これから聴き始める人のために、つまみ食いクラッシク「はじめの一曲」は?
あるジャンルの音楽に関して「分かる」「分からない」という言い方があるけれど、音楽を「分かる」ようになる。
つまり、ある音楽が「いいな」と思え、楽しめるようになるための方法を、興味深い実例を数多くひきつつ教示してくれる刺激的な啓蒙書が本書です。
「音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉」(中公新書)岡田暁生(著)
音楽とは、せんじつめれば音の響きなのであって、はじめから言葉を超えており、だから理屈をいっても仕方がないので、ひたすら感性に磨きをかけ、感覚を研ぎ澄まし、先入観に毒されぬ純粋で無垢な心で音楽にひたすら耳を傾けましょう――という立場と本書は対極にあります。
音楽が「分かる」とは、その音楽の属するジャンルが暗黙の前提とするルールを知ることであり、「一つの文化」に参入することなんですね。
そして、その文化の「歴史を知り、価値体系とそのメカニズムと含蓄を理解し、語彙を習得すること」だと筆者は結論づけています。
早い話が勉強しなさいというわけなんだけど^^;
たかが趣味で音楽を聴くのに勉強がいるのかよ、と不満に思う向きには、外国語を理解するには語彙や文法の勉強が必須であり、同じことが音楽にもあてはまるのだとする、本書に述べられた類比が説得力を持つのかなと、そう思います。
論述の背後には、現在の音楽文化に対する著者の危機感が見え隠れしています。
音楽文化を支える共同体の消滅と、商品化された音楽を心地よい響きを耳に入れるためだけに消費し、好きな音楽を自由に聴けばいいと思いながら、結局は、似たような音楽を孤独のうちに脳へ注ぎ込む人々の姿。
彼らは音楽の楽しみの大きな部分を失っているのではないか?
音楽をめぐって人と人が言葉を交わすことこそが、音楽の本当の悦びをもたらすのではないか?
そのように問う筆者の論述は、音楽文化の地平を超え出て、人と人との交わりの場であり、文化創造の場である「社会」を喪失した現代文明への批評になっており、真に考え抜かれたハウツー本が、高い批評性を持ちうることの、好例といってよいかもしれません。
さて、これから、音楽、特に、クラシック音楽を聴き始める人の素朴な疑問に答えるクラシック音楽の入門書として、「クラシック音楽をはじめよう。ブルータス初めてのクラシック音楽入門」と題して特集が組まれた『BRUTUS』が、以前、発売されていて、面白かったのを思い出したので、初めて聴くクラシック音楽を、何曲か紹介しておきますね(^^)
映画、ドラマ、CM、小説、雑誌などを通じて、日常的にクラシック音楽や、その作曲家、指揮者、楽曲名に触れてはいたものの、どうしてもその先へと足を踏み出すことができなかった方も多いのでは?
どこか敷居の高さを感じて身構えてしまったり、きっかけとなる1曲にも今の今まで出会うことはなく……。
本特集では、そんな迷えるクラシックビギナー向けに、知っておきたい常識・豆知識、おさえておきたいポイントなどを、Q&A方式に整理してわかりやすくガイドしてくれています。
マーク・トウェインも言っていましたね「機会がもはや機会でなくなる前に、それが機会だと見抜けたことはめったにない。」と^^;
自分の感覚的なところで判断して、チャンスを逃さないようにしないと^^;
確信が持てるまで待っていては、気がついた時にはチャンスは過ぎ去ってしまうので、見逃して後悔しないように、不確かな段階でも判断できるようになりたいものです。
この記事を読んで、なんとなくチャンスかなと感じてしまったら!
