あやたか

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Mr.Children「365日」の歌詞を読み解く【後編】

前編に引き続き、 Mr.Children「365日」の歌詞を読み解いていきます。 前編はこちらから↓ 2番の頭から。 1番からは少し雰囲気が変わって、夢でしかなかったはずの彼の想いが現実的なものへと移り変わっているのを感じます。 「恋愛をすると自分の自由が失われてしまう」 「自分の夢を最優先できなくなってしまう」 という懸念は、彼にとっては恋愛をしない自分を肯定化する予防線のようなものだったと思います。 それが「効力を無くした」と言い切ってしまうほどに、彼の気持ちは

    • Mr.Children「365日」の歌詞を読み解く【前編】

      こんにちは😃 これまで何度か音楽に関する文章を書いてきたのですが、曲紹介に関する投稿はしてこなかったので挑戦してみようと思います。 まずはその第一弾として、 Mr.Children「365日」 を取り上げます。 2010年リリースのアルバム「SENS」の収録曲です。 僕はこの曲がすごく好きで、思い出深い歌でもあるので深掘りしてみたいと思います。 曲紹介と言いつつも、音楽的な部分は全く知見がないので歌詞に絞った考察に留めておきます。 まずは歌い出しから。 愛す

      • Mr.Children miss you アリーナツアー感想【ネタバレあり】

        ミスチルのアリーナツアー行ってきた!! 幸運にも最前ブロックで見れて最高だった! アーティストのライブ自体初めてだったけど、やっぱり生演奏は半端じゃない… ライブがあまりにも良すぎて、感想を書こうとして言葉にすると濃度が薄くなってしまう気がしたんだけど、やはり記憶に刻むためにも今日の熱を文章に残しておこうと思う。 ※ここから先セトリのネタバレを含みます※ 開演「HOME」の一曲目「叫び 祈り」からスタート。ドラムの鼓動と、徐々に音が鳴り動き始めるリズムが体と共鳴して一

        • 『Nのために』を読んで

          『Nのために』を読んだ。 湊かなえ作品を読んだのは初めてだったけど、かなり自分の好みに近い作風だった。 小説でしか味わえない体験とはまさにこのことで、視点人物と時系列の交錯が織りなす不協和に心を揺さぶられた。 感想 この作品は、愛の魔力を描いた物語だ。 「いかなる行為においても愛が理由になり得るのだと、証明してみせるのだ。」 この一節は本作を端的に言い表している。 我々は、愛の魔力に取り憑かれることがある。 恋人と大切な日を過ごす時や、親友たちと夜まで語り明かす時は、「

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          音楽をアルバムで聴いてみよう!

          音楽は、今や誰の手にも届くところにある。 SpotifyやApple Musicなどのサブスクサービスを使えば好きな曲はいくらでも聴けるし、更に自分でオリジナルのプレイリストを作ることさえできる。 また、YouTubeを見ればMVと一緒に楽曲を楽しむことができて、TikTokでは動画のバックとして音楽が流れたりする。 そんな風にして、音楽の楽しみ方はますます多様化してきている。 様々に枝を広げる昨今の音楽シーンにも、一つ共通する大きな傾向がある。 それは、曲を単体で聴

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          『秒速5センチメートル』を観て

          『秒速5センチメートル』を観た(1年ぶり2回目)。 初めて観たのは受験真っ最中の高3秋口で、勉強が少し嫌になった時期の学校帰り、塾をサボって自宅に帰りその足(というか目)で観た。 それから1年ぶりだったけど、当時よりも高い解像度で観れたと思うのでまとめてみる。テーマをきっちり据えた分析というよりは、観る中で感じたことを雑多に取り上げる感じにする。 物理的距離と心的距離 "a chain of short stories about their distance" 本作

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          伊藤計劃『ハーモニー』を読んで

          伊藤計劃『ハーモニー』を読んだ。 近未来SFのお話。 「WatchMe」と呼ばれるデバイスを通じて健康を管理され、食生活・精神状態の隅々までをデバイスに預けることで一切の病気が駆逐されたユートピアの世界で、少女たちが静かな叫びを上げるお話。 原作を基にした映画は高校の時に観たことがあるので割とスラスラ読めたけど、それでもやはり難解な内容であることには変わりなかった。 難解と言うのは表層のストーリーの事というよりも、この作品が主題とする「意識と身体」「生と死」「自己と他者」

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          北大鬼仏表レビュー集

          北海道大学には、有志の学生により投稿された授業評価をまとめた掲示板ー通称"鬼仏表"ーと呼ばれる非公式サイトが存在する。 上記のように、教官名と授業評価(ど仏〜ど鬼の5段階評価)、テスト・レポートに関する情報に加えて、授業内容の詳細についても添えられる。 無論学生間で講義に関する情報を共有する目的で利用されるわけだが、非公式で運営された無法地帯であるがゆえに、常軌を逸したレビューがいくつか散らばっている。 本記事では、そんな北大鬼仏表サイトに紛れ込む「マジキチレビュー」を

