ(現在のジャカルタ)から長崎の出島に持ち込まれた。

ジャガタライモが縮まったもので、遡ると南米のアンデス山地がふるさとだとか。

肉じゃがやカレーライスに大活躍のジャガイモくんだが、日本に上陸した当時は味が淡白なことからさっぱり人気は出なかった。

300年以上も日陰にいた。

それが一躍、肉とのコラボレーションでその淡白さが逆に生きることとなり、キッチンに欠かせない存在となった。

ジャガイモは、エピソードにも富んでいる。

「新大陸の発見」でヨーロッパにもたらされ、やせ地でも育ち、栄養分が豊富なことから世界中に広まったのだが、興味深いのは、

〈ところで、アメリカ建国の父といえばジョージ・ワシントンですが、元をたどればジャガイモこそが超大国アメリカの礎を築いた張本人かもしれません〉

1840年代にアイルランドで、ジャガイモの疫病が発生。

100万人もの餓死者が出た。

そのため、200万人ものアイルランド人が移住を決意し、多くが新天地アメリカを目指すことになる。

この歴史を変えた飢餓の原因はジャガイモの栽培にありました。

ジャガイモは芋を植えて増やすことができます。

そのため、アイルランドではたった一つの品種を国中で栽培していたのです。

一つに頼るということは、その一つの品種が病気にかかると国中のジャガイモが壊滅することとなる。

「男爵薯」「メークイン」は一般によく知られているが、長年の品種改良により、いまや2000以上ものジャガイモくんの種類が生まれている。

ジャガイモと並んで日本人になじみの深いサツマイモ。

こちらはメキシコ原産で、中国から琉球(現在の沖縄)、九州に伝来し、薩摩(鹿児島県)から広まったことからサツマイモと呼ばれるようになった。

伝播の経由地にちなんで「唐芋」「琉球芋」「薩摩芋」と呼び名も変わり、享保の飢饉の際に、サツマイモを栽培していた薩摩で餓死者が出なかったことから飢饉対策として各地に広まった。

普及に尽力した人たちは、その功績を称えて「いもじいさん」と呼ばれていたそうだ。

往年のヒーローも梯子をはずされ、いまや「いも」と呼び捨て。

世間というのはくるりと評価を変えてしまうものだという見本だ。

芋に限らず、野菜のルーツをたどると、その多くは新大陸の発見に行き着く。

いまではイタリア料理に欠かせないトマトも、新大陸からヨーロッパにもたらされたときには、真っ赤な色は毒々しくて有毒と、長い間観賞用の植物として扱われ、食材となったのは200年前のことだとか。

勇気をもって口にいれた最初の人は、エライ。

ダイコン、ニンジン、ゴボウ、ネギ、ナス。

大昔から日本にあったものと思いがちですが、ぜんぶ外国から伝えられたもの。

日本古来の野菜を探し出すとなると、こちらのほうが難しい。

野菜らしい野菜のほとんどが渡来品にあたる。

たとえばキュウリは、インド北部のヒマラヤ山麓がふるさとで、日本には仏教とともに奈良時代に伝わったものだとか。

日本原産と考えられている野菜は、セリ、ミツバ、フキ、ウド、サンショウ、ワセビ、ジネンジョなどがあります。

どれもこれも山野に自生しているものばかりで、野菜というよりは山菜といった感じです。

著者は学んだ知識を披露するだけではない。

野菜は、鳥や動物に実を食べさせ、種子を運んでもらうことで分布をひろめてきた。

スイカが真ん中になるほど甘みを増すのは、余さずに食べさせるための積年のスイカ自身の工夫によるもの。

人間は品種改良によって、野菜たちを都合よくコントロールしてきたつもりでいるけれども、実はこれも広範に種子を残そうとする野菜独自の巧妙な戦略に乗っけられただけのことかもしれないと、ドキッとすることを言う。

「もしかすると……、人間が野菜を食べるようになったのではなく、野菜が人間に食べられるように仕向けたとは考えられないでしょうか」

それはさておき、本書でいちばん心をそそられたのは、野菜の多くが咲かせる花たち。

ジャガイモの花は、純白の可憐さからマリー・アントワネットも愛でたとか。

食べ物としか見てこなかったハクサイやキャベツが咲かせる、黄色い菜の花。

確か、3月5日は、二十四節気の一つ啓蟄だったね。

土の中で冬ごもりをしていた虫が地上へ出てくる季節とされているけど、この時期は、虫だけでなく、冬を越した葉物野菜や根菜なども種子をつけるために、花を咲かせる準備をしているので、にわかに増す、見てみたいじゃないかという好奇心(^^)

【野菜の花 22種】野菜をあえて食べずに花を育てて見ました!この野菜こんなに綺麗な花が咲くの?1年間の野菜の花の記録です!

春に咲く「野菜の花」を見たことある?(ウェザーニュース記事より)

ダイコンやニンジンの使い残しのヘタを使えば、インテリア用の花を咲かせることができるという。

さっそくという気分だ、ね(^^)

【百人一首(近代・現代短歌)】ある世界(その5)

「なにとでも呼べる気持ちの寄せ植えにきみの名前の札をさしこむ」
(遠野サンフェイス『ビューティフルカーム』より)

「ね え見て よ  この 赤 今後  見せ られる  ことな いっすよ この量の 赤」
(木下龍也『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』より)

「ノウミソガズガイノナカデサドウシテセカイハイミトコトバニミチテ」
(森本平『モラル』より)

「ベツレヘム。生まれてきてから知ることの遅さで届くこの遠花火」
(toron*『イマジナシオン』より)

「マッチ擦る つかのま海に 霧ふかし 身捨つるほどの 祖国はありや」
(寺山修司『空には本』より)

「まひるまのひかり食べかけのポテトチップスに贅肉のごとき影なせり」
(西村美佐子『猫の舌』より)

「みづうみにあはくさしだすただむきのこの世にあれば桟橋と呼ぶ」
(黒田瞳『水のゆくへ』より)

「やはり<明日>も新鮮に来てわれわれはながい生活(たつき)の水底にゆく」
(三枝昻之『暦学』より)

「ゆうまぐれまだ生きている者だけが靴先を秋のひかりに濡らす」
(竹中優子『輪をつくる』より)

「わたくしの絶対とするかなしみも素甕に満たす水のごときか」
(築地正子『花綵列島』より)

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<短歌>
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【百人一首(近代・現代短歌)】ある世界(その6)
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【百人一首(近代・現代短歌)】ある世界(その7)
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【百人一首(近代・現代短歌)】ある世界(その10)
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<俳句>
【百人一句(俳句)】そこにクローズアップ(面白味を見ようと)してみると(その1)
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【百人一句(俳句)】そこにクローズアップ(面白味を見ようと)してみると(その2)
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【百人一句(俳句)】そこにクローズアップ(面白味を見ようと)してみると(その3)
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【百人一句(俳句)】そこにクローズアップ(面白味を見ようと)してみると(その8)
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【百人一句(俳句)】そこにクローズアップ(面白味を見ようと)してみると(その10)
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