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「頭持ち固定」-体幹力をつけるポイント

古武術の稽古では毎回「できていないこと」を気づかせもらっています。今回は「頭持ち固定」ができていない。と指摘してもらいました。

「頭持ち固定」とはスポーツで例えると「顎を引く」という動作が近いです。顎が上がると背骨を中心とした体幹がブレて自分の体がコントロールできず、力任せの動作になってしまいます。

稽古を一緒させてもらっている先生や兄弟子は様々な武術に精通されているので、いくら押しても「大木や岩壁を押してあるのかな?」というくらい微動だりしません。

自分はムキになり知らぬ間に顎が上がり力任せに押してしまうので「頭持ち固定をして丁寧に行うように」と、ご指導いただきました。


そうなると来週までは「頭持ち」のことばかり考えます。それを少し整理する為に、分かる範囲で書いておこうかと思います。


「頭持ち固定」の意義

発生学的に人間の先祖は海にいました。

その頃は手足はなく、背骨をくねらせて全身を使って泳いでました。その名残は今もあり、全身の力を発揮する為には背骨の動きは絶大です。

しかし、現代は「手や足、そして頭」を使えばことが足りてしまいます。

自分を含め現代生活にカスタマイズされた「体」は、体幹よりも「手先や足先だけしか動いていない体(横着な体の使い方)」になっています。(自然の中で暮らしているか、訓練されている人は別)


これは背骨が「一体化されている」と「されていない」を図にしたものです。

図.1

後頭骨も示したのは
「後頭骨も背骨の一部」
分類される為です。

(左)は4つの大きなカーブ(生理湾曲)があるのに対して、(右)の図は背骨をカーブのない垂直に近い状態です。

この背骨になると関節の遊びがなくなり、背骨全体をうねらせることができ、また体幹の安定感もでます。

そして青の矢印があるところは頚部の部分です。
鍛錬して背骨を真っ直ぐな状態にしても頚部は前側に出やすいので、この矢印みたいに「頚部全体を後ろに引く」ことで頭持ちをして、体をを動かしても頚部が前側に戻らないようにすることが「頭持ち固定」になります。

図.2
後頭骨も背骨の一部


カーブのない姿勢に関連するブログです


頭持ち固定のポイント

この動作は頚部だけの操作では成り立ちません。全身も操作に加担しなくてはならないのですが、ここでは背骨と骨盤に絞って書きたいと思います。

仙骨部分では、図.1で書いてある通り「仙骨を締める」がポイントになります。もう少し具体的にすると「仙骨を下に入れ、肛門を感じたら軽く締める」です。

背骨を真っ直ぐにするのに最初に反応を起こす部分は「腰椎の3番(L3)」です。
L3が後方に移動することで、背骨を真っ直ぐにします。(図.3)

起点はお腹


お腹の中心から全方向に膨らむ力がL3を後方へ移動させます。
L3が後方に移動することで、背骨全体が真っ直ぐになります。
注意点は背骨だけ上下に伸ばすのではなく「胴体全体を上下に膨らませて体幹を安定させる」ことを目指します。(放射状に体部を安定させる)

図.3
腹部からの膨らみ

L3レベルを境に
「L2から上は上方に持ち上がる」
「L4から下は下方に下がる」
という力で
上方は上半身の張り
下方は下半身の安定
をつくる

末端になる仙骨は図.1の「仙骨を締める」ことをするのですが、決して仙骨だけで強く締めようとしないでください。「仙骨を肛門の下の位置に入れ込む」にした方が、余計な緊張はできないかと思います。

そしてL2から上は、上方にベクトルを加えるのですが、この時に障害になるのが上にある胸椎と頚椎の動きです。

図.4
脊骨の特徴

腰椎の関節は(前後の動き)を得意としているので、同じ動きに相応する上下の動きはやりやすいです。そしてお腹も動きを感じやすいです。

しかし、胸椎には肋骨が付いていて胸郭という囲いをつくっているので、胸椎は動きにくい部分です。

更に胸椎の関節は左右の動きを得意としているので、上下の動きに対してはとても反応が弱いのです。

その対応としては「頚部の頭持ち固定をつくりボディーワークをすること」です。

腹部、腰部、仙骨の操作、そしてを頚部の頭持ち固定をしてボディーワークをすれば、それに挟まれている胸椎も段々と柔軟性が蘇ってきます。「スワイショウ」や「ヨガの猫のポーズ」などが良いと思います。頚部の頭持ち固定のやり方は下記の「頚部の操作」を参考にしてください。

頚部の操作


頚椎に関しては

上部の二個の骨は
「左右を向くのが得意」

その下の中間にあたる部分は
「頭を上下に向く動きが得意」

そして下部は
「動きが少ない」

です。

この場合中間を固定したいので、喉仏あたりから首の断面をイメージして、そのまま上部胸椎にのせる(後ろに引く)という操作で頭部の固定を行います。その際「顎を引く」も取り入れると効果的です(図.1と3)


頭持ち固定をしながら他のボディーワークを行うと、体幹力UPに繋がるので興味を持っていただけたら是非参考にしてみてください。

心身の安定を体からつくる

脳をイメージしてください。

図.5
一般的な脳のイメージ


図.6
最大限発揮できる脳

背骨がまっすぐになると脊髄神経を干渉しないので、脳の働きを最大限に発揮でき、心身の安定を体からつくれる。と、思っています。

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