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ペアリングイベント2024 / 3rdのはなし ④
ではニ皿目のモクテル。
メニュー構成はリンクを参照ください。
レシピ。
梨のメルバの液化解釈 ~モクテルとして
<blender / champagne glass>
和梨 50g(皮を剥いて)
桃 10g(皮を剥いて)
ココナッツウォーター 30ml
レモンジュース 5tsp
チェリーシロップ (メゾン ルータン)10ml
ガーニッシュ:シナモンシュガー
全てブレンダーにかけた後に濾してグラスへ。
シナモンシュガーを散らしたあとにスモークガンでグラスごと煙を纏わせてからサーブ。
モクテルなのでリキュールは使えないためフレッシュの桃を少量使用。
しかし、このままだと捻りもなくメルバなのでココナッツウォーターで少し変化をつけつつ、ラフロイグの代わりにスモークガンで燻製香を纏わせた。
正直、スモークガンを使うことにはかなりの抵抗があった。
何に抵抗があったか?
ビジュアル狙いみたいな印象になりそうだったからだ。
「イベントだから特別な事やります!」みたいな小手先の、芝居がかった演出に頼ったものもストーリーを始めから語(騙)るのと同様に心底嫌っている。そのため、使う事を自分に納得させるのはけっこう骨が折れた。
決め手はココナッツウォーターをどうしても使いたく、それに伴ってこのバランスを崩せないということ。と、移転してから一度も使っていない(なんならトータル使用回数もとても少ない)コイツ(=スモークガン)を偶には使おうというのもあった。
それに視覚的な演出がどう作用するか?というのにも興味があったし。
そしてこのモクテルには裏テーマを忍ばせた。
以前、香りに関する論文を渉猟していた時に「若い女性は甘い香りがする」というものを見つけ、それを再現してみたかった。
ざっと読んだ限り、桃とココナッツである程度できそうと踏めたので、そのバランスを取った。それを崩したくなかったのです。
とは言え誰もピックアップしない(できない)だろうと思っていたら、なんと一組だけいらした。
これは望外の喜びでしたねえ。まさか拾ってもらえるとは。
兎にも角にもしっかりとデザートの補完をしつつ捻りを少し利かせ、更に裏テーマまで忍ばせ、しかもそれを拾ってもらえたのだからこのモクテルは出色と言っていい。個人的に。
さて、次回からいよいよ三杯目。
年内には終わりそうだな…。
【余談】
この「若い女性の香り」、あまり想像つかない方もいると思うのですが(というかそういう方が多いだろう)、専ら10代の女の子がつけそうな甘いフレグランスの香りと言えば伝わるかもしれない。
未熟とか幼いとかそんなイメージが湧く香り。
偏見と個人的イメージだから伝わらなそうだが。
…あ、ベビーパウダーの香りと言えば伝わるか。
そうそう、ああいう香りです。
ちなみに、この桃とココナッツをさらに強調していくと場末のキャバクラなんかで遭遇しそうなイメージの香りになる(あくまでイメージです)。
故に一線を超えない程度に薄く使ってみたかった。繰り返すが、このイメージを拾ってもらえるなんて思ってもいなかった。
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