「アナタ」の「キャリア」を考える
新入社員の受け入れ、研修、配属…新年度を迎えバタバタと忙しく、そして充実した毎日を過ごされてきたのではないかと思います。そんな新年度の慌ただしさが一段落すると、あっという間にゴールデンウィークに突入ですね。今年のお休み、皆さまのご予定はいかがですか。
そんなお休みのほっと一息ついたタイミングで、ご自分のキャリアについて思いを馳せてみるのはどうでしょう。
「キャリア」を「考える」のではなく、あくまでも思いを馳せる、そんな軽い気持ちで読んでいただけたら幸いです。
そもそも今回、キャリアについてお話したいと思ったのは、この新年度、私自身が新たなキャリアの転換期にあるからです。
そんな変化のある時期だからこそ自分自身のキャリアの棚卸しと今後をイメージする良い機会なのでは⁉︎と思い立ちました。笑
いつも突然降ってくるタイプです。では早速行ってみましょう。
「キャリア」って何?
皆さんは「キャリア」と聞いて、まずは何を思い浮かべるでしょう。一般的には、仕事、就職、職歴、資格、実績…このあたりを漠然とイメージするのではないでしょうか。
当然、これらも「キャリア」ですが、実はキャリアの定義のほんの一部なのです。
◎本当の意味での「キャリア」とは
キャリア、という言葉の意味を調べてみると、「継続して働き続ける過程」というような文言が出てくるかと思います。
仕事の「結果」がキャリアなのではなく、働くことと、それに伴う「プロセス」が「キャリア」ということ。
つまりは「仕事」だけがキャリアではないということです。
では具体的には、何をもって「キャリア」というのでしょうか。
◎ライフ・キャリア・レインボー
「ライフ・キャリア・レインボー理論」をご存知でしょうか。
ドナルド・E・スーパー氏が提唱したこのキャリア理論は、ステージによって与えられる役割と、人生における多角的なキャリアの構築を視覚化し、人生設計に役立てましょう、というものです。
これを見ていただければわかる通り、人生とは、仕事、家庭、余暇、ありとあらゆる要素で構成されています。それぞれの役割を積み重ねたものがキャリアであり、人生である、という考え方が、「ライフ・キャリア・レンボー理論」です。
人は生まれた時に「子供」という役割を与えられます。「子供」という役割は、自分の親が生きている限り続きます。年齢を重ねるごとに「役割」は増えていきます。学生、職業人、配偶者…と、複数の「役割」を抱えます。
「ライフ・キャリア・レインボー理論」では、キャリアというのは、社会、家庭、個人すべての関わりの中で、それぞれの役割をはたしながら自己実現しましょう、と提唱しています。
「キャリア」というのは仕事ばかりではありません。人生におけるすべての要素がキャリアであり、人生そのものということですね。
人生のステージは変化する
先ほどお伝えしたように私事ではありますが、今春、長子が小学校に入学しました。保育園、幼稚園時代とは違い、小学校は義務教育。子供も、親も、学校に通うこと、通わせることが「義務」となりました。
朝の時間配分も変わりますし、就寝時間も変わりました。家族の1日のタイムスケジュールが大きく変化したのです。
私は「幼児の親」から「学生の親」へというステージの変化がありました。と同時に、長子もまた、「子供」という役割に加えて「学生」の義務を抱え、親である私には長子が義務をはたすよう導く「マネジメント」の役割も与えられたのです。
このように、ステージの変化によって生活状況は大きく変わります。
◎キャリアのメンテナンスを!