そうそう、クラシック音楽に親しむ人は業務成績が高いとか、科学的にも証明されたモーツァルトの楽曲がもたらす仕事へ効果があったり、感性を引き出し、創造性を高める効果もあるそうなので、これを機にクラシック音楽を聴いてみては如何ですか?(^^)
【初めて聴く協奏曲】
ヴィヴァルディ:合奏協奏曲集「四季」
日本人が最も好きなクラシック曲の一つであるヴィヴァルディの「四季」はイタリアのイムジチ合奏団の演奏でつとに有名です。
ヴァイオリン・ソロが活躍する協奏曲形式によって、春夏秋冬のさまざまな情景や風物を描写した曲です。
それぞれの季節のイメージを自分で膨らませて聴くのが楽しく聴くコツです。
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
ベートーヴェン、ブラームスのヴァイオリン協奏曲と並んで「3大ヴァイオリン協奏曲」と称される名曲です。
冒頭からソロ・ヴァイオリンが甘美に歌う、哀愁を帯びた抒情的な名旋律があまりにも有名。
穏やかな情緒と美しい旋律で、メンデルスゾーンのみならずドイツ・ロマン派音楽を代表する名曲です。
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23
ピアノ協奏曲のというより、クラシックの代名詞といってもいいほどの有名曲です。
冒頭の序奏は非常に有名で、誰もがどこかで聞いたことがあることでしょう。
また第3楽章ではピアノ協奏曲史上指折りの壮大な盛り上がりを見せます。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番とならんでロ○アの2大ピアノ協奏曲といわれています。
モーツァルト:クラリネット協奏曲
モーツアルトが最晩年に作曲した唯一のクラリネット協奏曲で、2006年英国クラシックFMのモーツァルトの人気曲第1位になったことからもわかるように、モーツァルトの全作品中最高傑作との評価もある曲です。
澄み切った音調で、悲しみともあこがれともつかない不思議な感情をたたえて美しく歌い上げます。
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
数ある協奏曲の中でも「王者」と評される「皇帝」は、ベートーヴェンの5曲ある最後の協奏曲です。
曲の副題の「皇帝」というのはベートーヴェンの命名ではありませんが、この曲の巨大で、力強く、堂々たる性格を的確に表現していると言えましょう。
アニメ版「のだめカンタービレ」の第1話でも登場しています。
ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調
都はるみの「北の宿から」(作曲:小林亜星)はこの協奏曲の第1楽章の冒頭のメロディをもとにして作曲されたといわれ、聴くとそのメロディがすぐ浮かんできます。
ショパンが祖国ポーランドを離れる直前に作曲し、告別演奏会で自ら演奏した曲で、ロマンティシズムにあふれ、民俗的なリズムも織り込まれたショパンの代表的作品です。
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
モーツァルトのピアノ協奏曲には短調のものが2曲しかなく、そのうち1つが第20番です。
華やかでありながら自然で、技巧的でありながら滑らかな旋律が溢れています。
特に第2楽章は「ロマンス」と題された、変ロ長調の美しいメロディで知られています。
この曲は映画「アマデウス」のラストテーマに使われています。
ロドリーゴ:アランフェス交響曲
スペインのアランフェスの王宮や庭園を彷彿とさせるギターコンチェルトです。
ギター協奏曲としては唯一無二の傑作であり、作曲家ロドリーゴの名を歴史にとどめることになった、いわずとしれたギターの協奏曲の中でももっとも有名な美しい作品です。
マルチェッロ:オーボエ協奏曲
マルチェッロはバロック時代にイタリアで活躍した作曲家です。
このオーボエ協奏曲はイタリア映画の「ヴェニスの愛」のテーマ曲になったことから脚光を浴びるようになりました。
映画の中で流れた第2楽章は、静かな弦楽オーケストラの伴奏にのって、静かに漂うような旋律をオーボエが演奏して、たいへんロマンティックで印象的です。
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲
ドヴォルザークの代表作の一つであり、チェロ協奏曲の最高傑作といわれています。
音楽愛好家には「ドボコン」の愛称で親しまれており、伸びやかでノスタルジックな旋律美と、華麗なパッセージが魅力的で、しかも雄大なスケールで表現したドヴォルザークの名曲です。
【初めて聴く管弦楽曲】
モーツァルト:「フィガロの結婚」序曲
