
CAN・DAY・A・SORT★「タクシーにて」
「お客さんーーどちらの生まれで?」
(・A・)
「へっーーそんなの忘れちまったいーー」
俺はコートの襟をするりと両手でなぞると、胸元のポケットから一本のシガーを取り出す。箱ごとだ。とんすとんーー慣れた手つきでタバコを取り出す。
地底を彷徨い、とうとう地上に顔を出したモグラのように自らを繰り出した1本のタバコ。
ーー俺はそれを取り出し、咥えーーおっとライターがない。
しまったーー愛人のところかーー
ききーっ。ブレーキ。タクシーが止まる。
「お客さんーー火ィーー貸しますよ」
面長な背広をがさごそとやっていたのが運転手にはバックミラー越しに筒抜けだったってワケかいーー
しゅぼっ。運転の差し出したライターから火を借りる。俺のタバコを包む、少し煤けた白い手袋に哀愁を感じる。…「BAR急ブレーキ」ーーおっと、すまねえーー探るつもりはなかったんだーーライターに書かれた愛の巣については見なかったことにする。
人間誰しも、帰りたくなる愛の巣はひとつじゃない。それがたとえーーひとときの幻想ーーそう分かっていたとしてもだ。
「お客さん、喧嘩ですかい??」
運転手がバックミラーから目を送る。
(・A・)
「おいおいーーそっちの方も一流なのかいーータクシーの運ちゃんをやめてもーー探偵業で食っていけそうだぜーー」
そう。ただの喧嘩ではないことはこの運転手にも分かってるはずだーー人にはひとつくらいあるはずだーー愛した人でも、、、許せない事がーー愛が憎悪に変わる瞬間を、俺は俺を通して目の当たりにしたのだ。俺だってもう子供じゃあないんだからな。
(・A・)
「げほっげほげほ!!なにこれマズイ!!」
ーーとは言えず、俺はむちゃくそまずいタバコを手のひらでぎゅーっとして丸め込、、、あっつ!!これ凄くあついよ!!(´;ω;`)げほげほしたい!!あーっのどが!!のどが破裂するーー
だめだよだめ!!俺カッコつけたいんだから!!
逃がせ逃がせーー苦みの煙み逃げろ逃げろ!!散れ散れ!!
うぬ。幸い、勘の良い運転手さんには気付かれてないみたいだ。しかしマッズー!!しかしマッズー!!(σ˙⩐˙ )こんなにもマズイかね!!マズイマズいとは聞いていたけどもタバコよ。おい、タバコよ。お前さん、こんなにマズイのかね。俺もうやらないよ?かっこつけて自販機でかったけど。宇宙の自販機。銘柄はーーえっと、「ビックババン」ね。…なんだよそれ。まあいいや。
「よかったらーーハナシ…聞きますぜ?」
( -ω- `)
「ふっーー聞いてくれるかい」
俺は、足を組み直すと、ポッケに手を突っ込み語る。
「難儀なもんですねえーー大人ってのはーー」
「違いありませんねーー」
(・A・)
タクシードライバーはニヒルに笑うと、口元にシワを作った。バックミラーからそれが、いや、それだけが窺える。
「少しねーーカミさんとと反りが合わなくてねーー」
ここでいうカミさんとはキャンディさんの事だ。
ぬ( ◍_◍ )お?
