【人生ノート 253ページ】不思議な大宇宙なるもの
一切を育むもの
不可思議な大宇宙
この地上には人間をはじめ、動物、植物、アメーバにいたるまで、たくさんのものが棲息しており、成長をとげておりますが、それは日光とか水とか国土とか空気とかいうものが、ことごとく一切を発生さす条件をもっておって、これを発生さし育てているからであります。この共通普遍的な天地間の一大事を、われわれはまずハッキリ見きわめて、何ものがそんな仕組をしているかに思いをいたらねばならんのであります。
そして、黴菌よりはじまって植物、動物、その霊長たる人間にいたるまで一切が、より良くなりたいーー意識するか、せぬかは別としてーー希望を、あるいははたらきを持っているのであります。これも普遍共通的事実であります。
花が咲くにも、陽のよく照る方にむいて咲き、あるいは水の多くある方に根を伸ばして養分を余計に吸収しようとする。また風が吹けば、幹が保てるように寝が反対の方向に張ってゆく。あるいはまた、生まれたばかりの赤子にし手も、腹がへると乳房をもってゆけば、それに吸いつくというはたらきをする。人間はまた、一つのものに対して、これは美しいとか美しくないとか、良さそうだとか良くなさそうだとか、とにかく、事物にたいしてほぼ共通した鑑別力(人の智能によりその程度はあるが)を、百人が百人もっている。これを考えてみれば不思議な事実であります。天地があり、自分があるということがすでに不思議であり、この天地がかくも統一され、関連しているということがまた不思議であり、一切がより良く、より美しく、より真にすすもうとしている共通的傾向が不思議であり、善悪美醜を惟神に知る共通的感覚を、いずれもが具えていることが不思議であり、
一切を発生さえ、保育し完成さす力が自然に天地間にみなぎっていることが、また実に不思議と申すべきであります。かかる不思議な大宇宙なるものは、人間的小理小智をはなれて、われわれに迫るいろいろな事実からおもむろに考えてみる必要があると思うのであります。