子どもの幸せ④(自己肯定感)鳴かぬなら○○ほととぎす
ウサギ仙人(ウ仙)から子どもの自己肯定感を高める方法について伝授してもらっていた亀子であったが、
ウ仙「おぬしは戦国武将と言えば、誰が好きじゃ」
亀子「私は上杉謙信ですね。『敵に塩を送る』という言葉が好きですから」
ウ仙「おぬしもなかなかいろんなことを知っておるのぅ」
亀子「ウサギ仙人様にはかないませんがね」
ウ仙「ちなみに戦国武将人気ランキングでは、上杉謙信は2位じゃ」
亀子「えぇーー!じゃ1位は誰なんですか」
ウ仙「織田信長じゃな」
亀子「乱暴者なのに!」
ウ仙「まぁ荒くれ者であっても、やはり人気は高いのじゃ」
亀子「上杉謙信が負けたのがショックです」
ウ仙「やはり戦国武将と言われると、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康というのが3大有名人じゃな」
ウ仙「ところでその3大有名人が『鳴かぬなら○○ほととぎす』の○○に何という言葉を入れたかは知っとるか?」
亀子「それは知ってますよ。こうでしょ」
織田信長『鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス』
豊臣秀吉『鳴かぬなら 鳴かせてみよう ホトトギス』
徳川家康『鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス』
ウ仙「この句を詠んだというのは史実ではないらしいが、3人の性格をとらえた句になっておるな」
亀子「うまいですよね」
ウ仙「今から60年近く前に、ある人が当時の日本人経営者800人にこの3句を引用して『あなたはこの3人のどのタイプか』という質問をしたんじゃ」
亀子「誰が一番多かったんですか?」
ウ仙「ポイントはそこではなくてな。800人中2人だけ、『わたしはどのタイプにも当てはまらない』と答えたそうじゃ」
亀子「そんな奇特な人がいたんですか?」
ウ仙「一人はHONDA自動車創業者の本田宗一郎じゃ」
亀子「本田宗一郎さんは何と答えられたんですか?」
ウ仙「本田宗一郎は『鳴かぬなら私が鳴こうホトトギス』といったという説があったり、『何と詠むかはわからないが、私は3人の武将たちとは違うだろう』と言ったという説があったり、よくわからないんじゃ。ただ3人の句を引用しなかったのは確かじゃ」
亀子「もう一人は誰なんですか?」
ウ仙「もう一人は松下幸之助じゃ」
亀子「また出てきましたね」
ウ仙「実は松下幸之助は松下政経塾の塾生からも『塾長は戦国武将3人のうちどのタイプですか?鳴かぬなら○○ホトトギスの○○にどんな言葉を入れられますか?』という同じ質問をされておる」
亀子「松下幸之助さんはなんと答えられたんですか?」
ウ仙「松下幸之助はこう答えたんじゃ。
『わしが好きなのは、織田信長や。物事を実現するスピードはさすがや。いささか急ぎ過ぎて、部下の謀反にあってしまったようやけどな。わしがどのタイプかと聞かれたら、徳川家康やな。物事をゆっくりと進めて待つタイプやからな。しかしな『鳴かぬなら○○ホトトギス』と聞かれたら、わしやったら違う言葉を入れるで』」
亀子「なんと入れたんですか?」
鳴かぬなら それもまたよし ホトトギス
ウ仙「続けて『ホトトギスが鳴かなあかんというのは人間側の理屈や。鳴かんホトトギスがおったって、認めたったらええんとちゃうか』と答えたようじゃ」
亀子「これもまた神のお言葉みたいですね」
ウ仙「子ども相手でも親は『頑張らないといけない』とか『すぐれてないといけない』と思いがちじゃろ」
亀子「ギクッーー!私はそのタイプかもしれませんね」
ウ仙「松下幸之助の言葉を借りれば、別に『頑張る子』でなくても『すぐれた子』でなくても、認めたったらええんとちゃうかな」
亀子「そうなんですね」
自己肯定感はありのままを認めること
ウ仙「自己肯定感とはありのままを認めることじゃ。ホトトギスが鳴こうが鳴くまいがホトトギスであるように、子どもも、いいところがあろうが悪いところがあろうが子どもじゃからな。まずはそこを認めるのが自己肯定感の第2ステップである自己受容につながるんじゃ」
亀子「認めるというのはどうすればいいんですか?」
ウ仙「できる限り子どもを気に留めておくということじゃ。元々『認める』という言葉の語源は『身留める』なんじゃ。『身』という漢字は『心身』という言葉で使うように、身体だけでなく心も含んでおる。すなわち心に留めることが『認める』ということになるんじゃ」
亀子「具体的にはどうすればいいですか?」
ウ仙「例えば『存在を認める』という意味で言えば、『生まれてきてくれてありがとう』という気持ちを持つことじゃな。そうすれば、毎朝目覚めたら『今日もいてくれてありがとう』という気持ちで心から『おはよう』という挨拶が自然とできるじゃろ」
亀子「なるほど」
ウ仙「『行動を認める』という意味で言えば、子どもが何か行動する度に『お母さんはうれしい』『お母さん助かったわ』などのほめ言葉が自然と出てくるじゃろ」
亀子「この辺は前にやったポジティブ思考や成長意欲のところの話とつながってきますね」
ウ仙「だから自己肯定感は4つの要素の中でも幸せの一番の根幹なんじゃ。これがきちんとできれば、他の要素にもつながっていくんじゃな」
亀子「少しわかってきました」
子どもにとって親はすべてを受け入れてくれる最初の砦
ウ仙「子どもにとって人生の初期段階での親の存在は重大なんじゃ」
亀子「肝に銘じます」
こうして亀子はレベルが上がった。
「鳴かぬならそれもなおよしホトトギス」の呪文を覚えた。(つづく)
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