ペアリングイベント2024 / 3rdのはなし ⑤
三皿目、最後のドリンク。
カクテル。
メニュー構成はリンクを参照ください。
はい、レシピ。
この長いカクテルネームでどんな味わいなのかはざっとわかると思う。想像できるかはさて置いて。
デザート側がコーヒー要素を抜いたイチヂクのティラミスだったのでそこを補完して「合わせて完成するティラミス」にした。
今回、一番ポップなトータルデザイン。
カクテルで使うとなるとイチヂクはけっこう厄介なアイテム。なぜなら実自体には香りが無い…いや、無くは無い。
皮の部分が茄子をグリルした時同様の香り(個人的にはガスっぽいと思っている)はするけどあまりに細く、ポジティブにも感じない。
この果物は甘味とねっとりとした食感がアイデンティティと認識している。
使える香りを持っているのは葉の方。
それは桜と同様の香気成分であるクマリンが主なもの。
桜餅の香り、と書けば伝わると思う。
それでまず浮かんだのが自家製のイチヂクリーフウォッカ。以前にまとめて作ったものがまだあったのをこれ幸いと使うことにした。
一般に出回っているものでも一つある。
ズブロッカ。
ポーランドやロシアで作られている、バイソングラスという草の香りを付けたウォッカ。
どちらもほぼ同じなのになぜ両方とも使うのか?というのは自家製のみだとあまりにキャラクターが強い。そのために少し柔らかくするのにズブロッカも併用することにした。
これでイチヂク感はできた。
ここにコーヒーかエスプレッソ合わせればできるだろ、と思って作ってみたらそこまで単純ではなかった。
思うより以上にキャラクターが強くイチヂクの香りを見事に喰ってしまった。
デザートもコーヒー要素が無い分、細いデザインなため、あまりにがっしりした骨格のカクテルだと完全に潰してしまう。
ここで「コーヒーと紅茶の中間のようなカクテル」というものにしようと考え始めたのと同時くらいに自分が営業中に飲むドリンクとして作っている麦茶が目に入った。
ロースト感出せるし柔らかいし、コーヒー要素を足せばいけるのでは?と自家製エスプレッソシロップと合わせてみたらできた。
アメリカーノとは違ったアメリカーノ的コーヒー。ジャポネーゼとでも名付けようか。
さて、改めて作ってみてまあ問題はなかった。
これでいいかなーと思った時にふとブルーチーズとイチヂク合うよな、と思いつき仄かに香るくらいで加えてみたらこれが良かった。
こうなると少し塩味が欲しい。あ、マルドンソルトあるじゃん!と加える。
甘味の強調にもなって(スイカに塩と同じ効果)くっきりとした輪郭を描けた。
「コーヒーでも茶でもない」カクテルをペアリングで作るのは2回目と記憶しているけど、これはただの焼き直しでなくしっかり展開できた感覚があってよかった。
次回はやっと最後の一杯。モクテル。