坂本沙季⑧情けないことばかりを思い出にしてしまう
昔、よく見ていたアニメを久しぶりに見た。
当時の自分と同い年だった主人公が歳下になっていた。
いつだって高校時代は爽やかで、儚さの象徴のように描かれる。実際とは比べものにならないくらいの。でも、通り過ぎてからあの時間が戻らないことを知る。過ぎたひとが作れば、そうやって見える。
日本で描かれる高校生の日常的なアニメの中にも夏がきて、半袖で過ごし、いわゆる夏のイベントが起きる。花火をしたり、冷たい飲み物を飲む描写だけでも夏を観る。
高校の夏に俳句というものに出会った。先輩が作った句が比べものにならないくらいよくて悔しかった。夏になると俳句を詠みたくなる。
俳句を詠むとき、いつも悔しさを思い出す。
悔しいという感情が自分の感情の中の、たくさんを占めていて、何かあるたびによく一人で反省会をしてしまう。
いろんなことで、同じことをすることがあると、その反省したときのことばかりを思い出してしまう。思い出すと、思い出になっている。
夏は、俳句のことだけじゃなく、思い出が多い。
いつも思い出すのは情けない記憶ばかり。
情けないことばかりを思い出にしてしまう。
昔、よく見ていたアニメをみて、自分の当時の夏を思い出して、情けなくなる。
この時期、暑さ、匂い、情けない思い出が多すぎる。
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