ディープインパクトとオルフェーヴルの不適切万冊 第5回 坂井希久子『リリスの娘』
楽毅「ついに一線を越えたか…?」
韓信「元々『一線』なんてありますか?」
楽毅「言われてみれば、確かにないかも」
ディープインパクト「オルちゃん…ついに官能小説まで取り上げるのかい?」
オルフェーヴル「もちろん、Quoraやnetkeibaの個人スペースでは投稿出来ません。メインブログ、メインサイトやnoteだからこそ投稿出来るものです。この本は坂井希久子さんの短編連作集『リリスの娘』(光文社文庫)です」
曹操「おお、このヒロインがいい女だな」
高杉晋作「それぞれの話の語り手は男だけど、主人公の女の一代記なんだな」
オルフェ「タイトルといい、表紙絵といい、男性向けの官能小説とはだいぶ違う印象がありますね。しかも、最後の話での主人公の『願い』に涙する読者さんもいるかもしれません」
ディープ「むしろ、明智紫苑さん自身が真面目に感想文を書いた方が良かったんじゃないの? 単なるエロネタ小説ではないし、性描写よりもむしろ精神的な関係性の方が大事だという点があるし」
曹操「怠惰な紫苑に期待するな」
晋作「とりあえず、男が女をヒーヒー言わせてヤリ捨てでなくて、逆に女が男たちを虜にする話だな。決して即物的な内容ではない」
オルフェ「とりあえず、ヒロインはジェンティルドンナちゃんよりもいい女ですね」
ディープ「オルちゃん、うちの娘を引き合いに出さないでよ」
オルフェ「あ、すみません、ディープ先輩。あの子が先輩の愛娘だというのをてっきり忘れてましたよ」
ディープ「んも~」
曹操「それはさておき、この主人公の女は男を見る目があるな。決してダメ男などは相手にしない」
晋作「そりゃあ、ダメ男の相手しかしないヒロインが出てくるのは、女性向け官能小説にはふさわしくないだろ?」
曹操「まあ、確かにそうだ」
オルフェ「もしかすると、この短編集はヒロインをダシにした『いい男名鑑』という意味合いがあるのかもしれませんね。流行作家、会社経営者、パティシエ、前途有望な男子学生…確かに、人材マニアの曹丞相も惚れるかもしれませんね」
曹操「このヒロインにとっては孔融や禰衡みたいな輩は論外だな」
ディープ「丞相閣下、さすがにそれは身も蓋もないですよ」
(ガコーン!)
オルフェ「うぎょー!! また天国のドゥラメンテ君に金ダライを落とされたー! 痛ぇ!」
ディープ「君の日頃の行いが悪いからだよ」
【山下久美子 - リリス】
《紀元前802年に(晋の)穆侯の三男として誕生した桓叔は、同年に穆侯が千畝に戦勝した記念の意味合いを込めて、成師と名づけられた。この命名について、「弟は軍事において成功し、かつ兄の仇(後の文侯)との対極の名で、いずれは弟の家が兄の家を凌ぐだろう」と予言する者があった。(ウィキペディアより引用)》
その晋の文公(前述の桓叔の子孫)の弟・恵公夷吾には一男一女がいたが、ある人の「息子は他人の臣下になり、娘は他人の妾になる」という予言に反発し、息子に圉、娘に妾と名付け、結局予言通りになってしまった。ちなみに山下久美子氏の『リリス』の作詞を手掛けたのは山下氏自身だが、このタイトルに当時の夫君がどう関わっていたかは不明である。
アーモンドアイ「私の息子に『アッティス』と名づけるような事態ですね」
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