あの日、私は私を殺した。
今でも思い出す
思い出す度
体の真ん中がキューーっとなって
呼吸が浅くなる
苦しい
寂しい
どれも当てはまるような
当てはまらないような
そんな感情
授業が終わり
みんなが向かう1つの机
”人気者”
笑い声がこだまする
いつも羨ましかった
誰にでも平等に
いつも笑顔で
優しく笑う
周りには
仲間がいっぱいいて
悪口を言われることもない
そんな眩しい姿を横目で見ながら
私は大丈夫
寂しくない
私は強い
私は強いんだから
私はお姉ちゃんなんだから
だから強いんだもん。。
大丈夫。。。。。
そう心の中で唱えては、
雪で見えない窓の向こうに
視線を移した
学生時代、
どこにいても浮いていた
給食の時間
好きな者同士で机をくっつけて食べるあの儀式
1人になるんじゃないかといつも怖かった
下校時間
1人帰る私の先には
楽しそうに帰る3人組
胃がねじれるような毎日だった
自分が感じたことを素直に表現すると
いつも空気がサーーーッと引いていく
私にはその理由が分からなかった
変わってる
性格悪い
調子に乗ってる
毎日毎日小さな体と小さな心に
ミサイルみたいに
色んな言葉が刺さっていた
あの頃、
私の中には
2人の私が存在した
誰かに何を言われても
自分が正しいと思ったことを
曲げる必要はない
と素直に生きていこうとする私
誰かと違うことが悪とされている
学校という組織の中で
なるべく穏便に
周りの色に合わせて生きていきたい
と自分を殺そうとするワタシ
”ワタシは私を殺すことにした”
11歳の時のこと
今でもはっきり覚えている
11歳、
小学5年生の時
「私は私であることをやめる」
そう決めた
「新しい自分になって
新しい環境で生きていく」
と。
地元の中学には行かず
寝る間も惜しんで勉強し
中学受験をした
将来医者になりたいから
頭の良い中学に行きたい
そう言っていたけれど、
本当は違う
ごめんね、
お父さん、お母さん
11歳にして
人生をやり直したいと
心の底から思っていた
その頃の
日記にはこう書いてある
「人気者になりたい」
・・・・
叫びだった
変わり者だと後ろ指を刺され、
強がりと空元気で
過ごす毎日の中で
小さな心は限界だった
こうして私は
人とは違う自分の個性を封印し
何色にでもなってやる
そう思いながら
受験した中学に入学した
フォロワーの方は
もうお分かりでしょう
そうです
いじめの記事で書いたアレです
そんな思いで入った中学
そこにあいつがいました
私の持ち物を
ゴミ箱に捨て
油性ペンで落書きをし、
自分がやったことを
絶対に認めないまま
小学2年で転向していった
あいつです
あいつと中学で再会したあの件です
神様はいない
そう思いました
別人として
再スタートして
穏やかに穏やかに
絶対目立たないように
影に隠れて
生きていきたかった
それなのに
「ブス!鏡見てみろよ」
廊下で思いっきり叫ばれました
「なにあいつ笑 マスクしてる笑
それに✗書いてやろうか!笑」
風邪をひいてマスクをしている
私に向かって
ゲラゲラ笑いながら
こっちを見て言いました
あいつは絶対自分の手は汚しません
自分が過去に
私にいじめられていたことにして
周りの1軍女子を使って
私に攻撃してきました
”またか…”
”またなのか…”
”私はどこに行っても
こういう目に合うのか”
”ねえ、神様。なんでなの?”
帰りの電車でよく呟きました
辛くて
憎くて
苦しくて
でも泣いたらいけないと思って
我慢すればするほど
心臓の鼓動はどんどん早くなって
そんな気持ちを全部受け止めて
言語化する力も
勇気もなくて
だから…
家族にも先生にも
言えなかった…
学校に行きたくないよ…
たすけて…
文字数にすると
たったこれっぽっちのことが
私には言えなかった
こうして
11歳のあやかの夢は
あっという間に
散っていったのだった
友達がいなかったわけではない
異性の友達はいた
休み時間外で思いっきり遊んだし
バカなことを言って
ゲラゲラ笑ったりもした
いじめが止まぬ中
短い時間ではあったけど
仲良くしてくれた女の子もいた
ありがとう
あの頃、
1人にしないでくれて本当にありがとう
心の底からそう思う
そんな日々の中、
あまりに大きい闇の中に
少しだけ存在した
小さな光
それが音楽だった
3歳から始めたピアノ
強がりで
口下手で
いつだって言えない本音を
大声で代弁してくれる音楽
プロになれるよ!
褒められた歌
夢中になった
あの頃の
私のロキソニンは
音楽だった
あらゆる痛みを
一瞬して消してくれる魔法
医者になりたいと言ったら
親が喜んでくれて
その笑顔が嬉しくて
どんな痛みも
勉強で消していた小学生の頃
念願叶って入った中学で
もう傷つく場所もないくらい
傷ついて
自分は存在する意味ないんて
ないんじゃないかって思ったそんな時
私に居場所をくれた
どんな痛みも消してくれる歌
目を背けたいほどの
痛々しい傷を
一瞬だけ消してくれる
”何か”に
私はその都度
夢中になっていたのだ
それは時の流れと共に
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何色にもなったりしない
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この命
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全部全部、ここにあるから
ありがとう。
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