ペアリングイベント2024のはなし ③
すいません、早くも全3回完結じゃなくなりました。
メニューとカクテルについては前回をご覧ください。
今回は一皿目に合わせたモクテルをお届けします。
チャイエッセンス。
これもカクテル同様、口中で完成させるものとした。ただし、こちらはある程度だけどグラス単体でも楽しめる作りになっている。
カクテルからの流れで同じコンセプトを持たせたのは良いものの、モクテルで、しかもリオレに合わせるものだと何をチョイスするかでまず悩んでいたところ、インド料理屋でカレーを食べていた時に降りてきた。と言うよりもメニュー見て「これいけるじゃん!」と。
要するにまるパクり。
まあアイデアの原型なんてこんなもんです。凡人なんで。
最初はウチのジンジャーシロップでいけるかも、とナマケモノ100%な思考で試したけれど見事にマッチせず(当たり前)。ちょっと情報過多だったんですね。
何を削って何を残し、そこに何を加えるか。
チャイなんて殆ど飲んでこなかったから見当もつかなかったので、「とりあえずチャイの経験値を稼ぐしかない」という理由に託け、しばらく通いこんでビリヤニを食し(カレーよりビリヤニ派です)〆にホットチャイを飲むという至福。
そうやって複数店回って共通に得たものは「けっこうな量のシュガーを入れないと美味しくならない」ということ。
どうやら甘味がスパイスを引き立てるもよう。
ストレートだと茶の渋みに邪魔をされて他が立ってこないのだ。
これはけっこうな収穫だった。
そして得られたものを元にシロップを作成し始めたのだけど、ここからが大変だった。
来る日も来る日も試作を重ねて完成。
「シュガーの量が多くないとスパイス感が立たない」と書いたけれど、シロップ自体の砂糖の含有量は少ない。
理由はカクテルと同じく、その部分をリオレに振ったからだ。
香りはスパイスの構成をシンプルにしつつキャラクターのあるデザインに仕上げた(つもり)。
カクテルの構成でリテイクを重ねるのはけっこう行うけれど、シロップでここまではおそらく初めて。
そもそも性分が性分なので(結果が直ぐに得られないと嫌)、狙える範囲でしか作らなかったのがその理由。
それに、スパイス / ハーブ類はとかく難易度が高く、泥沼に落ちるのが目に見えている。
なぜなら基本レシピを欲しいサイズまで素直にあげるだけではおかしなことになる。
なので自分の経験に基づく予測で量を調整したり煮詰める時間を見たりと、「製作数=味の安定性を担保」というのが僕の思考と思想なので、今時の真逆を行く昔ながらのアナログな方式を採用している。技術や器具を駆使すればそうならないのかも知れないけど。
おかげでわりと手間をかけるのが苦にならなくなりました(たぶん一時的)。
はい、モクテルはここまで読んでいただければ分かる通りの「リオレと合わせて作るミルクチャイ」です。
シンプルなスパイス構成のシロップを少し強めに出したアッサムで下支えさせた。
わりと好評価を得られたので、このシロップはレギュラーで用意しようかと思っている。
構成がジンジャーシロップと被るのでどちらかだけでいい気がするけれども。
次回からはカクテル / モクテルを1投稿にまとめたいと思います。
この記事が参加している募集
もし、記事を読んでくれてお店の方が気になったら覗いてみてください。Instagram / FBもページがありますが、まずはオフィシャルHPを。 http://www.bar-tool.com/ サポートしていただけた場合はお店の運営に充てさせていただきます。