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【どうする家康】コンフェイトの価値に怯える恐怖回。“古沢良太の悪いクセ”も炸裂⁉第13回「家康、都へゆく」雑感

NHK大河ドラマ『どうする家康』(以下、『どう康』)第13回の雑感です。
(※本記事は一部有料です。ドラマレビュー箇所はすべて無料でご覧いただけます)
前回の感想はこちら↓

(※以下、ネタバレ注意)
(※本記事のセリフの引用箇所は一部ノベライズに準拠しており、ドラマのセリフとは異なる場合がございます)

出陣ならずの家康に、ファン(僕)もズッコケ。「氏真」回の感動を返せwwww

前回、「信玄が攻めてくるかも」のラストで、「詫びの使者に立ちまする」と進言した左衛門尉を「要らん」と一蹴していた殿。その成長の姿に感動……だとか僕もレビューしてたんですけど。

今回のアバンからすでに、「信玄に詫びといてくれ」……って、おまーっ!180°方向転換しやがった家康wwww

しかもキメ顔で言うのか……そりゃねぇだろ。これ、平八郎じゃなくても柱をブン殴りたくなるわ!

第11回、第12回とシリアス回が続いてからの、この裏切り。でも、忘れてました。これ古沢良太さんの悪いクセやで。思い返せば『リーガル・ハイ』1期の最終回も、主人公・古美門研介とライバルである元上司・三木長一郎の確執に関して、僕ら視聴者の予想のだいぶ斜め下をゆく決着を迎えていた気がします。

だから、昔からそういう脚本を書かれる方なんですよ古沢さんは。盛り上げに盛り上げてきたところで平気で落とすと言うか、吉本新喜劇ばりにズッコケさせるようなコテコテの展開を入れてくるっていうね。

改めて、往年の「大河ドラマ」の感覚で見ると、こうしたとんでもない裏切りに陥って「ポカン」としちゃうような展開があるのは認めましょう。この『どう康』というドラマを素直に楽しむためには、民放で放送していた古沢さんの過去のドラマシリーズも予習しておいた方がいいと言うより、むしろ必須だったかなとすら思います。まぁ、もちろんこれからサブスク等でご覧になっていただくのも結構ですけど。

ただ一応、ちゃんとした「大河ドラマ」目線でも補足は入れさせてほしい。史実としても確かに、ここからすぐに家康VS信玄のバトルが勃発するわけではありません。今回のアバンでは、信玄サイドの新規映像も流れていましたよね。

山県「もし家康と北条が組み、我らを攻めてきたら…さすがに」

穴山「ただでは済みませぬな…」

信玄サイドとしても、ぶっちゃけ戦うことに利はなかった。そして徳川サイドにとっても、実は家康の異父弟である久松源三郎勝俊(ひさまつげんざぶろうかつとし、別名:松平康俊)が、このとき信玄のところで人質となっていたのでした。

永禄6年(1563年)、家康の命により今川氏真の人質として駿河国に赴く[2]。永禄11年(1568年)、武田信玄が駿河に侵攻した際、今川家に仕える三浦与一郎という者が武田家に転じたが、この際に康俊らを伴った[2]。武田信玄は大いに喜び、康俊を甲斐国に送って警護の下に置いた[2]。

松平康俊│Wikipedia

覚えているかい、第5回の冒頭で於大たちに伴って岡崎城へ越してきて、「兄上のようになりとうございまする!」みたいにキラキラした目で言ってた少年ですよ……いま信玄とバトれば、彼の命だって危うくなる。兄ちゃんが詫びてくれたおかげで、助かって良かったよね……。

ちなみに成長した姿を演じられるのは、「なにわ男子」の長尾謙杜さん(20)ですって。ベビーフェイスすぎて、子役かな?とか思っちゃった……ファンの方、すみません🙇

ノベライズと違い、なぜか留守番の渡辺守綱。都の碁盤目迷路にハマる平八郎&小平太

さて、今回の物語は氏真との戦いから1年後の永禄13年(1570年)春。予告でもあった通り、室町幕府の新たな将軍・足利義昭(演:古田新太)の命令で上洛する(京都に行く)ことになったわけですが。

「都の作法に心得がある」という大久保忠世、そして「おなごとの作法ならお任せ」などと言う渡辺守綱はお留守番。まぁ、当時は留守番も大役なんですけどね。殿が不在の間、他国から攻め入られんとも限らない時代ですし。

