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『1回しか言わないからね!』は悪手
おはようございます。音楽家、チューバ奏者、指揮者、金管バンドディレクターの河野一之です。
おでんや鍋ばかり食べている河野です、大好き
本題に行かれたい方は以下目次より題名へ、お知らせをご覧いただける方はこのままスクロールをお願いします。
お知らせ
各種お知らせは以下のアカウントよりご覧ください。
ブラスバンド獅子座其の参 2/1(土)16:30開場
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Nexus Brass Band 2/15(土)AM
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Nexus Brass Band 2/23(日)11:45~
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2/24(祝月)Riverside British Brass 第23回定期演奏会
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Brass in Recital 16th 開催のお知らせ
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Brass in Recital 16th 開催決定!
開催概要
📅 日程:3月30日(日)午前・午後 📍 会場:草加市中央公民館 大ホール
🔗 会場アクセス
募集要項
🎺 ソリスト:15分 / ¥27,000
🎷 アンサンブル:20分 / ¥35,000
(※出入り込み)
今回は 川口リリア が改修中のため、 東京ブラスバンド祭 でも使用された 草加市中央公民館 大ホール で開催します。
広く充実した音響のホールで、皆さまのご参加をお待ちしております!
📩 ご応募・お問い合わせ DMまたはコメント欄へ!
『1回しか言わないからね!』は悪手
音楽家としてチューバ奏者や指揮者として活動をさせていただく中で、演奏者そして指導者としての活動もあります。
そういった中では何かに関し指示を出させてもらって全体をまとめたり、自分が持っている知識や経験をご指導させてもらうという業務もあるわけです。このような時によく自分自身思いやすいことや耳にするのが
「前も言ったじゃん!」「一回しか言わないからよく聞いてね」
などの言葉です。
レッスン実践編
最近は日本吹奏楽業界ではソロコンテストの時期なようで、さまざまな立場の方がレッスンをご受講くださり、そのレッスンの最中で「絶対にこれはしておいた方がいいな!」と思うことがあった際やはり必ず僕ら指導者側は伝えます。当たり前の話です。
ですが、その際のスタンスには気をつけなければならないなと思うのです。
①
もし生徒さんが緊張していた場合、指導者の言葉なんて耳から耳を通って筒抜けになっていることが”よく”あります。まして中学生や高校生にとってプロの音楽家というのは畏怖してださるのか、河野が図体が大きいがためにそうなるのか、はたまた両方かなのですが、やはり緊張をされてしまいます。
なので、まず何かを伝える前に生徒さんの様子を見てこちらのお話やアドバイスが聞こえているか=緊張で伝わっていないということはないか確認する必要があります。
もし緊張なされているようならコミュニケーションを取ったり、演奏に関しポジティブな感想をお伝えし、「悪いところを良くする」という減点からの修正ではなく「もっとこうしたらこんなに素敵になると思いませんか?」の加点方式でアドバイスをすると心が落ち着かれる経験が多いです。その上でお話をします。
さて、とりわけレッスンの終盤。その日一緒に研究したこと内容でその生徒さんが「お一人でも研究できるような内容のご提示」が必要になります。河野としてはここを覚えてお帰りいただきたいわけです。
ですが多くの場合1時間もレッスンを受けていると頭がパンク状態になったり、レッスンを受け慣れていない生徒さんであれば10分でも頭がいっぱいです。なので、例えば「ここはこういう風に今日一緒に研究をしたので、次回はこうなっているといいですよね、なのでお一人の練習の時に★こうしてみてください」というお話をします。
その後いくつかの項目について同じようなテンプレでお話をし、最後に3〜4項目に絞って「お一人で練習する際は①★②★③★④★の四つに気をつけて練習してみてくださいね」と言う風に要点だけお伝えします。