数あるオペラの中でも最高傑作と評されるモーツァルトの「フィガロの結婚」の初めに演奏される序曲です。
プレストの軽快な序曲は、短いけれどまさにオペラの気分を見事に描き出しています。
その気分ゆえ、コンサートの最初の曲として演奏されることも多い。
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の第1幕への前奏曲は、単独で演奏される機会も多くよく知られています。
この楽劇は愛する人のためにマイスタージンガーになろうと挑戦する若者の物語で、上演時間に4時間近くを擁する大作ですが、明るい音調に溢れているためか、高い人気を誇っています。
ラヴェル:ボレロ
「音の錬金術師」と呼ばれるラヴェルの名曲です。
曲はすこぶる単純で、メインテーマが形を変えることなく延々といろいろな楽器に受け渡されながら繰り返されます。
それを小太鼓で2小節のボレロのリズムが支える。これも形を変えず169回も繰り返され、曲が進むにつれて楽器が次々と加わっていき音量を増していきます。
チャイコフスキー:スラブ行進曲
チャイコフスキーが作曲した演奏会用の行進曲。
トルコとの戦争でスラブ民族を鼓舞するために作曲されました。
ダイナミズム、華麗さ、豪快さ、優雅さに彩られた表情豊かなチャイコフスキーの傑作の一つです。
チャイコフスキーはこの作品の原型となるセルビア・ロ○ア行進曲をわずか5日間で作曲しまといわれています。
ベートーヴェン:「エグモント」序曲
実話にもとづいたゲーテの戯曲「エグモント」のために書かれた付随音楽です。
序曲のみがオーケストラで演奏されるほど有名になっています。
短い曲ですがベートーヴェンの作風のエッセンスが凝縮された作品で、ベートーヴェンを聴く方への入門編としてお奨めする名曲です。
シベリウス:フィンランディア
シベリウスの作品の中でとりわけて有名な「フィンランディア」は、シベリウスがロ○アの支配下にあった祖国フィンランドへの情熱を込めた作品です。
8分ほどの曲ですが、フィンランド民族の心の叫びが表現されており、特に中間部の賛歌はフィンランドの第2の国歌とまで呼ばれています。
ムソルグスキー:展覧会の絵(ラヴェル編曲)
原曲はムソルグスキーによって作曲されたピアノ組曲です。
「展覧会の絵」が名曲としてクローズアップされたきっかけは、ラヴェルによる管弦楽用の編曲でした。
古今東西の多くの音楽家によりさまざまな編曲がなされている名曲ですが、ラヴェルによるものが一般的になっています。
ストラヴィンスキー:春の祭典
ストラヴィンスキーの三大バレエ音楽「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」の一つで、この春の祭典は、ストラヴィンスキー自身が見た不思議な幻想をヒントに作曲されたといわれています。
複雑なリズムと不協和音に満ち、現代音楽の象徴ともいうべき曲です。
高校の歴史の教科書にも載っています。
ホルスト:組曲「惑星」
ホルストの組曲「惑星」はその題名を知らなくても、誰もが一度は耳にしたことがあるクラシック曲です。
コマーシャルやTV番組にも多く使用され、その壮大な旋律はハリウッドの映画音楽を想わせます。
中でも第4曲「木星」は非常に人気があり、平原綾香さんの歌で有名になった「ジュピター」の原曲です。
スメタナ:交響詩「我が祖国」より“モルダウ”
「モルダウ」はチェコを代表する作曲家スメタナが作曲した交響詩「我が祖国」の中の1曲です。
作品2の「モルダウ」はボヘミアを南から北に流れエルベ川に合流するモルダウ川の源流から始まり、祖国の風景が感動的に歌われていきます。
2本のフルートのソロから始まる描写フレーズは印象的です。
【初めて聴く交響曲】
ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 作品67 「運命」
「運命交響曲」と呼ばれ、クラシック音楽の中でも最も有名な曲の1つとして広く知られています。
「運命が扉を叩く」といわれる第1楽章冒頭のテーマは、音楽ファンならずとも世界中誰でもご存知の曲です。
この曲がきっかけでクラシック音楽のとりことなった人も多いと思います。
ハイドン:交響曲第94番「驚愕」
このハイドンの「驚愕」は別名「びっくりシンフォニー」とも言われています。
静かな第2楽章で突然の大音響が鳴り響く所から来ていますが、これはウィットや遊び心に富んでいたハイドンが、コンサートで緩徐楽章になるとうたた寝をはじめる貴婦人たちを起こすためにハイドンがこうしたお遊びを仕込んだとか・・・・。
シューベルト:交響曲第8番「未完成」
シューベルトの代表作のひとつです。
ベートーヴェンの「運命」とドヴォルザークの「新世界」と並んで三大交響曲と呼ばれ大衆的な人気があります。