しかしノベライズでは、渡辺守綱も都に行ってるんですよね。なぜドラマと展開が違うのか。これはキャストの都合的なものあるのか。そう言えば、『鎌倉殿の13人』でも、スケジュールの都合で三浦平六義村役の山本耕史さんが参加できなくなり、急遽台本が変更されたとかいう話もありました。

……なんて、ついつい邪推してしまいましたけど。そもそもノベライズでも守綱は、都では「お供」として名が挙げられているだけで、大した出番があるわけでもありません。まだまだ家臣団のレギュラーメンバーにはなり切れていないということなのかも。殿を殴ったこともあったし、様子見段階ですか?

一方で、七之助&彦右衛門、平八郎&小平太コンビはすっかりそれぞれのコンビとして差別化された描き方をされているのが微笑ましかったですね。七之助&彦右衛門は都のおなごたちにデレデレでしたが、都の歩き方自体には慣れている様子。そもそも、二人とも東の都である駿府で育っていたのでした。

ちなみに駿府も、京都に倣(なら)って碁盤目の街並みが作られていたとかいうことだそう。これは徳川が治めた時代の話ではありますが、その礎は今川の時代からもできていたとのこと。

町のつくり方も、城を中心に円を描(えが)くような他の町とちがい、むしろ京都のように碁盤(ごばん)の目のように広がっていました。

「駿府は日本一すばらしいまちだった?!」 国際都市駿府│すんぷ寺子屋

「駿府九十六ヶ町」は、今川時代に礎がつくられ、徳川時代に整備された町並みをさします。旧東海道沿いに広がる九十六ヶ町は、多くの人が集まる中心地でした。

静岡まつりと駿府の歴史│静岡まつり公式ページ

対して、平八郎&小平太は「迷子になったんじゃないのか!」「どの通りも同じに見えるもので」とすっかり碁盤目迷路にハマッてしまっている様子でしたね。にしても平八郎、都の人に酔い過ぎて熱まで出してしまうとは。硬派と言うより、実は単なる陰キャなんじゃないの、コイツ。

コンフェイト(金平糖)が主役の回。1粒で山城1、2つ分とか高級スギィ!

そして今回は、南蛮渡来の砂糖菓子・コンフェイトがめちゃめちゃフィーチャーされた回でした。今回の主役と言ってもいいでしょう。

信長の娘である五徳(演:松岡夏輝)からねだられ、「お安い御用」と引き受けた家康でしたけど、商人の茶屋四郎次郎清延(演:中村勘九郎)の話では「こんな小さな一粒を買うのに山城一つとも二つとも」なんて。現代的な感覚で言ったら、「その高級スニーカー1足買うのに、中古車が1、2台買えます」的な話でしょうか。めちゃくちゃ高いぞそれは!

余談ながら、先日もTwitterで「姪っ子に高級ドールを盗まれかけたので、復讐として沼に沈めてやった」話がバズってましたけど……「子供にねだられるがままに安請け合いすると痛い目を見る」というのは、戦国時代も現代も変わらぬテーマなのかもしれないですな……。

それはそれとして。確かに「当時は砂糖が高級品だった」みたいな話は聞いたことがありました。

改めて調べてみると、砂糖が日本に入ってきたのは奈良時代ながら、その時代にはまだ「貴重な薬」だったそう。室町時代に貴族や武士の間で茶の湯と共に菓子の原料として使われるようになり、16世紀中期頃(ドラマで描かれた時代)にようやく南蛮貿易で広く伝わり始めたとのこと。

それだけじゃありません。金平糖のその製法も、めちゃめちゃ手間のかかるものだそうで……。

粒の正体は、餅米を砕いた「イラ粉」。金平糖の核として大きな釜に入れ、砂糖を溶かした蜜をかけて、徐々に水分を飛ばして乾燥、また蜜をかけていきます。約3日目でイガと言われる突起物が出てきて、約8〜10日ぐらいでイガが出揃い、その後16日~20日かけて約1cmぐらいになり、ようやく完成します。

