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【読書ログ】不良少年とキリスト
文豪のエピソード本をきっかけに、無頼派と呼ばれる文豪達のことが好きになった。
人間臭くて枠にとらわれない生き方。
嫌いを嫌いと言える態度、すごく好きだ。
お酒や薬物は・・・だめだけどね。
文豪というと、なんとなく「自殺」というワードが頭をよぎる。
芥川龍之介、太宰治、三島由紀夫、川端康成・・・・
いい構想が浮かばなくなったり、思ったように文章が書けなくなると、天才の人たちは苦しくなっちゃうのかな。なんて何も知らなかった昔の自分は思っていた。
この2冊を通して、それぞれの人生の葛藤や生活背景、当時の状況などを知った(私の知った範囲なんて、ほんの少しだとは思うけど)ことでそういう漠然としたイメージは払拭されたように思う。
みんなそれぞれ、いろいろある。
芥川が遺書に記した「将来に対する唯ぼんやりとした不安」とか。なんか言葉にならない。
思っていることを文章で表すことのできる作家でさえ、その気持ちをうまく言葉にすることはできないのか。
今回は無頼派の坂口安吾の作品「不良少年とキリスト」を読了したのでそちらの感想を上げたいと思う。
無頼派としてしのぎを削り、一緒に戦ってきた太宰治の自殺。
それに対する怒りをぶつけたエッセイに心を打たれた。
この作品は、青空文庫で無料で読める。
ありがたいことだ・・・😭
太宰のこういう「救われざる悲しさ」は、太宰ファンなどゝいうものには分らない。太宰ファンは、太宰が冷然、白眼視、青くさい思想や人間どもの悪アガキを冷笑して、フツカヨイ的な自虐作用を見せるたびに、カッサイしていたのである。
太宰はフツカヨイ的では、ありたくないと思い、もっともそれを咒っていた筈だ。どんなに青くさくても構わない、幼稚でもいゝ、よりよく生きるために、世間的な善行でもなんでも、必死に工夫して、よい人間になりたかった筈だ。
それをさせなかったものは、もろもろの彼の虚弱だ。
全文読んだ方が絶対いいから、一部だけ引用。
太宰はファンが思っているような人間じゃない、もっと常識的な人間で、ファンのためにサービスしていただけ。
酒に酔ってつい衝動的に(フツカヨイ的に)自殺を選ぶなんて。
批判的な書き方なのに、どこか悲しくて、やりきれない気持ちが受け取れる文章。
これ以降も批判が続きますが、坂口安吾の本心は読者に伝わっているはず。
読んでいて胸がギュッとなった。
然し、生きていると、疲れるね。かく言う私も、時に、無に帰そうと思う時が、あるですよ。戦いぬく、言うは易く、疲れるね。然し、度胸は、きめている。是が非でも、生きる時間を、生きぬくよ。そして、戦うよ。決して、負けぬ。負けぬとは、戦う、ということです。それ以外に、勝負など、ありやせぬ。戦っていれば、負けないのです。決して、勝てないのです。人間は、決して、勝ちません。たゞ、負けないのだ。
勝とうなんて、思っちゃ、いけない。勝てる筈が、ないじゃないか。誰に、何者に、勝つつもりなんだ。
時間というものを、無限と見ては、いけないのである。そんな大ゲサな、子供の夢みたいなことを、本気に考えてはいけない。時間というものは、自分が生れてから、死ぬまでの間です。
戦っていれば負けない。人間は決して勝たない。
時間は無限じゃない、自分が生まれてから死ぬまでの間。
だからこそその間を生き抜いて戦い続ける。
すごく深いし、考えさせられる言葉だな。
坂口安吾の作品、またいろいろ考えながらゆっくり読んでみよう。
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