この曲は2楽章のみで作曲が終えられているため(原因は不明)、「未完成」という愛称で親しまれています。
一度聞いたら忘れられないほどのロマンティックなメロディーに溢れた曲です。
メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調作品90「イタリア」
メンデルスゾーンがイタリア旅行中に書き始められたこの曲は、さわやかな第1楽章冒頭部の旋律が魅力的な名曲で、躍動的なリズムと叙情と熱狂でつつまれています。
銀行家の父を持ち、大変恵まれた環境の中に生まれたメンデルスゾーンを象徴する交響曲です。
モーツァルト:交響曲第41番ハ長調K.551「ジュピター」
W.A.モーツァルトの3大交響曲(交響曲第39番~第41番)の最後を飾った完成度の高い「最高の交響曲」といわれている曲で、堂々とした壮麗な非常にスケールの大きい曲です。
「ジュピター」とはローマ神話に登場する最高至上の神のことです。
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
誰でも一度は聞いたことがあるドヴォルザークの「新世界」は、ドヴォルザークがアメリカを訪れた際の故郷ボヘミアに寄せる郷愁が交錯する彼の代表作です。
あまりに有名なメロディーを持つ第二楽章は「家路」という名でも知られている。
モーツァルト:交響曲第40番ト短調K.551
W.A.モーツァルトの作品の中で最も有名なものの1つです。
交響曲第39番、交響曲第41番とともに「3大交響曲」と呼ばれています。
第一楽章の出だし部分のメランコリックな美しさは他に類をみないほどです。
CM等でも多く使用されています。
ベートーヴェン:交響曲第3番ホ長調「英雄」
この曲はベートーヴェンがナポレオンに捧げるために作曲しましたが、ナポレオンが皇帝に即位というニュースに、ナポレオンに失望して楽譜に「Eroica」と書いていたところを、楽譜に穴が開くくらいペンで黒く塗りつぶした。
というエピソードがあります。
第5番の「運命」に比べると地味ですがベートーヴェンらしい名曲です。
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付」
ベートーヴェンの創作活動の頂点にある最高傑作と言えばこの「第九」です。
第4楽章に合唱および独唱が導入され、特に「歓喜の歌」として親しまれています。
日本では年末になると100回を超える数の「第九」演奏会が日本全国で行われ、年末の風物詩にもなっています。
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」
チャイコフスキー自身も出版社に宛てた手紙の中で「傑作を書きました。この作品は私の心からの真実です。今までにないほどの誇りと満足とよろこびを感じています。」と記しています。
チャイコフスキーは初演の直後に死んでしまうのですが、彼の人生の苦悩を表すような、感情がむき出しの作品になっています。
【参考記事(引用元:Calming Piano.)】
最近のピアノに関するマサチューセッツ工科大の研究では、 プロのピアニストの大脳皮質は、他の音楽教育を受けていない知的な人々に比べて30%も大きいことが判明しました。
カリフォルニア州での別の調査によると、シリコンバレーのCEOの75%が、子供の頃に楽器演奏をしていました。
これは何を意味するのでしょうか?ピアノは記憶と知性の鋭さを高めるので、あらゆる年齢から学べるだけでなく、楽しく、結果に表れ、耳は音楽を愛するようになり、手の器用さも増していきます。
私たち現代人の多くは、二つの親指で携帯の文字を打ち、人差し指はマウス移動の動作の繰り返しばかりです。
ピアノや他の楽器を演奏しようと思っていない人々もその多くが、仕事や勉強をしている間に音楽を聴くことが大好きです。
ピアノはここ数百年もの間、多くの音楽愛好家に喜び、悲しみ、愛とロマンを提供してきた、何世紀も前から存在している古い楽器です。
音は私たち誰にとっても重要なものです。
その瞬間に感じたいと思っている感情を呼び起こしてくれます。
また、私たちを取り巻く日々のネガティブな力から私たちの気をそらすのにも役立ちます。
【参考図書】
「クラシック音楽鑑賞事典」(講談社学術文庫)神保ケイ一郎(著)
【参考サイト】
音楽は人生を豊かにする。音楽の魅力3つ
https://minichestra-media.com/attraction-of-music/
音楽を「学ぶ」理由とは何か?
『クラシック音楽を初めて聴こう』と思った時に難しさに躓かない5つの方法
http://classic-youtube.com/?p=61
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