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【文学フリマで買った本】文学フリマ東京39感想「ひかり物語 ホタルジスト国より」著:福田陽

まだまだ2024年もあと2日あります。ですので年内に書き切りたいと思っていた2024年12月1日・文学フリマ東京39で買った本の感想を書きます。

【著者様へ】
※サークル名・著者名は敬称略になります。
※ネタバレには配慮していますが一部、内容や結末に触れている箇所もあります。何かあれば削除・修正しますのでご連絡ください


その1
『ウタ・カタVOL.1 浮く』

その2
『手腕』著:ルーセットレ

その3
『黎明、某、色移ろい』著:感傷リップループ

その4
『みりん、キッチンにて沈没』『スコール』著:百目鬼裕壱

その5
『恐怖景色』著:アコンカグア


今回の一冊はコチラになります。
『ひかり物語 ホタルジスト国より』
著:福田陽

文学フリマの会場をぶらりと見て回っていたいた時に、のぼりの文句に目を惹かれて購入。

なんとこちらの著者の福田さんはまだ10歳なのだとか。

私が小説を書き始めたのもそれくらいの年でしたが、あの頃はとても作品を完成させるなんてできませんでした。原稿用紙数枚の物語の断片を書き散らしては続きは書かない、と繰り返していた始末。始めてまともに作品を完結させたのは18、19歳の頃だったと記憶しています。

ひとつの作品を完成させるというのは簡単なことではなくて、その苦労を10歳という年齢で乗り越えているという凄味に惹かれて購入しました。

作品の内容は、児童文学を彷彿とさせる、異世界ホタルジスト国に迷い込んだ少年が冒険をするという内容で、これがすごく良くできています。

7つの「贈り物」を手に入れるという冒険の明確な目標が書かれているので読んでいて期待が高まるし、贈り物を手に入れるための相手もユニークなキャラクターが揃っているし、「贈り物」の条件もそれぞれ特徴があるのが楽しい。

ホタルジスト国に住んでいる種族もただの人間ではなくて「青ネズミ族」とか「カエル人間」とか、ワクワクするような異世界の描写が続きます。

中でもとくに読んでいて楽しかったのが冒険の始まりで渡されるマント! ちょっとネタバレですがこのマントを着て走ると飛べるというのがとても良くて、「欲しい! それを着て飛んでみたい!」と読んでいて思います。

普段の生活では味わえない冒険を楽しめるのが異世界小説の魅力のひとつだと思いますが、この作品はファンタジーの魅力がたっぷり詰まっています。

魅力的な世界と胸踊る冒険。読んでいてワクワクすること続きで、私が子供の頃に好きだった数々の児童文学(はてしない物語とか、エルマーのぼうけんとか)を思い出せてくれる素敵な作品でした。

どうしても自分が10歳頃だった作品を思い出して比べてしまうのですが、圧倒されるくらい「ひかり物語 ホタルジスト国より」は魅力的です。

ホタルジスト、という名前も素敵だし、ミドルアースやファンタージェンのような幻想的な響きもありながら「ホタル」という日本語の響きも入っているのがとても良い。良いのは名前だけじゃなくて、ホタルジストの帝は光そのもので、設定と明確に結びついているのも良い。

良いところを挙げたらキリがないくらい、良い作品でした。

この想像力が10年、20年と鍛えられたらどんな物語が生まれるのだろう? と作者の福田さんの次の作品も楽しみになります。



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東武@ペンシルビバップ
また新しい山に登ります。

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