          北大鬼仏表レビュー集

          【後編】超RIZIN2現地レポ

          入試の昼休み並みに長い休憩を終えると、遂に後半のRIZINパートが始まった。 RIZINパートの特色は、なんと言ってもド派手な演出。Bellatorパートも華のある演出は多かったが、RIZINはその比ではない。 まずは、毎度お馴染みのオープニングセレモニーから幕を開ける。 RIZINの歴史を振り返る煽りVから始まり、締めに朝倉未来が映される。「王者朝倉未来の誕生」が、8年続いてきたRIZINの一つの到達点であることを暗に示しているように思える演出だった。 煽りVが終わ

          【後編】超RIZIN2現地レポ

          【前編】超RIZIN2現地レポ

          さいたま新都心駅を降り、改札を抜けると辺りは大量の人で埋め尽くされていた。 7/30、さいたまスーパーアリーナで格闘技の祭典が開催された。 「日本格闘技の聖地」と称されるこの場所で、様々なドラマが生まれてきた。2000年代初頭、「PRIDE」が世界最強を決めるリングだった日本格闘技全盛期から、冬の時代を経て現行のRIZINに至るまで、数多くの名勝負がこの地で生まれてきた。 2022年大晦日に行われた、世界No.2の総合格闘技団体「Bellator(ベラトール)」とRIZI

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          受験期の奇行を振り返る

          人は追い込まれると突拍子もない行動に出たりする。 受験期の終盤、学校の授業もなくほぼ毎日塾の自習室に通っていた頃、突然気持ちの糸が切れたように、普段行かないような場所へ行ったりすることが何度かあった。 今回はそんな受験期の奇行を写真とともに振り返る。 2022年12月26日 家を出て自習室に行くつもりだったのに、なぜか吸い込まれるように隣の文教堂に入り漫画コーナーに立っていた。しばらく眺めていると、ふと「AKIRA」が目に入った。 完全版特有の分厚く大きい冊子に、イ

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          Life with music

          昔友達が書いた「自分の人生の特定の時期と結びついた曲を紹介する」という趣旨の記事が面白かったので、パクります。 『世界が終るまでは…』(WANDS) 中3の終わりから高1にかけて聴いていた曲。 それまでは音楽を聴く習慣が染み付いていなかったので、この曲が人生で初めてハマった曲かもしれない。 当時よく見ていたストリーマーの方がこの曲のことを配信中話していたのがきっかけだった。のちにアニメ『Slam dunk』の2期EDテーマであることを知り、これを聴くためだけにスラダンを

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          【見るな】箱根旅行記

          こんなタイトルにしたのには理由がある。 これから始まる旅行記、真面目に書く気が一切ないからである。箱根にどんな観光地があるか気になる人や、箱根で撮った写真を見たい人には一切向かない。 それでも構わないという人だけ、続けて読んでほしい。というわけで、9割脚色の箱根旅行記、はじまりはじまり。 第1章 終わりの始まり 世界が滅んだあの日、僕は箱根へ赴いていた。 文明が跡形もなく消し去り、一夜のうちに地球が灰色の世界と化したあの日の昼下がり、僕は呑気に箱根旅行を楽しんでいた。こ

          【見るな】箱根旅行記

          男子校は時代遅れ?

          ※この文章は、2021年6月に書いたものです。 近年、男女平等を推進する社会風潮の中で男子校が時代錯誤であるとして問題視されている。実際、ジェンダーフリーの観点から男子校への入学を危惧して共学校への進学を考える保護者も年々増えているという。 確かに、女子がいない空間で高校生活を過ごすことで、誤ったジェンダー観が構築される恐れがあるという点で見れば、男子校は「時代遅れ」なのかもしれない。そして、その対極に位置する共学校は、男女両方が同じ空間で共に過ごす、いわば男女平等と強く

          男子校は時代遅れ?

          北大入試体験記

          受験体験記第2弾として、国立入試編を書いてみる。共通テストと異なり、会場となる札幌まで赴いて2泊3日の旅をしてきたので前回より濃い内容に仕上がるはず。 また、共通テストの時は精神的な余裕がなく写真を撮ることはできなかったが、二次試験では2日前入りしたおかげで写真を撮る余裕ができたので、より一層当日の雰囲気が伝わると思う。 本編では、新千歳へ向かうフライトから始まり、試験前日と当日までの出来事や自分の心境などに焦点を当てる。 新千歳行きの飛行機に搭乗すると、周りは受験生と

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          共通テスト体験記②

          ※本稿は「共通テスト体験記①」の続きです。詳細は下のリンクからどうぞ※ 正直、2日目の記憶はあまり残っていない。 1日目で山を越えた感覚があったので、2日目はほぼ消化試合くらいに思ってた。 そんなわけで何事もなく試験会場につき、前日と同じ試験官が入室してきて、「ああ、相変わらず口が回らない人だなあ」と思いながら試験開始を待つ。 どうやらこの試験官は、「言いづらい言葉ならゆっくり言えば噛まないじゃないか!」と思いついたらしく、一文字一文字を噛み締めながら「ウェアラブル端末

          共通テスト体験記②