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私の住んでいる地域にも、水音が響き、梅の完熟した香りがふわっと広がるようになってきた。 …
「この時まで生きていて良かった」 部屋全体が明るくなり、座っていた椅子に思いっきり脱力し…
2日間刺激たっぷりの日を過ごしたからなのか、昨日はアドレナリン大放出祭りが体内で開催され…
自分を信じるということは案外難しいけれど、物語の持つ力や言葉の持つ力は信じられるから不思…
ゆらゆらと電車に揺られて向かったのは、恋人と初めてデートらしいお出かけをした、4年前の思…
「有限で枠があるから、無限の展開があるんです」 朗らかな笑顔と共に、軽やかな手つきで様々…
ある日、秋風よりも鮮やかな青の映える夏空に目を細めた。 9年前、そんな夏の強い日差しが、たくさんの仲間の頬を伝う雫に輝きを灯していたことが脳裏をよぎる。 中学生最後の吹奏楽コンクール、5年連続金賞という先輩たちの襷を、私たちは繋げることができなかった。金賞まであと一歩、あと一歩のところで銀賞だった。 それなのに、私の目からは同じ雫が落ちなかった。
梅干しが瓶いっぱいに出来た、今年の夏。 愛しい愛しい自家製梅干し。 ただどれだけ贔屓目で…
「腹八分目」 最近はそんな教科書通りの食事を摂っていた。もう少し食べられそう、と思って食…
道端のアスファルトから、1日中部屋で干していた私の洋服と同じ匂いがする。 それだけで、私…
5月。 少しふわふわとした表面の青梅をしっかり水につけてアクを抜く。そして水気を丁寧に拭…
8月某日。 寝ぼけ眼を擦りながら、スマホを開いてその日付を確認するまではいつも通りである…
「9時までに、お風呂に入らねば」 これは今日の私の最終ミッションだった。いつもならゆった…
「いってきまぁぁす」 朝日が山の狭間から顔を出して、空の中をぐんっと昇り詰める頃。 まだ正常に起動していなくて重たい頭をなんとか持ち堪え、鍋に入れられて少し経ったあさりくらいにしか開かない目をどうにか開ける。 そしてジェンガのごとく積み重なった服の山から、昨日乾いて畳んだばかりの自分の服を器用に抜き取り着替える。 そして、うさぎやらケーキやらが日付と共に並ぶカードを首からぶら下げて、サンダルに足を突っ込み、冒頭の一言を呂律の回らない口で、なんとか家族に告げると急いで団