『人が言語化できない事』はマーケットになる #A03
欲しいものを『言語化できない人達』に、『適切な言葉』を提供するとマーケットになる
営業や商品開発チームで仕事をしていると、商品の評価や新商品のヒントを得るために、現場に出向いてユーザーの声を聞いたりコンサルに依頼してマーケットリサーチをします。
しかし結果を見ると、大体予想した答えが羅列していてがっかりしたという経験はありませんか?
例えば「当社の製品について、使いにくい点があれば幾つか上げて下さい」とか、「当社製品の性能についてご不満、ご要望を教えて下さい」というのも結構あります。
しかし、聞かれたユーザーにしてみれば普段何も考えず使っている商品に対して、いきなり不満とか要望を聞かれても的確な言葉が浮かぶはずもありません。
しかし、企業はこういったアンケートの結果を真摯に受けとめて商品開発をしてしまい、不発に終わったなんて話を良く聞きます。
ここに面白い話があります。あるファストフードチェーンの商品開発プロジェクトがミルクシェイクの商品開発のために、毎朝ミルクシェイクをテイクアウトするお客様に聞き取り調査をした話です。
読者は、既にこの調査のダメな点についてお気づきだと思います。それは当社の製品がもっと売れるためにどうすれば良いのか?に焦点をあてて調査した点です。
つまり顧客への貢献という視点を持たず、売上げを上げるという視点で考えた結果といえます。
この会社は、考えを改めて「何故 お客様はシェイクを買うのか?」という視点で質問した結果、以下のようなことが分かりました。
この結果から、この企業は退屈な通勤時間を埋められる商品という点に焦点をあてて、以下のような戦略を立てました。
つまり、この顧客が求める欲求は、通勤途中の車内で退屈したくないという欲求と、朝の会議までの空腹を満たす欲求の二つで、企業が考える味のバリエーションが第一ではなかったのです。その結果は売上げが大幅に上がったそうです。
私も若手の営業時代。お客様のところに出向き、どんな製品が必要で、どのくらいの価格なら受け入れられるのか?、いつまでに必要か?を聞いて、そのまま日報で報告していましたが、上司からよくこんなことを言われてました。
「飯田君。それさぁ。。せめて『何が起きて』、『何故それが起こったのか(仮説と課題)』を教えてくれないかなぁ。。。その上で『何をすべきか(戦術)』を一緒に考えようよ」と言われて、何度も書き直した覚えがあります。
コミュニケーションとは、聞き手も話し手も『何が起こって』、『何故それが起こって(仮説立てと課題設定)』、『何をすべきか(戦術)』を組み立てれば、相手の問題を理解したり、自分の考えを伝えやすくなるということなんですね。
次回は、コミュニケーションの勘違いについてお話したいと思います。