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孤独と芸術

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18さいのわたしが生きた証
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#卒論

孤独と芸術

孤独と芸術

 本当の前置き
 これはわたしの高校時代の卒業論文を一部改変し、文章にしたものです。

背景・動機・前置き

 美術、音楽、文学...分野に関わらず、歴史に名を残す芸術家たちの生い立ちや生前をみるとき、彼らの描く華やかで麗しい幻想的な世界とは裏腹に、作家自身は凄惨な最期を迎える者が多い。酒・薬漬け、精神疾患、他の人間を信頼できない又は依存する、等。
 現代においても創造的な人間は“闇”を抱えてい

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孤独と芸術 9

孤独と芸術 9

そもそも芸術とは

 辞書より
―文芸・絵画・彫刻・音楽・演劇など、独得の表現様式によって美を創作・表現する活動。また、その作品。
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孤独と芸術 10

孤独と芸術 10

実験的な中間発表

 ①ビニール袋のガサガサ音
 ②ピアノの不協和音
 これらの二つの音は、私が卒業論文の中間発表にて、プレゼンの合間にいきなり聴衆に聴かせ反応を確かめたものである。
 音を不快に感じるかどうかは場所や状況によっても異なってくる。例えば、①ビニール袋の音を映画の上映中に隣でゴソゴソ鳴らされたらたまったものではないだろう。
 しかし、この音を心地よいと思う人間もいる。それは赤ん坊の頃

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孤独と芸術 11

孤独と芸術 11

何をもって「美」とするかー美学

 美とは何か、人はどのように美を感じるのか…という人類の普遍的かつ最も素朴で難解な問いにまず真正面から向き合ったのは、古代ギリシャの哲学者プラトンである。
 彼はまず、彼の哲学の根幹となる“イデア論”を説いた。イデアとは、存在の「真実の姿」を示す言葉である。どんなものでも–––単純な三角形という形でさえも–––全く同じ大きさ・同じ形のものはない。それなのに私たちが

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孤独と芸術 12

孤独と芸術 12

「美」は絶対的なものか、相対的なものか

 舌を出した科学者はこう言った。
「美とは、時間や空間と同じように人の意識とは無関係に絶対的に存在する。」
 インドの詩人はこう答えた。
「美は、それを見る人間によって初めて実現化する。」
 アインシュタインとラビンドラナート・タゴールの対話である。彼らは同じ時代を生き、美とは何かを科学者と詩人、そして東洋と西洋という全く違う立場から二人は見つめていた。

孤独と芸術 13

孤独と芸術 13

全ての人間に絶賛される作品がない理由―考察

 どんなに優れた小説でも、映画でも、人間でさえも、万人に好かれるということはまずあり得ないだろう。自分にとってはドンピシャの好みの作品を、友人に勧めてみたら良さをさっぱりわかってもらえなかったという経験はないだろうか。また、成長するにつれて昔好きだったものが今は心に響かなくなったという経験を有する方も存ずると思われる。私はこれについて以下のように考察し

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孤独と芸術 14

孤独と芸術 14

原意識まで潜る―考察

 では、どのようにして原意識から“美”を物質世界に落とし込むのか。その為には、芸術家たちは顕在意識よりさらに深い意識へと目を向ける必要がある。
 もうここからは科学的な根拠も私が実際に経験したこともない話になる。しかし、それは太古の昔から今にかけても人類の歴史の中で古今東西問わず、ずっと普遍的に起きていたことなので想像するに容易いのではないかと思う。
 さて、芸術家たちの生

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孤独と芸術 15

孤独と芸術 15

芸術家たちの苦悩

 恋愛、アルコール、薬物、ギャンブル…。世の中には多くの「依存症」が存在する。依存とは、一つのことに没頭している間は、他のことを何も考えなくていいという、いわゆる現実逃避である。人間は、辛い現実と対峙したとき、無意識に自己防衛を発動し、解決すべき悩みや問題を忘れようとする。いっときは自分を苦しみから解放してくれる緊急避難先になっていても、依存となってしまえば、本来それが必要ない

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孤独と芸術 16

孤独と芸術 16

顕在的なつながり

 ちょっとしたきっかけで顔も名前も知らない人のSNSを見つけることがある。そこに綴られているのはたくさんの悩みや愚痴。異性関係、家族関係、仕事、学校、将来のこと、数え切れないほどの不安を抱えている。他人の言動に振り回され、自分一人の力では到底今の状況を変えられそうもないように見える、だが、その皮を一枚ペリッと剥がすと、複雑な問題の下に隠れていたのは「愛されたい」「褒められたい」

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孤独と芸術 17

孤独と芸術 17

原意識の近くで生きるということ

 意識を深いところにまで目を向ける必要は果たしてあるのだろうか?他者とわかり合う喜びを得るために美を感じるのであれば、それと引き換えに、強烈な孤独感や苦しみも味わうことになる。それならいっそ、顕在的な意識のレベルで何も知らずに生きているほうが幸せなのではないか。一体何が幸せなのであろうか。
 そう考えていた頃に出会った文章がとてもしっくりきたので紹介する。

「意

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孤独と芸術 18

孤独と芸術 18

同じことが現代人にも起きている

 このことは、クリエイティビティゆえの代償だと思われがちだが、今、日本ではありとあらゆる場面で「鬱」「病み」などが浮上している。実は、精神疾患というものはここからが病気、という明確なボーダーラインがなく、本来誰もがもつ“性格のクセ”が心的ストレスなどによって強く外に顕れたとき、生活が困難だと医者が判断した場合に「あなたは精神病ですね」と言われる。はたから見ると精神

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孤独と芸術 19

孤独と芸術 19

精神疾患

 世の中には様々な人格(パーソナリティー)障碍がある。統合失調性、妄想性、反社会性、自己愛性、回避性、強迫性…その分類は実に多様であり、素人には見極めるのは困難である。精神を患う病は目に見えるものではない。
そもそも、医者はどのように精神疾患を診断しているのだろうか。実は、「これがあるから精神病だ」などという、精神病患者と健常者を分ける明確なボーダーラインはない。短気、心配性、自信家、

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孤独と芸術 20

孤独と芸術 20

うつ病は治してもらえない

 現在の医学で、うつ病に対する主な治療法は「カウンセリング」あるいは「投薬」である。しかし、患者の状況が複雑かつ多様であり、それに対する病院の数も診断が追いつかないほど増大しているのが現状である。そのため、多くの医者は何とか社会復帰できるよう、症状を抑えるため薬を処方して終わらせてしまうことが多い。しかし、先ほどのように鬱とは「自分自身と向き合う時間」であり、それが唯一

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孤独と芸術 21

孤独と芸術 21

他人や社会とどう関わって生きていくか

 我々他人が、一瞬でもわかりあおうとする芸術活動には、ソウゾウリョクが必要である。それは、世の中に一石を投じる何かを生み出すためにクリエイトしていく力、「創造力」と、他人の気持ちに寄り添い、自分が作ったものの先にいる人をイメージする力、「想像力」の二つである。原意識から「美」を取り出して顕在意識で何かに投影する創造力が表現者には必要で、顕在意識で受け取った「

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