都築郷夫 ちよつとはみだ詩・❲卅九❳ 附・詩人の為の(秋冬)ワードローブ集
※今回は完全にオープンにしてあります。ノート、マガジンご購讀の際の見本としてご覧になつて下さい。
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蕎麦切も夜寒の里の馳走かな 井月
井月の句 - 彼が一所不住、漂泊の俳家であつた事は最近よく知られるやうになつた。だがそれが為に彼の句業を、破天荒な、所謂フツーぢやない人のもの、と空想する向きも増えた如くある。
彼は芭蕉を「翁」と呼んで私淑してゐた、その重要なポイントも同時に古俳句ファンには高名なのに、それはどういう事だらう。井月の句は概ね小ぢんまりしてゐて、典雅・風流なものが多い。
江戸から明治に入つた、そのデリケートな時期を、句で以てどう渡世したか - 浪漫的にではなく、その眞實が誰の目にも止まるやう、専門家・愛好家の責に期待する。また眞實の酒と虱たかりの生涯についても。
早稲酒や店(たな)も勝手も人だらけ 井月
よほどの古俳句マニアにしか通じぬ事を書いてしまつた。反省&陳謝。
さて私の句歌であるが -
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俳書など片手にぬかごつまみ食ふ
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吾が妹や撫子なんて右傾だと
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目白來る事もなくなり苑閉める
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秋蚕(ご)なることには触れず絢爛と
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©都築郷夫 俳句 haiku
【虚言箴言】
貴方の仕草を全てそつくりに真似る猿がゐたら、貴方は其奴に決闘を申し込むだらう。- ラ=ロシュフコオ (大嘘)
滑稽な一幕喜劇だ。起こりさうもない事だが、仮にさう言ふ羽目になつたら、猿にも白手袋とピストルを渡さなくてはならぬ。私(筆者)は猿贔屓である笑。
餅菓子と果物食うて子規死にし
(©都築郷夫)俳句 haiku
時期を逸したが。
※
【試作品・演歌篇】
さてお集まりの皆の衆
これぞと言ふ唄はおありかな?
挙手なき場合私の持ち唄
にて ことを済ますぞよ
大學出たつて職はなし
つひには墜ちたる演歌師よ
酒にヴヰヲロン哭かせたる
日々の虚ろよ分かりあれ..
©都築郷夫
【名を變へよ】
哲學やら
家系圖やら
いろいろ
彼らの世代の
滓が
あんたの名に
淀んでゐるぞ
名を變へよ
旧きシノニムに
一泡吹かして
やらう、
隠れ家まで
走れ!
©都築郷夫
今回はこれで。これからはぼちぼち詩論も書かう。
そんぢや、
僥倖でもない限りには夜は寒く長く成りかつ成り行き任せ
(©都築郷夫)短歌 tanka
人間椅子のライヴが観たいなう。ばつはゝーい。