人生のステージが変化することで、与えられる役割も変わり、キャリアも変化していきます。人生の転機において必ず訪れるステージの変化を予め予測し、その時、自分はどのように生きたいのか。自分が「人生のキャリア」において、何を大切にし、どのような自分になりたいのか。
それらを定期的に見直し、意識し、考える。
これをすることで、大きな変化に備えることができます。
これくらいの年齢までに子供を持ちたい、と考えるのであれば、抱える仕事と育休のタイミングについて調べておくことができます。女性であれば、出産の年齢なども具体的にイメージし、そこから逆算して人生設計をすることもできるでしょう。
結婚を考える、家を持ちたい…それら大きな生活の変化に備え、具体的に思い描くだけでも良いでしょう。
また、「人生のキャリア」は、社会情勢や個人の事情でいくらでも変化します。定期的に「どのようにキャリアを積み上げるか」を見直す、つまりは「キャリアのメンテナンス」をおススメしたいのです。
現代のコロナ禍において、人々の生活様式は大きく変化しました。仕事だけではなく、生き方そのものも大きく変化したという方も多いのではないでしょうか。
こういった状況の変化はいつ起こるかわかりません。思い描いていた未来が必ず訪れる保証など無い。当たり前ですよね。ですから、「定期的に見直す」ことがとても大切だと考えています。
◎キャリアのパーセンテージは変化する
「ライフ・キャリア・レインボー理論」の図式を見ていただければわかる通り、人は年齢を重ねるごとに複数の役割を抱えていきます。
「子供」の役割しか与えられていなかった幼児が就学することで、「子供」「学生」、2つの役割を抱えます。そして就職、結婚…ひとりの人間が「子供」「職業人」「配偶者」「親」と、役割を増やす中で、自身の中での役割のパーセンテージが変化していきます。
出生時〜学生までは「子供」の役割のパーセントが高い、というのはイメージしやすいかと思います。そして独立しても親が存在する限りは「子供」の役割は残りつつも、自身の抱えるパーセントが低くなっていきます。そして「職業人」「親」という役割を大きく抱えることになります。
また、親に介護が必要といったステージの変化に伴い、「子供」の役割がまた増えることもあるでしょう。
レインボーの色の数、つまりは「抱えられる役割の数」も人によって違うかもしれません。
自分は仕事と育児、両方を抱えるのは難しいという方や、逆に家庭生活を充実させたいので仕事はセーブします、というのもまた、人それぞれ、ということですね。
「人生のキャリア」に正解は無い
人生のステージにおいて、「結婚、出産、子育て」というのが当たり前に付いてくる、というのは既に古い価値観になってきています。
結婚するもしないも自由ですし、また子供を持つ持たないも個人の選択です。
今は制度が整備され、男性でも育児休暇が取れるようになり、「男性は仕事、女性は家庭」という価値観も薄れてきています。
「キャリア」という言葉を使うと、「男性も女性も同じようにバリバリ働き、同じように育休を取り…」という、先進的な生き方が正解だ、というイメージを持たれるかもしれません。
しかし、「人生のキャリア」は人それぞれ。
我が家では妻が家庭を守ります。我が家では子供は持ちません。我が家では夫が主夫です。それらすべてが「その人のキャリア」です。自分にとって大切なものがあるのであれば、それらすべてが正解です。
誰しもその人の「人生のキャリア」に胸を張って生きていける…
これこそが真の意味での「ダイバーシティ」なのではないかな、と、私はそう思うのです。
「働くこと」だけが「キャリア」じゃない
「ずっと子育てをしてきたから、経験も無いし、資格も無い。こんな私が社会進出なんて難しいですよね」という話を聞くことがあります。
とんでもない!あなたは今まで「育児」という立派なキャリアを築いてきたではないですか。
今まで生きてきた中での経験は、すべて「キャリア」となって自分の中にあります。「キャリア」とは、生き方そのもの。すべての人がその人の「キャリア」を持っているのです。気後れする必要などありません。ぜひ次の「キャリア」を目指して、どんどんチャレンジしていって欲しいと思います。
キャリアプランシートの利用方法
「キャリアのメンテナンスを!」と言われてもピンとこない…そんな方におすすめなのが、「キャリアプランシート」です。
「会社」「自分」、他にも「家庭」「学校」などの項目別に、◯◯年後にはこうなっていたい、その為にはいつまでに、何をすべきかを書き込んでいきます。書き込むことで、目標から逆算し、今やるべきことが見えてくるはずです。
具体的に明文化し、目に見える形にすることが大切です。
これはあくまでも「今」の現状を整理するためのものなので、当然ですが定期的に見直していきます。「見直し」が前提ではありますが、「今を把握する」ことで、人生が、そして「キャリア」が明確となります。
ご自身が本当の意味で大切にしたいこと、欲しいもの、達成したいことが見えることで今、なにをするべきかを把握する助けとなるでしょう。
家が欲しいのであれば、お金を貯める必要があるでしょう。子供が欲しいのであれば、結婚、出産などの大きなライフイベントはどのくらいの年齢で迎えるでしょうか。
目標を具体的に意識することで、これらの「人生のキャリア」をどのように構築していくかが見えてくると考えています。
いかがでしたか。
キャリアコンサルタントの資格を持つ私ではありますが、今春はその私自身が、変化した日々に右往左往しています(笑)
新年度を迎え、ゴールデンウィークを迎えるこの時期、仕事から離れる時間、今までの生き方とこれからの目標に思いを馳せる…
「キャリアのメンテナンス」、おススメですよ!
「キャリア」は「人生」そのもの。
社員ひとりひとりが自身のキャリアを築くことで、会社も大きく成長します。もし会社の「キャリア」、働く仲間の「キャリア」について組織単位でお考えの際は一緒に考えさせていただきます。身近で働くすべての人が輝けるキャリア構築のお手伝いができたら嬉しく思います。