都築郷士 ちよつとはみだ詩・❲四伍❳ 附・詩人の為の(秋冬)ワードローブ集
一ヶ月あまりの間、ギュスターヴ、それから不特定な二、三人の殺し屋たちと組んで、おれはイール・ド・フランスの農場を荒らしまわった。最後の遠征のとき、農夫たちは仲間のひとりを撃ち殺し、おれも腿に弾を一発くらった。- 「クールな男」 マルセル・エイメ
マルセル·エイメ(1902 - 67)は最近『壁抜け男』のミュージカル化でやうやく日本でも知られるやうになつてきた佛の作家。これ(引用文)は彼の書いたノワール小説からの一節。エイメは『マルタン君物語』のやうな(飽くまでトリッキーにだが)市井の人びとを描いた連作から、当該の「クールな~」みたいな冷血の極みの如きもの、兎に角何でも書くが、それらには必ずエイメ色とでも呼ぶべき癖が刻印されてゐる。本國でも異色とされる個性派作家だらう。
【大号令】
起筆
の号令
私は まるで
マッチスティックマンの
やうに
銃剣を ペンに
持ち替へて
いつたいそれで
なに書くつての
ポエジーは号令
では湧かないよ
それを司る脳内
麻薬が分泌され
私の筆よ、輕く
輕くなつてくれ
秋 いろいろ枯れる内に
結實もありて......
私はそれらをもいで喰らう
徒歩旅行の人みたいに、
そして
擱筆、
私は取り置いた(實在の)ビスケットを
さがす。
©都築郷士
【damaged】
髪の毛?
いや己本軆
愛のニルヴァーナ
入口さがせど
秋日髙く
この刻限は影短い
あゝ、あゝ、あゝ
私はもう帰れない
人身には
明日風呂入つたら
それで
どろんさ。
疲れ たま まで
©都築郷士
夜芯から暖思ひだす秋來たり
(©都築郷士)俳句 haiku
既に夜寒である。結構冷える。
※
着まはしを演出したしニエット物欲
(©都築郷士)川柳 senryu
買い物のススメとちやいまつせ。箪笥の肥やし作らんやうに、と。
※
ジョン·レノンは情けないけど一昔まへのジャン·レノ好きと彼女は
(©都築郷士)短歌 tanka
その女性の男性観は、どーなんだ?情けない?丸眼鏡がさう見せるのか。
【虚言箴言】
人肌恋しさにつひには..殺人者となれば冷たい肌へしか手に入らぬ。- ラ=ロシュフコオ (大嘘)
贋ラ公の時代と、現代とでは、どちらが人命重いか - それが彼の突き付けた命題。たまには真面目。
草臥れを詠んだ古句なし簑虫愛づ
(©都築郷士)俳句 haiku
なんか枯淡やな。よくない傾向だ。改めねば。
そんから(埼玉弁)重ねて、「郷士」でKunioでつせ宜しくお願ひ。そんぢやま、また。都築でした。アデュー!