『歩くタイヤ ~にんげん~』
タイヤの悲鳴に耳をすませる
重い車体が
ゆっくりと前に滑り出す
のしかかる重圧に
押し潰されながら
全身で大地にしがみつき
爪をくいたて
燃えそうに熱くなる身体をよじり
前に
前に
アスファルトを踏みしめ
雨をはじき
雪に食らいつき
黒く引き締まった皮膚を
ヤスリでこすりあげるように
前に
びゅうと吹く風を切り裂く
黒き獣のように
前に
摩擦を避けず
自ら飛び込み
おのれを燃焼させる
その痛みと苦しみを喜ぶ者だけが
トップスピードに乗り
世界の向う側を感じて生きれる
止まって死ぬより
回転し続ける獣になれ
水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。