金平糖の星形は職人技でできている! 京都の老舗がスゴかった│マイ大阪ガス

砂糖そのものも高価だし、それを「コンフェイト」なるお菓子にするのだって超大変。そりゃあ「山城一つとも二つとも」という価格になるのも納得なんですけど。

これ、逆に四郎次郎はどうやって手に入れたんでしょう?「南蛮商人のつてを使い、格安で手に入れましてござりまする!」なんて言ってましたけど……その言葉の通りだとしたら、語学も堪能なんでしょうね。相当優秀ですよ。

あるいは、実はこの頃すでに国内での自家生産に踏み切ろうとしていた職人がいたとかで、その試作品を渡されたものだったり?などと想像をめぐらしてみたりもしました。まぁ、実際に作られ始めたと史実にあるのは江戸時代からだそうですけど。わからねぇじゃん?戦国時代も、記録に残らないパイオニアがいるかもしれませんし。まぁ、こうなるともう「妄想」ですねw

ともあれ、せっかく手に入ったコンフェイト。最後は義昭が「ゴリゴリ」とぜんぶ平らげ……たっ、大量の山城が、バケモノ(失礼w)の口の中に~‼

の、信長さん……何とかしてください……って、これもう頭を下げるしかない気がする。信康(演:寺嶋眞秀)と五徳の夫婦仲も気になりますが、それ以上に殿と瀬名との確執が心配だわ……。

ひたすら世間の株を上げ続ける信長だが、一向にそれに気づく様子もない家康に笑う

そんな信長くんも、今回はめちゃめちゃ株が上がりまくった回だったような気がします。治安維持のために、都で乱暴狼藉を働くものは平気で切り殺したり……いや、できれば殺さないでほしいんですけど。言うて、とっ捕まえて牢にブチ込むのだって大変ですからねぇ。

「一銭斬り」といわれる刑罰です。字のまんまです。たとえ一銭でもドロボーすると、いきなり「死刑!」を宣告されるのです。おちおち万引きもできません。でも逆にいうと、それくらい当時はドロボーなんて当たり前の物騒な世の中で「俺のモノは俺のモノ。お前のモノは俺のモノ」というジャイアン論理がまかり通る空気がありました。特に新しい軍団が進駐してきたときは略奪が当然とされていました。そんな風潮の世の中で、信長は「一銭斬り」という劇薬法律で意識革命を果たします。それはドロボーだけでなく、あるゆる面で反映されていきます。

京都をぶっ壊した男・織田信長 〜続・戦国京都は住みたくない街No.1?〜│Kyoto love Kyoto. 伝えたい京都、知りたい京都。

そして「わしらの顔など憶えているもんか」と言う彦右衛門や七之助のことまでちゃっかり憶えていて「ほったらかしておってすまぬ」なんて謝る律義さ。いや、彼らからしたら恐怖だったと思うんだけどw

さらには、平八郎&小平太が浅井長政(演:大貫勇輔)の兵とひと悶着起こした際も、長政のフォローへ「まことかな?」としつこく探りを入れようとする明智光秀(演:酒向芳)とは対照的に「それならそれでよい」と深追いしないのも紳士的。

それどころか長政と家康の手を結ばせて「我がふたりの弟よ、力を貸せ」。いや、長政はお市の夫だし、義弟だけど、家康は娘・五徳の義父であって、弟では……ははん、これは第4回で「私は、信長殿を……我が兄と心得ております」と家康(当時は元康)が言ったことへのアンサーですね?

マジで家康君のこと大好きやんな、信長くん。しかしその愛が一向に家康に伝わらないのもまた笑えてくるような、泣けてくるような……しかもラストは「家康よ、三河にはまだ帰れんぞ」「北国見物よ」と戦の誘いまでしてきました。

これ、きっと大好きな家康くんとずっと鷹狩りできなかった分のストレスが溜まってたんだと思うわ。信長くんにとって、朝倉義景を滅ぼすのも鷹狩り感覚なんでしょう。

家康くんにはそうじゃないんだよなぁ……なぜ切り取ったばかりの遠江も、そして信玄に奪われた駿府もそのままにして、北の方まで足を延ばさなきゃならんのか。

そして同時に、長政君も所領に戻るや、市にコッソリ「兄上を……裏切る」なんて打ち明けていました。展開がはえーなー、おい‼

次回、4月9日は放送休止とのことですが……これ、16日まで待てるか?ノベライズ、先にもう読んじゃう?いやいや、待つ方が良いと思うんですけど。次回も「どうする?」な展開で楽しみです。

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