バスケなめんなよ　14話

中央中との試合…

既に両チームがアップを始めていました。
鳥川中のメンバーにも笑顔が戻って少し安心しました。

7－2－7
スタメン　
涼　　　PG
大翔　　SG
三井　　SF
槙野　　PF
金剛　　C

試合が始まりましたが、やはり鳥川中と中央中に実力差はほぼありません。

逆に言うと、夏休みにもう少しきちんと練習していれば差がついてたように感じます。

中央中のキャプテンは公太（こうた）と言い、涼と同じミニバス出身です。
その他に1学年下の裕也（ゆうや）も同じミニバス出身なのです。
この二人はかなりテクニックがあります。

公太はシュートを決めきる力に長け、裕也はドリブルテクニックに長けています。
この二人がガード、シューティングガードなのでボールを奪う事はかなり難しいし、ドライブで突っ込んできて、金剛と同じくらいのセンターに合わせられるとかなり厄介です。

そうこう考えてるうちに早速、1学年下の裕也にやられました…むむ…
鳥川中も金剛のセンタープレーでやり返します。

やはり中央中は公太と裕也以外の3人は何も出来ないようです…
センターには気をつけなくてはいけませんが、何とかなるはずです。

しかし、それは鳥川中も同じ事でした…
涼、大翔は何とかやれてますが…
槙野、三井、金剛はやはり酷いプレーを連発しています。

槙野はリバウンドは取れるけど、ゴール下が1本も入らない…

金剛は動けてる風だけど、トラベリングしかしない…

三井は全くダメ…

そして、この3人に共通しているのが
ＤＦで必ず迷子になってしまう！と言う事です。

さっきもお伝えしましたが、ヘルプ&スイッチが全くできていないのです。
涼が槙野のマークマンにスイッチしたのに、槙野は涼の後ろでそのマークマンのＤＦをしているのです……
三井も金剛もこんな感じです…

とは言え、実力差がほぼ無いのでいい勝負を繰り広げておりますｗ

アクシデント！？

その時でした

金剛「ぐっ……ぐ…」

金剛は足を捻ってしまいました。

立ち上がる事が出来ないくらいなので少し心配でした。
前半残りわずかだったので、代わりに1年生の誠也を出すことにしたそうです。

誠也はミニバス経験があるのですが、途中で辞めてしまったのです。

でも、もう一どバスケがしたくて再度中学からバスケを始めました。

とは言え、金剛の代わりになるはずもありません……
ここが踏ん張りどころです。
何とか前半を1点差で折り返す事が出来ました。

前半終えて

鳥川中　　中央中
　9　　　　10

ほとんど実力差は無いのですが、鳥川中はイージーミスが多すぎます…
ゴール下、キャッチミス、パスミス……これが半分で済んでいれば…

後半が始まり、ついに槙野がゴール下を決め逆転しました！

しかし、中央中の公太がドライブで涼を抜き去りレイアップを決め、
再度逆転！

と、言った展開がここからずっと続きます。

誠也の意地

と、ここで涼がＤＦの隙を付き切り込み、ゴール下ノーマークの（1年生）にラストパス！誠也は丁寧なシュートでゴールを決めました！誠也の初ゴールです！

普通ならベンチが大盛り上がりのはずですが、ベンチにいる1年生は盛り上がるタイミングが分かっていないので、拍手程度です……
くそーもったいない！

流れを引き寄せる事が出来なかった鳥川中は中央中エースの公太のドライブからの得点に悩まされます。
マークをしているのは涼です…
正直まだ止める事は出来ないと思います…