この時に「時間がないので一回しか言いませんからぜひ覚えてください」は時間が無くなってしまうようなレッスン進行をしたこちらのミスなので、そのようなことは言わず、あらかじめその日のレッスンの復習も多少なりともできる時間配分を行い、その上で要点をメモなり、覚えて帰っていただくというのが重要です。
なので上記した★の内容についても、逆に質問を仕返し、「その★はなんのためにされるんでしたっけ?」と聞き返すことで、お一人で練習される際にも★の内容について”なぜやるか”ということに要点をおいて練習することができるわけです。
②
本当に大事なことを受講者様に覚えておいてもらうには、覚えたくなるような興味関心=アハ体験のようなものが大事です。
ちょうど昨日レッスンをさせていただいていて嬉しかったのですが、リップスラーでチューニングのBbの音から下降しBb-F-Bbとオクターブ下のBbを演奏してもらったのですがそのBbがあまりいい音がしません。
色々アドバイスはして、しっくりきたのがトロンボーンという楽器のレッスンだったため決して軽い楽器ではないトロンボーンを担いでような形で吹いているため重さで徐々に楽器がベルを重心に下がってしまっており、さらに
「音を下げていく」という言語的な無意識で音を下げていくのと同時に楽器ごと下げていっていたのです。これにより唇への圧迫が増えたり、息の通りが悪くなって下のBbが綺麗になっていませんでした。
なので、添えるぐらいの力でトロンボーンのスライドを下方向から手を添えてそのまま跳躍(リップスラー)を行ってもらうと、重さによって楽器が下がることがなく、さらに跳躍によって下降する際に息を上にしていくイメージをもってもらったことでBb-F-Bbの三つの音がスムーズになりました。
この時に「あぁ!」とアハ体験が生じたようで、「なので楽器の重さがあって疲れるだろうから、休憩の時はダラダラして吹く時だけは姿勢に気をつけてみてください。また音が上向、下降させていく時にイメージで吹くと顔や楽器、身体ごと上下に動いてしまうので、それによって唇の振動の妨げや息の流れが阻害されないようにしてみてくださいね」と言うと覚えてもらえます。
そして、ここからが1番大事です。
本当に大事なことなら覚えて(分かって)もらえるまで言う
心理学や会話の本にも再三書かれていますが、
分かってほしいと思うことならば、手を替え品を替えてでも何度も繰り返し伝える。分かってもらえなかったらこちらの言い方を変える。分かってもらえるまで伝える
これが本当に大事です。
例え生徒さんが受講したいとご依頼をしてくださってきてくれたレッスンであろうと、伝えたい、分かってほしいと思っているのは「こちら」なので、相手にそれを受け入れてもらうには多種多様なアプローチ、相手に飽き飽きさせない、でも繰り返せるような工夫、言い方、ステップ、システムなど「こちら」の工夫が必要です。
覚えない相手が悪いのではなく、覚えてもらえないこちらのやり方が違うのです。
なので河野は何度でも言いますし、たくさん心理や会話の本を読んで伝え方を学び様々な伝え方を工夫してみようと試みます。そして、自分がウンザリするのは自分の弱さ、忍耐力が低いだけと言うのも理解しているので、とにかくしつこくても謝りながら何度でもお伝えします。
『1回しか言わないからね!』『大事なことだから一回で覚えてね』
ではなく、大事なことなので
『うんざるするかもしれないけど、覚えて(分かって)もらえるまで何度でも言うね』、『何度でも言うし、たくさん失敗してもらって経験値を積んでもらえたらいいので、とにかく身につくまで何度でも言うからね』
と指導者側、お伝えする側が覚悟を決めて付き合わなければなりません。
面白い記事がありました。
とりわけプロ同士であれば専門教育を受け、その後業界で研鑽を積んでいるはずなので阿吽の呼吸で色々進みますし、進まない人とはもう一緒にやらなければいいだけの話なので話はシンプルなのですが、実際に音楽業界で生きていくとはそうは問屋が卸しません。
やはり分かっていただいて、覚えていただかなければならないことはたくさんあるので相手の立場に立って、どうしたら覚えたくなるか、どうしたら理解しやすいかを考えながらお伝えするのが大事です。
相手のせいにするのは簡単ですが、いつでも「どうなったら良いのか」という結果を考え、結局覚えていただいたり、分かっていただいた方が結果的に良いことが多いわけなので、その発信者側の工夫が必要で、それは決して一回や二回伝えた程度で覚えて、理解してもらえるなんて思うこと自体が烏滸がましい話なわけです。
今日もありがとうございました。
Thank you
Kazz
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