見出し画像

算数が苦手だったから、娘にシールを作らせた話。

算数が苦手だった。
チラシを眺めてる母の横で
「お母さん!ぶどう98円だって!」と、いうと、
「グラム98円ね。じゃあ問題。ぶどうを200グラム買ったらいくらでしょうか」
と、必ず算数の問題を出されたのがトラウマだ。

グラムって何。グラム98円ってどういうこと。と、テンパった。
まず、式がわかんない。グラム98円の意味がわかんないから、200グラム買うということの意味もよくわからなかった。
母に思い切って聞けばよかったけど
「まさかわからないなんて言わないよね?」
という顔をしているように見えて聞けなかった。
言わなきゃよかったと思った。
言わなきゃよかった。ぶどうが98円なんてそんなわけないんだから。言わなきゃよかった。

「あやちゃん〜こないだも教えたでしょ〜」
と、ため息をつく母の顔。
かなしい。

ほんとだ!安いね!買いに行こうか!と、優しく笑いかけてくれると思って出た言葉だったのに。
言わなきゃよかった。ぶどうが食べたいわけじゃなかった。母が喜んでくれたらいいのにと思っていた、あの時の気持ちをハッキリと覚えてるのに、

私も娘に似たようなことをしてしまう親になって、心底ガッカリしてる。
「このお菓子12個入りだ!家族4人で分けたら1人何個だと思う?」
「3個!」
おー。いいじゃん。
「その“式”は?」
「…。」
「ほら!答え出てるんだから!わかるよ!ほら!!」
と、急かす私は、当時の母のようだ。


これではいかん。と思う。
急かしても仕方ないし、理解してるんだから、楽しくお菓子を食べればいいのに。と、反省する。

グラム98円のぶどうの頃に、私は心底算数が嫌いだと認識した。
嫌いだ。よくわかんないから。わかんないと言えないから。
そこからずーーーーーっと算数が、数学が苦手でここまでやってきて、
今もやっぱり苦手なままだ。

だけど、人生において、算数も数学も、なくらない。
なくならないどころか、毎日使う。毎日お金の計算をして、毎日時間の計算をする。
あの時“苦手”だと思わなかったら、確定申告などはもっとスムーズにできるんじゃないかなと思う。


娘にはこうなってほしくない。と、思うのは、完全に親のエゴだ。わかってる。
やりたいことをやりたいようにやればいい、わかってる。
でも、数字もお金も、わかると楽しいはずだから、今回娘に課題を出した。

「オリジナルシールを販売せよ!!!」だ。

10月5.6日に開催のNEVER MIND THE BOOKS。
今年初参加の私は、ひとんちのかぞくの新作など、いくつかのアイテムを携えてブースに立つ。当初はそれだけで良かったのだけど、
長女を巻き込みたくなった。
長女に聞くと「やってみたい!!」という。

今回の企画は

・娘にお気に入りの絵を描かせる
・私が3000円立て替えてオリジナルシールを100枚作る
・娘は、1枚100円で、まず30枚売って、私に借金を返す。
・それ以降の売り上げは、お小遣いとして、好きなものを買ってよし。


というもの。
度々、その式を考え(例えば、1枚100円のシールを30枚売りました。いくらですか?式を求めなさい。100✖️30🟰3000円 的な。)、

その場で計算をしてもらう。

リアルな数字で、リアルな式が生まれる。

算数だけじゃない。
シールを販売する時にはコミュニケーション能力も必要だし、
なんて言えば、みんなが買ってくれるのか、も、考えなくてはいけない。
お店屋さんとして、自分が販売するというのは
“社会科”だろうし、
誰かの心を揺さぶる売り文句を考えるのは“国語”や“道徳”にもつながるかも。 

…言い過ぎてる感じもするけど、何もしないよりは、何か得るだろう。


長女は、
お店に立つと緊張するから、と、売り文句を考えメモをして、そろばんを片手に計算。
出来上がってきたシールを、せっせとラッピングしている。

(私のエゴをおしつけてしまってるのでは?)と思うこともあるんだけど、
まぁ、なんか、楽しそうだ。

たまに私に怒られたり、
バァバを味方につけたりして、
家族に売りつけた売り上げは既に1200円。
帳簿的なものをメモして、それを眺めながらニヤニヤしてる。



好きになってくれたらいいな、と思う。
算数も、だし、
新しいことにチャレンジすることや、
人とコミュニケーションをとることを、好きになってくれたらいいな。
売り上げたお金を好きになっても構わない。

何でもいいから、この経験を通して「好き」を見つけてくれたらいいな、と願うばかりだ。


長女のシールは、今週末のネバマで販売することになっている。
私1人のブースなので、ずっと一緒に販売はできないけど、長女にも少し店頭に立ってもらう予定だ。

正直私の方がドキドキしてる。
うまくできるだろうか?
一枚も売れなかったら可哀想だな。
とか、色々考えるけど、
まぁ、大丈夫でしょう!!!

生きた数字や、生きたコミュニケーション、
紙ペラの上での数字じゃなく、
自分がその場で“算数”を“社会科”を“国語”を、
感じることが大切だから。
それって、どんな学習方法よりも楽しいんじゃないかな?
こう思うことさえも、私のエゴのような気もするんだけど。

結果はまた、報告します。

あ、そうそう。娘のシールのデザインも載せておくね!
こちらです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?