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武器になる哲学 第7回

どうも!地方公務員のばたやんです!

今回は、人間が人間であるがゆえに陥ってしまう構造について書いていきます。

🔷疎外
~人間が作り出したシステムによって人間が振り回される~

カール・マルクス(1818~1883)
ドイツ・プロイセン王国出身の哲学者、思想家、経済学者、革命家。
1845年にプロイセン国籍を離脱、以降は無国籍者であった。
包括的な世界観および革命思想として科学的社会主義(マルクス主義)を打ち立て、資本主義の高度な発展により共産主義社会が到来する必然性を説いた。

🔷疎外とは

人間が作り出したものが人間から離れてしまい、むしろ人間をコントロールするようになること。
疎外が大きな問題になるのは、人間が作り出したシステムによって人間が振り回されるようになる、ということです。

🔷4つの疎外

マルクスは、著書「経済学・哲学草稿」の中で、資本主義社会の必然的帰結として、4つの疎外が発生すると指摘しています。

1.労働生産物からの疎外

例えば、狩人が山で仕留めた熊を持ち帰るのは当たり前ですが、工場で出来上がった商品を工員が勝手に持ち帰ることは許されません。
なぜ勝手に持ち帰ってはいけないのか、それは商品は会社の資産の一部であり、要するに株主=資産家のものだからです。
自らの労力によって生み出したモノにもかかわらず、自分のものではなく、さらには世に出ることで、自らの生活が影響を受けることになります。
これが労働生産からの疎外です。

2.労働からの疎外

現在の考えかたには則さないとおもいますが、マルクスがいた当時、労働中の労働者は多くの場合、苦痛や退屈さえ覚え、自由が抑圧された状態にあるという考え方があり、この状況をマルクスは問題視し、本来「労働(labor)というのは人間にとって創造的な活動(work)であるべきだ」と賃金労働制によってゆがめられていると指摘しています。
労働からの疎外とは、人間は労働している間、自己を感じることができず、労役から解放されて初めて独立した自分となることができあるようになることです。

3.類的疎外

マルクスによれば、人間は類的存在、つまりある「種類」に属しており、そこで健全な人間関係を形成する生き物だと言っています。
しかし、分業や賃金労働によって健全な人間関係は失われて、労働者は資本家が所有する会社の「機械的な部品=歯車」となってしまう、これが、類的疎外です。

4.人間(他者)からの疎外

資本主義において、労働者の人間の価値は”生産性”だけが問われ、人間らしい「労働の喜び」や「贈与の喜び」は失われてしまい、むしろ「他人からいかに奪うか」「他人をどう出し抜くか」に専心してしまいます。
これが人間からの疎外で、わかりやすく意訳すると「人間らしさからの疎外」ということです。

🔷現代への疎外の投影

疎外は人間が作り出したシステムが制御できなくなることを指しており、現代で起こっている疎外のひとつに「人事評価制度」があります。
人事評価制度自体は、組織のパフォーマンスを最適化する目的で、人の能力や成果を適正に評価することを狙って人為的に設計されたシステムです。
ですが、ご存じの通りほとんどの企業・役所では「人事評価制度をとにかく回す」、最悪「決められているのでやっている」となっており、方法が目的化してしまい、先ほど書いた組織のパフォーマンスを最適化する目的での観点の評価がほとんど行われていません。
疎外とは、目的とシステムの間に想定された主従関係が逆転し、システムが主、目的が従属化してしまうことで起こるのです。

🔷疎外からの脱却方法

ルールやシステムで人の行動をコントロールしようとするから「疎外」は起こる、であれば、理念や価値観といった”目には見えない”内発的なものによって、望ましい行動へと促すのが重要ではないでしょうか。

第7回

この記事の内容が誰かの力や気づきになれれば幸いです。

それでは、地方公務員のばたやんでした。