「人間標本」読了
「イヤミスの女王、さらなる覚醒」
と帯にあったように
これまでの湊かなえとはまた少し違った感じに思えた
ただ、読み進めるうちに重苦しい疲労感に侵食されるのは通常運転
これぞ湊かなえ作品という感想
本当に人間の 「歪」 の部分というか
単純な単語で言い表される感情の中の矛盾や歪み
そしてその中での純な一欠片
それらを持ち合わせている当の本人さえ気づけていない場合もあるんじゃないかと思うほどの複雑なそれを表現するのが上手過ぎる…
普段人に言えない 言わない趣味嗜好や欲求はもちろん大多数の人間が持っていると思っていて
好きこそ物の上手なれという言葉があるけれど、その方向が一般的に言われるモラルやマナー 常識やルールの外に飛び出してしまう場合もある
それが少しはみ出せど他者の許容範囲内であれば「1思考」「ヘンタイ」の笑い話で済み、
そこの一線を超えた途端に「異常者」「狂気」に変わる
私はこの主人公の趣味嗜好をなるほどと受け入れられた側の人間だったけど、そもそも受け付けなかったり 嫌悪する方も多いだろう
こんなことに触れる機会もなく、考えつきもせずに生きてきた方からすると衝撃的な内容だと思うけれど
この世で他者と関わって生きていく限り
1フィクションとして「こんな人間も存在している」ということを頭に入ることはとても大事な気がする
1フィクション。
だけどもしかしたらあまりにも身近な日常に潜んでいるということを必ず念頭に置いて