じつは定義が決まってなかったファスティング(断食)のはなし
ファスティング(断食)の定義はこれだ!
そうなんです。じつは、ファスティング(断食)の定義って決まっていなかったんです。
そして、この度、2024年8月にCell Metabolismという海外学術誌に「ファスティングの定義や分類を定めました」というような内容の論文が掲載されていましたのでご紹介していきます。
和訳のニュアンスが違ったら教えて下さい!
日本のお偉い先生方が日本語版を作成してくれることを期待しています。
さて、今回のコンセンサス資料は、世界の専門家や研究者38人が複数の会議を通じて、密に話し合い作成されたものです。
Article:International consensus on fasting terminology: Cell Metabolism
評価されたファスティングに関する用語24項目について
この専門家会議では、ファスティングに関する用語の24項目について評価されたのですが、聞いたことのないような言葉も多々ありました。
食事とカロリー制限に関する用語
1.食事制限(Dietary restriction;DR)
2.カロリー制限(Caloric restriction;CR)
3.飢餓(Starvation)
断食に関する一般的な用語
4.水のみの断食(Water-only fasting)
5.完全断食(Total fasting)
6.ドライ断食(Dry fasting)
7.修正断食(Modified fasting)
8.水断食(Fluid-only fasting)
断続的断食法
9. 短期断食(short-term fasting ; STF)
10.長期断食(Prolonged fasting;PF / long-term fasting;LTF)
11.周期的断食
間欠的断食法
12.間欠的エネルギー制限(Intermittent energy restriction;IER)
13.間欠的断食(Intermittent fasting;IF)
14.時間制限食(time-restricted eating ;TRE)
15.隔日断食(alternate-day fasting;ADF)
16.隔日修正断食(alternate-day modified fasting;ADMF)
特別な断食法
17.治療的断食
18.医療従事者の監督下で行われる断食
19.予防的断食
20.ブッヒンガー療法断食
21.FX mayr療法/FX マイヤーキュア
22.断食模倣食(Fasting-Mimicking Diet;FMD)
23.宗教的断食(religious fasting)
24.断続的ドライ断食(Intermittent dry fasting;IDF)
日本で流行ってる様々なファスティングがどの分類に該当するのかわからないけど、基本的に科学的根拠はないだろう。
とくに「酵素ドリンク」を使うファスティングはなぞである。酵素ってなんやねん。
モンゴルで生まれた発酵飲料の ❝KOMBUCHA(コンブチャ、紅茶キノコ)❞を真似していると思われるのですが、似て非なるもの。
基本的にはエビデンスはないと考えたほうが良い。反転思考でポジティブに考えるならば、誰もエビデンスを作ろうとしていないからチャンスではある。
その界隈のビジネスオーナーと話したことはあるけれど、医療者でもなければ、科学的思考も持ち合わせておらず、健康被害のリスクについても希薄であり危うさを感じたことは多々ある。
シンプルに、16時間ファスティングのような空腹時間をつくるタイプのものは、今回のコンセンサス資料にも記載(時間制限食;TRE)がしっかりとあった。
このコンセンサスを決定する上で、TREに関する2人の主要な専門家がより広義の定義を提案しており、食事期間と断食期間の「24時間中の一定期間」の重要性を強調していました。
専門家によると、人の生活リズムと就寝時間を考慮すべきであり、1日あたり12〜18時間の断食期間が推奨されるとのことです。
しかし、委員会では、断食の生理学と疫学データを含む様々な理由から、14時間の定義を選択したそうです。
この背景には、人における夜間断食期間の中央値が現在12時間であることが影響しているとのことでした。
さいごに
ファスティングは、正しく行えば健康に良い影響を与える可能性がありますが、誤った方法で行うと危険な場合もあります。
ビジネスとしてやっているのであれば、質の担保としても今回のコンセンサス資料は目を通しておいた方が良いでしょう。
特に、医療者のように生命倫理を学んでいないもしくは臨床現場で人の生死に関わっていない一般の方が、ファスティングの講座やサービスを提供しているのをよく見かけます。
「お客さまが満足していれば良い」「これまでうまくいっている」「科学信者の話は信じない」など様々な言い分はあると思いますが、少なくとも誰かの健康をサポートするサービスを展開するなら、それなりの科学的根拠は尊重すべきと僕は考えています。
情報は常にアップデートする必要があるし、精査する能力はとても大切です。僕自身も日々研鑽です。
p.s.
そして、もし「これってどうなの?」と困ったら、いつでもご連絡ください!僕でよろしければ、ご相談に乗らせていただきます。
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