【宿題帳(自習用)】「算数」をやり直してみる
大人のおさらい1科目目は算数。
算数と聞いただけで苦痛に感じたりしますか?
そうであったとしても、皆、知らず知らずのうちに、算数をしています。
数は、文字ができる前から存在しています。
算数が面白くない学問なら、なぜ、こんなに算数が発達したのか?
説明がつかないのは、端的に言えば、人間は、本来、算数が好きだからではないでしょうか?
それに、算数は、何かと役に立っていますよね。
人間の社会や経済は、算数(数学)がなければ成り立ちません。
誰でも算数を操っています。
なのに、皆、算数が嫌いだというのは、どこか不自然に感じます。
それは、算数が根っから嫌いなのではなく、算数を嫌いにさせられているだけなんじゃないかと、そう思います。
それを端的に示す言葉が「算数は、世の中に役に立たない。」と仰る方々ではないでしょうか?
算数は、元々、必要性から生まれた学問であるから、無用の用などと馬鹿げた事を言うのは止めた方が良いと思います。
ただ、算数には、大雑把な所と、繊細で厳密な側面があるのは事実です。
実用的な部分と、非実用的な部分がある事も事実です。
それは、算数は、手段であって、本来、合目的な事なんですよね。
数は抽象であり、数が指し示す対象によって数の性格も違ってきます。
そう、数学(算数)とは、小学生までの算数では決してない、ということ。
大人がやりなおすだけの価値は、確かにあると思います。
たとえば、以下の問題。
あなたは、どう解きますか?
【問題】
何人かの子どもたちにキャンディーを配ります。
1人に4個ずつ配るとキャンディーが10個余り、7個ずつ配るとキャンディーが5個足りません。
(1)子どもは何人いますか?
(2)キャンディーは何個ありますか?
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【解答案①】
大人、というより連立方程式を知っている人であれば、こんな感じでしょうか?
子どもの数をx、キャンディーの数をyとすると、
4x + 10 = y -- (1)
7x - 5 = y -- (2)
(2) - (1) で、 3x - 15 = 0 、よって x = 5
(2)または(1)に x = 5 を代入すると、y = 30
数学の答えとしては、これでOKです。
しかし、算数では方程式はまだ使えません。
あなたならどうしますか?
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【解答案②】
以下は、算数の答えの一例です。
キャンディーを4個から7個に増やしたら、10個余るのが5個足りなくなった。
・キャンディーを一人あたり3個増やしたら、15個余計に必要になる。
・子どもは15÷3で5人。
・キャンディーは4×5+10=30個
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確かに方程式を使うと、ほとんど考えなくても解けますよね。
問題をそのまま方程式に書き直し、方程式をそのまま解けばよいのだから。
式が勝手に解いてくれる算段です。
これこそ方程式の醍醐味ですね。
しかし、それは、頭をそれだけ使わないということでもあります。
そして、解法の一般性が高い分、答えを出すのが遅くなります。
それと比べて、算数では、いちいち別の問題に別の解法をひねり出さなければなりません。
その分頭を使うし、そして、解法の一般性が低い代わりに、答えがずっと速く出ることになります。
実は、上の問題、10歳の子供とその4倍の年齢の大人の双方に解いてもらった結果、算数的に解いた子供は、数学的に解いた大人の四倍速く回答した事実があり、算数の圧勝であったとのことです。
私自身は、物心がついた頃には、代数を使っていたのをはっきりと覚えています。
数学が難しくて頭が痛くなってきたら、算数に回帰してみるのもよいかも知れません。
脳の別の部位が刺激されるのがはっきりわかる筈です。
前述の計算手法の違い以外で考えてみると、算数は、計算だと思っている方がいるかも知れませんが、計算ばかりが数学ではなくて、図形だって数学の一部であり、考えること自体が数学です。
では、なぜ、分数や小数、無理数なんて数字があるのか?