正式には結婚関係なんか結んでないし、カミさんなんて呼べる間柄でもないけど、雰囲気的にここではそう言いたいじゃん?!運転手さんもそれを求めてると思う。うん思う。だいじょぶだいじょぶ。だって俺の事好きだからキャンディさん。
フー( ◍_◍ )ーン
ーーあれッ?そうだよね?いいんだよね?お、俺達、役所提出してないだけでーーなんかそんな感じの関係性でいいんだよね??あとは提出するだけというかそのーー
「オンナってのはーーよく分からない生き物ですね」
(・A・)
「ーーフッ」
俺はタクシーの窓に腕と顔を預けると、そこから覗ける宇宙の星々。あれがダイダロス座でその横がゴエモン座。ああ、もちろんそんなの適当だぜ。だってここ何処だか分かんねーもん。一体何銀河?何星雲??てきとーにタクシー止めて、「とりあえず走ってくれ」ーーって言っちゃったんだもん。
まさかこんな事になるとは思わなかったんだもん。もはや遠いとか近いかとかの次元じゃねえよ。思えば遠くまで来たもんだとかって浸りたいけど、分かんねえんだよ。ワープ航法8回ぐらい挟まれちったら…気を使えよ。そういうんじゃねえんだよ。なんか、ワープ挟むたんびにメーターがぐいーんて桁数増してくんだけど、俺、そんな金持ってないよ??キャンディさんから、お皿洗ったお駄賃で300ツーカもらっただけなんだから。
…あ、タバコで全部使っちった。きっかし300のタバコ買ったんだ。俺無賃乗車じゃん。やば。え?これやばくね?あ。まーた薄暗くなったよ。これワープ空間入る時の予兆じゃん。がちーん。またメーター上がったんだけど。
くっそー。顔で選んだのが間違いだったかな…俺カモられてんのかな…なんか、すげーいい味出してる顔の人だったからーーついついこの人のタクシー乗っちまったよ。キャンディさんと喧嘩して、とぼとぼ歩いてたら駅見つけたのよ。宇宙に駅。ぽつーんとあんだね。宇宙空間にぽつーん。まさしくそれは駅前って感じで、お店が何軒と、そんでタクシーがたむろするロータリーがあったんよ。
そこで俺はぬーんって、顔をへばりつかして中覗き込んで、こいつは浸れそうだなーって顔付きの運転手さんを選んだってワケ。
なんだろう。斉藤洋介ーーさんな感じかな??顔つき的には。とにかく渋かったんよ。俺はそれでジャケ買い的なノリで顔乗り。ばだむとタクシーの扉を閉めて、「とりあえず出してくれ」
で、イマココ~( ;꒳; )
で、イマドコ~??( ߹ㅁ߹)
(・A・)
「あ、あのーーう、運転手さんーーつかぬ事をお聞きしますが、ここ、ど、どこでございますですか?」
「ーーいやですね、お客さん。分かってるでしょうーー」
(・A・)
「えー…あはは…あのー。え。ま、なんといいますでしょうかーーその。ね。確認と言いますか」
「お客さん、全宇宙を18回った冒険家なんでしょう?」
(・A・)
「まあそのーええ。まあね」
ーー話盛り過ぎたああああ!!なんだよ18回って!!気持ち悪い数字!!そんなん回れるもんなん?宇宙。知らんけど。
「お客さん、もう1回聞かせてくださいよーー」
(・A・)
「え?あ、あーー」
こほん。俺はまゆねに力を入れてぎゅっ。気持ち、二重を強調するカンジでーー
「宇宙はーー暗かったーー」
「シビれますねェーー」
(・A・)
なにが?なにがそんな気に入ったの?
「あたしも一度でいいから言ってみたいですねェ」
(・A・)
え?言えばいいじゃん。そんなんいくらでも言えんじゃん。
「あと、丸かったですねェ…宇宙はーー丸かったーー」
「くーっ」
(・A・)
そう喉を振り絞った運転手さんはそう言ってハンドルをぎゅぎゅーっと握りしめる。なにが?なにがよかったの??
「やっぱり、実際に宇宙の果てを見てきた人の言葉は違いますねェーーお客さん、あたし年甲斐もなく泣けてきましたよ」
(・A・)
いや、こんなんで?なんで?え?なんかごめんね。嘘、ウソ。ちょう嘘だから。え?ごめんごめん。
「実はあたしもねーー目指してたんですよ。宇宙を回る冒険家…」
(・A・)
あ、やべ。これ話長くなるぞ。踏んじまったなー。変なアクセル踏み込んじまったな~(´;ω;`)
「みんな憧れますよねェーーでもどこかでやっぱり自分には無理だってーー諦めちまう」
(・A・)
あーごめん。思い出させてごめん。あー。
「もっと聞かせてくださいよーー宇宙の真実を」
(・A・)
運転手さんは目頭を抑えて震える声でそう漏らした。やべーちょうやべーよ。
「ふっーーいいですよ。なんでも訊いてくださいーー」
なにがやべーって俺の虚言癖。
カッコつけた俺の目の前に現れるへベリウス座。としたい。なんか言わないとだし、だもんで、
「あ、あれがへベリウス座ですねーー」
しらんけど。星座って何かを模したやつだよね?
何?へベリウスって。オレはそーっと運転手の方を見る。たら~と、汗を掻き、顔の側面に三本線を湛えながらーー
「そうなんですかーーわたしら一般人の間では、リモレウム座で通ってるんですがーーはあ~なるほどなあーー確かにべべリウムに見えなくもない」
(・A・)
「でしょう? 僕達、玄人の間では、べベリーーべベリウス??の方が近いねーーワイングラス、ちーんなんてもっぱらですよHAHAHA」
「ーー憧れるなァ~」
(・A・)
「これはあまり一般の人には言わないようにしてたんですがーーまあ、特別ですよ?お値段の方、よろしくお願いしますね」
「ははは。上手いな~じゃあ、8億ロロンダにまけておきましょうかね」
(・A・)
「はっはっはーー言ってみるもんですね」
ん?8億??いまはちおくっていったの?
