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#朗読
『ムーンダスト・フレア』
○車の中
滝川「あまり運転上手じゃないので、ごめんなさい」
佐伯「代わります?」
滝川「いえ。佐伯さんも運転苦手そうだし」
佐伯「ご明察。免許証なんて身分を証明するためにしか使ってない」
滝川「いつも藤乃さんに運転させてたんですか?」
佐伯「私たちほとんど遠出しなかった。仕事で東京を離れられなくて」
滝川「私は沖縄行きましたよ? 藤乃さんと」
佐伯「へえ…。暑いの嫌がりそうだけど」
『オートクチュール・ブルー』
【登場人物】
【本編】
コトリ 青春は、それを青春と自覚した時、終わりを告げる。
コトリ ハナヨの結婚式を見届けながら、私の頭の中では走馬灯のように彼女との思い出が再生されていた。純白のドレスを身に纏い、色鮮やかな花に囲まれて笑うハナヨ。私の記憶の中にはない眩しさを抱いている。その光は、もう彼女の物語の中に私『石蕗コトリ』がいないことを示していた。
♢
コトリ 挙式を見届けた後、披
『夢の中では、抱きしめて』
私、あなたのことを考えると眠れなくなってしまうんです。
ミルキーホワイトの柔らかい毛布に身を包んで、
毛布の裾をぎゅっと、甘えるように掴む。
こんなふうにあなたの手を握ったら、
どんな気持ちになるんだろう。
まぶたを閉じたって、ときめきが鳴り止まない。
夜の私は、まるで羽化を待つ蝶々みたいで、
この気持ちが外の世界へ羽ばたいて、
あなたの元に届いたらいいのに、って思うけど、
私、相川小羽には
少年版『キャット・シーク』
【はじめに】
登場人物を少年同士に変えた朗読『キャット・シーク』です。別のノートに記載しているのは一人でも読める用ですが、今回のは掛け合い用のものを掲載します。(2018年8月初出の作品/2023年5月更新)
【登場人物】
小湊(こみなと)ユキト……少年。夏祭りの路地裏から、猫と風鈴の世界に迷い込む。
ミオ……猫と風鈴の世界で生きる猫耳少年。ユキトを案内する。
【本編】
ユキト 出会って
『深夜三時のスケルトンラヴァー』
登場人物本編
『Silence Sleeping Night(サイレンス・スリーピング・ナイト)』イヤホンから叫び声のような音楽が流れる。口ずさみながら、私は歩く。
『Silence Sleeping Night』私たちが眠っても、この街は呼吸を続ける。信号の点滅。自動車の走行音。整列する街灯。繰り返し訪れる普遍的な夜を、私は歩き続ける。
『Silence Sleeping Night』
『ブルーモーメントの指先』
登場人物
【詩:はじまり】
夏の終わり
鏡面の海に光が降り注ぎ、白く視界が弾ける
寄せては返す波打際 きみと一緒にみる水平線が好きだった
夏の終わり
汗ばむカラダに、血の通った細い腕
季節の温度がそうさせるのか、それとも、私たちの目頭がそうさせるのか
肌が触れ合うたび、息が止まって喉がカラカラになる
夏の終わり
きみの手をひいて、裸足で駆け出す海辺
着水の冷たさに、驚いて笑って、目配せする
『せめて先にしんでくれ』
登場人物
【本編】
100万年後には、みんな死ぬ。100万年後には、この地上の人類がみんな死んでいく。そんな果てしない数値の物差しは、実感がなくて、使い勝手が悪い。
あたし、葛葉アミは、手に取りやすい100均で買ったようなやすい物差しで、今日も線を引く。
✳︎
彼女の、白い砂浜のような背中をそっと指でなぞる。骨ばった肩甲骨の間に水を流すように、指をまっすぐ下ろしていく。触れた指先の感触は
『キャット・シーク』
はじめにこれは2018年に上演した朗読台本を、一人でも読めるようにアレンジしたものです。(本来は二人用の朗読でした)
拙作ではありますが、もし配信などで「朗読がしたい」という人がいましたら、使って頂いて構いません。
登場人物
【0】出会って別れる。繋いで離れる。覚えて忘れる。私たちは、日々を繰り返す。過ぎたあの頃の匂いや情景を、置き去りにして。
私は、湊(みなと)ユキ。16歳。都心から少し