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向田邦子と辞書と謎解き(5) 小休止、ちょっと整理してみる

いったい、どれだけの辞書で「なみだ」をひいたかしれない。だが、もしかすると、鍵は「なみだ」ではなく「なみにく」なのかもしれない。
新明解第四版に「えんきょく」という表現が出てくる。

【向田辞書】(上肉・中肉に対して)値段の安い肉のえんきょく表現。

【明解国語辞典初版】「なみにく」なし。

【三省堂国語辞典第六版】「なみにく」なし。

【新明解国語辞典第四版】〔上肉・中肉などと違って〕「値段の安い肉」のえんきょく表現。

【新明解国語辞典第七版】〔肉屋で〕スライスして売る食肉の中で、一般に赤身の割合の一番少ない肉。

明解初版→明解改訂版→三省堂国語辞典と新明解国語辞典

今のところ「なみにく」は新明解だけでしか見当たらない。

①明解改訂版
②三省堂国語辞典初版
③新明解国語辞典初版

この三つの「なみにく」が気になる。
ようするに三つの分岐点だ。

それにしても。
新明解第七版でずいぶん変わったものだ。
「えんきょく表現」って、よろしいように思われるんだけども。

一方で。
もし、明解改訂版に「なみにく」があったら、三省堂国語辞典はこれを削っちゃったのかしらん。

などと言っているうちに、辞書探しの旅はクライマックスを迎える。

読書メーターで読友さんからコメントをいただいたのは、その翌日だった。


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