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旅立つあなたが、くれた餞別。
胸の中に、チャリンとおちた。
「こんな窓口、せいぜい小窓じゃー!!」そう言って彼はスマートフォンをへし折り、どこかへ去って行った。それっきり、彼の姿を見たものはいないという。
蟻塚 〜抜け落ちた3文字〜
時刻は午後4時過ぎくらいだろうか。
閉まっている店が並ぶ。
カウンター席を設えた、大人の遊び場といった雰囲気の、個性的な飲食店がいくつもあった。人の姿はない。
そうした店の中に、いっそう個性的な雰囲気の建物があった。
これを、私の記憶の中で最も近い別のもので言い表すのならば、「蟻塚」だろう。土壁が両側から迫るようにして、訪れる者を奥へと導く通路があった。なぜか私は、吸い込まれるよう