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受験期の奇行を振り返る

人は追い込まれると突拍子もない行動に出たりする。

受験期の終盤、学校の授業もなくほぼ毎日塾の自習室に通っていた頃、突然気持ちの糸が切れたように、普段行かないような場所へ行ったりすることが何度かあった。

今回はそんな受験期の奇行を写真とともに振り返る。

2022年12月26日

家を出て自習室に行くつもりだったのに、なぜか吸い込まれるように隣の文教堂に入り漫画コーナーに立っていた。しばらく眺めていると、ふと「AKIRA」が目に入った。

完全版特有の分厚く大きい冊子に、インパクトのある表紙。一目惚れしてしまった。家に持ち帰る時に親にバレないよう、不透明の青いエコバックに忍ばせ店をあとにする。

やる気も起きないのでそのまま家に帰ろうとしたが、何か物足りない気がして寄り道をする。
小学校時代の通学路を辿っていった。

なつかしの歩道橋を渡り、母校を横目に見ながら帰宅ルートを辿る。

帰路の途中、前から学校帰りの学生や会社帰りのサラリーマンが大量に押し寄せて来る中、自分1人だけが逆方向に進んでいた。

この時、「あ、自分は間違った方向に進んでいるんだな」と思ったことを今でも憶えている。


2023年1月5日

共通テスト2週間前。
受験生の大半が勉強しているであろうこの時期に、なぜか彼はカラオケにいた。

「高校生1人、90分でお願いします」

まさか店員も目の前にいる高校生が受験生だとは思うまい。バカめ。

何を歌ったかはもう憶えていない。
この写真はたしかTwitterに上げる用に撮ったもので、多分「あれ俺何しに家出たんだっけ」みたいなツイートをした気がする。


2023年2月1日

自習室をいつもより早めに出て、家から自転車だけ借りて多摩川へ向かった。なぜこんな時期に40分もかけて多摩川に行ったのかは自分でもよく分からない。

たしかその時、「夜の多摩川を感じてみたい」とかいうキモいツイートをした気がするので、まあそういうよく分からない動機で多摩川に行った。

夜の河川敷には、もちろん誰もいない。
下手をするとこのまま川に身を投げてしまうのではないかと言うくらいに、夜の多摩川は孤独感を閉じ込めて共振させるような魔力があった。

しばらくすると、急に鼻血が出た。ポケットティッシュの残りが1枚しかなくて、なんとかそれで乗り切った。

結局、憂鬱と孤独感を抱え込んだまま家路についた。


2023年2月7日

塾帰り、家のすぐ近くにある寺に行った。
ここは幼い頃にたまに通っていた場所で、狭い坂道を進んだ先にある小さな鳥居やそこから眺める景色は、まだ世界が狭かった自分にとっては新鮮に映っていた。

久しぶりに来てみると、昔とは少し違った雰囲気を感じた。夜の境内は、不気味さと神聖さを醸し出しており、久々に非日常的な感覚を味わうことができた。

昔通っていた場所に今になって行ってみると、成長した自分を感じて嬉しくも辛くもあったり、逆に新しい発見があって楽しかったりもする。夏休みに帰省した時には、色んな場所を巡ってみたい。

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