・・・(・∀︎・i)タラー・・・ろろんだ??8億ロロンダ?ん?ツーカじゃないの?あ。やべ。ここ、ツーカ本流通してねー地域だ。そういやキャンディさん言ってたな。宇宙には色んな種類の通貨があるからって。ん。でも8億?8億ロロンダ??それってツーカで言うとどのくらいなん??
ウワー ( ^o^)<〝で、べべリウムってなにー??〟
迷子だよ迷子。場所もそうなら話も迷子なんだけど。
「お客さん、あれなんでしょ?冒険家ならーーあそこに行きたいんでしょ??」
(・A・)
「はぁ~ん。分かっちゃいます??」
変な声でた。かつおぶし美味かった時の猫みたいな声出た。
「はいーー向かいますね」
(・A・)
ぶうううーん。アクセルをふかした運転手はワープ空間を3回ほどくぐり抜け、しばらくしたところで止まる。ききーだってさ。嗚呼もうだめ。ゲボ吐きそう。車酔いと金欠のダブルで胃がもたれにもたれてりゅ。:((´◉н◉`)):
「着きましたぜーー」
(・A・)
「そうですねーー」
地獄にね。
なるほど。ここが地獄か。ここの地名とかそういうの云々差し置いてここが〝地獄〟かーー。なるほど。殺風景でそして、なんか目の前にでっけえでっけえキャンディさんのあなるみたいな大型の渦が巻いてる。キャンディさん元気かな。って、あなる経由して思い出すこっちゃないか。もう逢える事はないんだから。
(・A・)
「あのー。そ、そ、それでですねへ~」
見るからに語尾に力がないっ!!ないぞ!俺!!
「お、お代ちんのほうなんでしゅけどもーー」
〝だんっ!!〟
運転手さんが力強くハンドルを叩く「ごめんなさい実は僕ーー!!」
「私もッ!!私も!!私もーー!!」
(・A・)
え?なに?お金ないの?
「私もーーもう一度ーー追いかけてもいいのでしょうかッッ!!」
(・A・)
ん?
「冒険家の夢を!!今一度!!今一度ッッ!!」
(・A・)
振り向いた運転手さんの顔がぐしゃぐしゃに泣き崩れている。なんかもう事故にあったのかってぐらい。何かで見たことあるなー。あ。男梅だ。既視感あるなーと思ったら男梅じゃん。ええ。どうしよう。俺はなんて言えば良いんだろう。
「分かっています!!それは私が決める事です!!あなたを見ていたらーー胸の奥にしまっていたあの頃の気持がーー夢がーー」
(・A・)
「…」
「べベリウス…願いを叶える神ーー」
(・A・) 💦
そうなの!?
「今ならあれがーーあの星座が!!僕にもべベリウスに見えてきます!!あなたと同じように!!」
(・A・)
…僕には見えません。
「お代は要りませんーーむしろ、こっちが払いたいくらいです」
(・A・)
「フッ。あなたならーー絶対に見えてくれる人だと信じていましたよーー」
つおおおおおおお!!急に元気出てきたあああ!!ゲボ気どっか消えたあああ!!それを早く言わんかいいいい!!っしゃァ!!俺は残像でガッツポーズ!!
「僕は、可能性のない人には教えない人間なんでね」
ばだむ。
「ありがとうございましたああああああ!!うおおおおお!!いつかゆくぞおおおお!!べベリウス座あああああああ!!」
ずばひゅうううううううんむ!!
(・A・)
ひゅるりら~♪宇宙空間なのに、木枯らし葉っぱがひゅ~らりら。耐えた…
「耐えたぞおおおおおお!!この私はッッ!!乗り越えたのだッッ!!〝危機〟はッ!!〝困難〟は去ったッ!!」
なんだけどーー俺はこれからどうすればいいんじゃろ。なんか鬱蒼としたキャンディ・ホール(蔑称)に入ったら暇つぶしにはなるかな。よいしょっと。
ほんとはキャンディさんのプチシュー、一個つまみ食いしただけなんだケド(´・_・`)
そっからけっこーな大冒険(*¯ᵕ¯*)
つづく

実際はこんな感じ₍₍ (̨̡ ‾᷄⌂‾᷅)̧̢ ₎₎★




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