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坂本沙季

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2020年8月の記事一覧

坂本沙季⑩息をするのがうまくない

坂本沙季⑩息をするのがうまくない

問題はどんな人間であるかとか、性格や容姿などではなく、息ができないということ。

その上手さを作り上げてきたのは、きっと様々な環境や生まれ持った性格とか、見た目や考え方なんだろうけど、思ったより下手くそになってしまったと思う。

その日は、中学の同級生と久しぶりに会った。
全然違う生き方をしていて、自分の話をなんでも面白そうに聞いていた。外でアイスを食べながら話したから、たくさん蚊に食われてしまっ

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坂本沙季⑨ちぐはぐな部分がある分だけ、指先に色をのせたい

坂本沙季⑨ちぐはぐな部分がある分だけ、指先に色をのせたい

もう何ヶ月も付け続けていたマニキュアを落とした。久しぶりに見た自分の素の爪を見て、これも悪くないかも と思った。

周りの目を気にする50%くらい。
主張ができない。安易にツイートできない。着たい服を着れない。言いたいことを飲み込む。自分の顔が映し出されるものが少し怖い。人のせいにしてしまう。一人で何かを食べるのを見られたくない。踊りきれない。

周りの目を気にしない30%くらい。
好きな色の爪に

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坂本沙季⑧情けないことばかりを思い出にしてしまう

坂本沙季⑧情けないことばかりを思い出にしてしまう

昔、よく見ていたアニメを久しぶりに見た。

当時の自分と同い年だった主人公が歳下になっていた。

いつだって高校時代は爽やかで、儚さの象徴のように描かれる。実際とは比べものにならないくらいの。でも、通り過ぎてからあの時間が戻らないことを知る。過ぎたひとが作れば、そうやって見える。

日本で描かれる高校生の日常的なアニメの中にも夏がきて、半袖で過ごし、いわゆる夏のイベントが起きる。花火をしたり、冷た

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坂本沙季⑦まるいと言われてきた世界

坂本沙季⑦まるいと言われてきた世界

まるい世界の話をされてきた。

この"まるい"というのは、平和的な意味を含み、みんな助け合うべきだ、みんな支え合うべきだ、というようなことだと考えている。

小学生のころ、夏休みはたくさんの宿題が出ていた。私は大抵、最初のやる気で得意なことだけをやり、それ以外を最後の一週間くらいでやっていた。特に大変だったのは自由研究だった。
好きなことはたくさんあった。
けれど、作りたいものはいつも何もなかった

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坂本沙季⑥夏という性格

坂本沙季⑥夏という性格

氷を作り始めること。
扇風機をまわすこと。
サンダルを取り出すこと。

やっぱり8月が夏の到来という感じで、そのための支度をこつこつと、その前の月に、その前の前の月にやっているという心持ちでいる。

今年は梅雨が長いうえに、学校に通うこともなくて春休みの延長のようなものが続いているようだった。いつもと少し違うのに、暑くなるということは同じだ。

夏が好きだ。
開放的で自由なところ、日が長いところ、

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