それでも、必死に守りつづけオーバータイムを取りました！
中央中はたまらずタイムアウト。
いやらしいタイミングでタイムアウトを取ってきますｗ流石です。

点差は鳥川中が2点差で負けております。

槙野のゴール下はまた外れ続け、リバウンドに入った金剛のゴール下も外れます…

もったいない…本当にもったいない…
でも、これが弱いチームの特徴です。

中央中の攻撃に耐え続け、とにかく早いバスケを仕掛け続けた結果、残り1分で点差は5点…

頼りになるキャプテン？？

残り1分

鳥川中　　中央中
　16　　　　21

まだまだ行けます！

こう言う時間帯にミスが出るのも弱いチームの特徴です…

案の定、槙野の不要なファールで相手ボールになってしまいました…

なぜそこで…

残り50秒を切り、ボールは鳥川中。

大翔と涼が必死にゴールをこじ開けようと動いていますが、槙野と三井がボールに寄ってきてどうにもなりませんｗｗ

しかし、一瞬出来た金剛のノーマークを涼は見逃さずラストパス！金剛がキッチリ決め3点差。

そして時間は残り40秒…

中央中の猛攻を何とかしのぎ、マイボールに。

しかしここで涼が痛恨のトラベリング…残り14秒…
中央中のベンチは大盛り上がりです。

と、ここで中央中のボール出しからのパスを涼がカット！そのままレイアップ！！ファール！2スロー！！！
何とか1本決めて残り10秒で中央中がタイムアウト

鳥川中　　中央中
　19　　　　21

残酷な結末

中央中ボールからスタート。

もうやり切るしかない！

と、ここで涼がパスカット狙いに言ったが、アンスポのコール……マジか…

フリースローはエースの公太です。
1本のみ決め、点差は3点差。
プラス、ボールは中央中から。

大翔がパスカット狙いましたが、再度相手ボール！

そして、今度は金剛がDFを頑張りボールは鳥川中ボール！キターー！残り6秒！

大翔から涼へパス、ドリブルで抜いて強引に3P！

リバウンドを金剛が取りワンドリ後に、アウトサイドの槙野へ！

槙野が素早く3P！
ゴーーーーーール！
……カウント？

鳥川中は喜びが大爆発！
会場も大盛り上がり！

しかし！判定はノーゴールでした…
金剛のワンドリか…
くそー…昔よく言われたな…ワンドリいらねーから！って…
悔しすぎる…

まぁ動画見れば分かる事なのですが、シュート時にタイマー0になってたと思います。（なってましたｗｗ）ナイス審判です。

よく頑張ったと言うより、もったいない！と思う試合でした。

最後のシュートがどうこうではなく、その前のイージーシュートをキッチリ決めていれば、こんな事にはならずに済んだはずです。

まぁこれがバスケなんですよね……
次の2試合は大差で勝てると思います。

しかし、彼らが心配です。

• 最後のシュートがノーかウントだった事に納得がいかずに泣いている槙野

• 足首を捻り途中退場を悔やんでいる金剛

• 一応悔しそうにしている大翔

• 顔面蒼白な涼

• 良く状況が分かっていない三井

とにかく沈んだ空気が漂っていますｗｗ
しかし、終わった事を悔やんでいても仕方ありません。

私「最後のシュートは時間切れで間違いないと思う！それよりゴール下を落としすぎなんだよ…家に帰ったら必ず全員動画見ろよ！」

部員「………」

そして、この負けが涼たちのバスケを苦しめる事になるのです…

残り2試合は

鳥川中　　沢田中
　50　　　　15

鳥川中　　村池中
　45　　　　20

と、圧勝で終わりました。

大会結果

1位　成立中学校　5勝全勝
2位　中央中学校　4勝１敗
3位　鳥川中学校　3勝2敗
4位　村池中学校　2勝3敗
5位　下水中学校　1勝4敗
6位　沢田中学校　5敗全敗

と、なりました。

10月に行われる新人大会の第1シードは成立中、第2シードは中央中です。

最悪でも中央中のトーナメントに入らないと、新人大会で2位になる事は不可能です。

新人大会までは、残り2ヶ月ありません……

コーチになる事を決めました！

私は覚悟を決めました。

顧問の中川先生とギャラリーから表彰式を見ていました。

私「……このままだと10月の新人大会また負けるかもしれませんね…」

中川「…どうしたら良いのでしょうか…彼らをどうやって強くしたらよいのか…」

私「…もし先生がよろしければ、私が外部コーチに入って教えてもよろしいでしょうか？」

中川「えっ！よろしいのですか？仕事は大丈夫なのですか？是非やって頂きたいです！」

私「仕事は何とかしますｗまずは顧問の中川先生に気持ちよく了解して頂かないとマズいと思いますので…」

中川「もちろんＯＫです！本当にありがとうございます！！！」

私「あともう2つクリアしないといけない事があります。2年生の保護者の同意と2年生5人の同意です。保護者にはこれから確認しますが、2年生5人には涼から確認してもらいます。」

中川「わかりました。私は管理職にこの件を報告し、1日でも早く外部コーチとして部活を見てもらえるように動いておきます！」

話を終えた後、一瞬で後悔しましたｗｗ

俺コーチやるの？マジかぁ…
でも、頭で考えるより先に言葉が出てしまったのです。

もちろん、成立中にボコボコに負けた事も悔しかったのですが、このままだと涼たちは本気でバスケをする事が出来ないのでは無いかと思った事に危機感を覚えたと言うか、勿体なさを感じました。全力で走って、全力で声を出して、全力で喧嘩して、全力で喜んで、全力で悔しがったりして欲しいと心の底から思ったのです。
全力で部活をやらなければ、それは経験出来ません。

適当にやっていると

「他のチームは顧問が良いから」
「180ｃｍのセンターがいるから」
「運動神経が良い奴らが集まったから」
「保護者会練習とかやってるから強いんだよ」
「ミニバス経験者が多くいるから」

とか言い始めます。

自分たちは努力しない、努力できる環境に無い…
色々あると思いますが、これらを言ってしまったら完全終了です。

自分たちのバスケ期間が終わる前に終了してしまうのです。

私はこう言う人達を何人も見てきました。

彼らが悪い訳でも無いのですが、こうなったらマジで終わりです。

私は中学バスケ（部活）で人生が変わりました。そして、大袈裟に聞こえるかもしれませんが、中学バスケ(部活）のおかげで今元気に生きております。

ここまで極端でなくてもよいのですが、中学バスケ（部活）を全力でやり切れば、必ず各々が自信を持てると確信しております。もちろん、ただやるのではなく妥協せず全力で自分達が決めた目的に向う事が条件です。彼らにも…特に涼にはそれをやって欲しいと心から思いました。

こうして、涼たちの初めての公式戦は終了しました。

中央中学校との試合は、鳥川中学校の自爆が原因で負けたと思います。
金剛、槙野、大翔のゴール下が本当に入りませんでした。
これでは流石に勝てる試合も落としてしまいます…

何とか10月の新人大会で中央中学校に勝って、2位で大会を終了し地区練習会への切符を手にしなくてはいけません…
コーチとして、全力で彼らを支え、そして強くしたいと思っております！

次回は
いよいよコーチになってしまった私…
まずは勉強だ！
ぜひご覧ください！！