結婚40年、ずっと一緒にいれるワケ
「それは色々あるわよ。でもね、全部、受け入れるの。」
全部、受け入れるとは、なんとも偉大な言葉だろう。
彼氏からの3日間の既読スルー如きにヤキモキして、もう一回LINEしようか悩んでいた自分がいかに小さいことか。
この言葉に触発されて、彼氏が元奥さんの話ばかりすることも、外食ばかりで家に入れてくれなくなったことも飲み込もうとした。
しかし、出来ない。だから、
「全部受け入れることまではできなかったです。」
と答えた。
すると彼女は、
「そしたら、60%くらい受け入れられたら上出来じゃない?
職場の人なら5%くらい合っていれば付き合っていける。
でもね、それは、自分も同じなの。自分にも個性というか、変わったところがあって、そこを受け入れてもらわなきゃいけないから、受け入れるの。
嫌でも明日の朝には『おはよう』と言うのよ。」
自分と違う部分を排除してきた私には、受け入れるということが偉大すぎた上、思いもよらない見解で衝撃だった。そうだよな、受け入れてもらいたいなら私もまず受け入れなければならないはずである。「嫌」「違う」と拒否するのではなく、合っている60%の部分から付き合いを拡げなければならないはずだ。なぜ私は気付かなかったのだろう。
人との付き合いで「受け入れる」という大切なことを教えてくれたこの女性は精神科医でもメンタルトレーナーでもない。長く結婚生活を続けられてきた女性だ。
ただ見るからに神々しさを宿し、声にも表情にも大きなものを乗り越えた様相がある。
私の質問にもカラッとした笑顔で答えてくださった。
……………
彼氏からの3日間の既読スルーが、5日になった。
だから、私は彼に、
「自分はずっと年下だけど、全部、受け入れたいと思っているから話しをしたい。」
とLINEしてみた。そうすると、直ちに返事が来た。
結局、話したあと、私から彼を手放したが、私は
凄く満足した。
自分で自分の本音がよく見えたのだ。
この人といるときの自分が好きじゃない。なぜなら、元奥さんの話に疲弊しているから。
何より、昼夜問わず急患に対応しているから、私の全てを彼氏に合わせなければいけないこと、
話の疑念にすら問を発せられず、そればかりか救命に失敗した彼のストレスを受け入れて、消化しなければならない。
一緒にいると私の終わりになると感じた結果、自動的に別れが導かれたからだった。
……………
「あいつのあんなところが嫌。」
と切り捨てで距離を持つことは簡単だけど、
「そっか、そう思っているんだ。」
そうやって受け入れて、受け入れてもらって毎朝、「おはよう」と言うことがどんなに難しいことか。
切り捨てて進んでいくのではなく、受け入れて進んでいける関係を人と築づいていけるように、
これからの私は関係がギスギスしたら、無視でも怒るでもなく、少しでも相手の話を聞いて、本音で向き合いたいと思う。
そして、合っている何%かのところで大事にし合いたい。
いつか、既読スルー如きになんて沈まない、大きな大きな女性に自分がなれるように。
……………
先日、彼女に「株を教えて欲しい。」と言われた。
こうやって、彼女は他人の趣味や興味を受け入れながら、合っている部分を探して対話を続けてきたのだろう。
私もこれからは、出会う人とは合っている部分を探していきたい。そして合っている部分を大事にし合える関係を築けるようにになったとき、その人がパートナーであって欲しい。
まだまだ彼女の足元にも及ばない。
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