それは、数学の根底に幾何(※)があるからなんです。
そう、近代数学の原点は、この幾何にあります。
※印:
「ユークリッド幾何学」
中学校で扱う三角形の合同などは、ユークリッド幾何学という2000年以上前から知られている幾何学です。
それが記されている「ユークリッド原論」では、「点とは部分をもたないものである」等の点、直線、円などの定義、そして、それらが満たすべき五つの公理のみから理論を構築しています。
公理の一つは「平行線公理」と呼ばれ「直線L上にない点を通りLと交わらない(つまり平行な)直線が唯一本引ける」というものです。
これを「公理」とすべきか他の四つの公理から導ける「定理」なのかという論争が続き、決着を見るには19世紀まで待たなければなりません。
このユークリッド原論は、数学のみならず、すべての学問の根本にあるものを与えてくれます。
「様々な経験的事実から、本質を見抜き、論理体系を作り上げる。また、証明を与え、理論を普遍的なものとする」
つまり、「学問とは何をするものか」に対する回答を与えているのです。
分数や小数、無理数が生まれ、でなければ割りきれない数の存在なんて意味がありません。
幾何、図形があるから、無理数のような割り切れない数が成立できることになります。
それでも、今の日本は、最初に計算を教える不思議な教育現場(^^;
数は、ただ体系としてのみ教えれば良いと考えています。
算数は、計算だと思ってしまうし、代数だと思うのだろうけど、計算は、算数の本筋ではありません。
そう、ただ、試験をするのに便利なだけです(^^;
算数を学ぶ時は、数の歴史を学ぶべきだと考えます。
なぜならば、算数は、まだまだ発展途上にあり、完成されたものではないからです。
決まり切ったように、計算から教えてしまうと、算数を経た後の数学の本質が見えなくなるからです。
さて、有理数、無理数、整数の中で一番最後に成立したのは、整数です。
先ず、その前に0という数字を認めなければなりませんでした。
なぜ、整数が成り立たなかったかというと、マイナスという考え方が理解できなかったからです。
そう言えば、マイナスの世界なんてあり得ないと、かのデカルトだって言っていましたね。
それから、0と言う数字の概念については、どうしても0という意味がわからなくて、0を認められるようになったのは、近代になってからです。
無理数は、ピタゴラスが発見したと言われています。
但し、肝腎のピタゴラスがあり得ないと言って秘密にしてしまったのですが、秘密をばらした弟子を殺してしまったとさえ言われています。
皆が、マイナスとか、0とかがよく理解できないと言うのは、当然なんですね。
それをあたかも当たり前のように教えてしまう数学の教育現場における問題は根深いと思われます。
そんな教え方だから、意味がわからなくなって、数学嫌いを増やすことになっているのではないでしょうか?
数学というのは、簡潔に纏めると歴史なんですよね。
昔、庶民の勉強と言えば、読み書き算盤と言いました。
読み書き算盤が出来なければ、一人前の人間とは認められなかったから、寺子屋の勉強は、読み書き算盤が主体だったんですね。
逆に言えば、読み書き算盤が出来れば、とりあえず生活は出来たと言えます。
問題なのは、算数や数学が現実離れをしてしまったことにあります。
それによって算数や数学嫌いにしてしまっている様に感じます。
算数や数学は、日用の役に立たないなんて誰が教えたのでしょうか?
更に事態を深刻にしているのは、教える側の人間が、自分達が、子供達を算数嫌い、数学嫌いにしてしまっているという事実を認めないことではないかと推定します。
算数や数学は、人々の生活の中にこそ息づいていて、現実に存在しています。
数学や算数がなぜ、ここまで発達をしたのか?
それは、元来、算数や数学マニアみたいに、算数や数学を楽しむ人間が多くいたからです。
算数や数学は、パズルやトランプ、賭け事といった遊びの一種でもありました。
また、算数や数学は実用でもり、魔法でもあり、信仰の対象でもあったからこそ、数学は、発達しました。
それなのに、方程式の解き方や公式の暗記ばかりをさせられて遊びがなくなってしまうと、数学や算数の持つ面白味や楽しさが失われてしまい味気ないものになってしまうと思いませんか?
算数や数学は面白くて楽しいものなに。
数学は、生活であり、学問の入口にあり、歴史であり、論理であり、科学であり、哲学です。
数学は、成り立ちが重要なんだよね。
故に、数学の基礎を習得するためには、数学の歴史は不可欠だと思います。
なぜ、数の概念が成り立ったのか、それが理解できなければ数学の本質は理解できないから。
数学は、計算技術だけで成り立っているわけではありません。
また、数学は、方程式を操作したり、計算をして一定の解答を得ることが目的なのではありません。
それは、どちらかと言えば副次的な問題です。
大切なのは、物事を論理的に組み立てられるようになることです。
そして、数学で大切なのは閃きであり、センスだと思います。
単に公式を暗記したり、複雑な方程式を解くことばかりに目を向ければ、数学的なセンスは養われません。
なぜならは、数学者は、数学の持つ美しさに引かれるのであり、数学の美しさは、単純明快さにあるからです。
【参考図書】
「やりなおし算数道場―小学校でこう教わりたかった!」歌丸優一(著)/花摘香(漫画)
【関連記事】
何か疑問を持つことで見方が変わってくることも多いよね(^^;
https://note.com/bax36410/n/nc54221f64fe1
改めて数字の持つ奥深さに魅せられる(^^)
https://note.com/bax36410/n/n66154396b9a7
【参考マガジン】
数学マガジン
https://note.com/piccolotakamura/m/m7a098a50fcd4
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